ヤナギトラノオが生い茂っているのに少々驚きました。ミツガシワ同様かなり標高の高い湿地環境で見かける種です。最近出会った場所は尾瀬の長蔵小屋近くの湿地でした。この種も筑波実験植物園の湿生植物エリアにうまく適応しているようで、低海抜から高海抜まで適応範囲が広い種のようです。低地の湿地の競争関係でうまく合えば十分生育できるのでしょう。
まだつぼみ状態なのでしょうか。デッキから離れているところにみられました。まだ4月の段階です。尾瀬などの荒原では普通7月に花が見られます。しかしこの花を間近で観察したことがありません。保護区内であったり湿地環境ですから踏み込めない場所などですから細かな花の様子が観れていないのです。ピンボケの写真画像を拡大してしても雄しべが目立つ黄色い花程度で詳細が分かりません。ゆっくり観てみたい花です。
花は総状に付き花弁の細かな毛が大きな特徴で独特な雰囲気を醸し出しています。ミツガシワの群生する湿地は時にワタスゲを凌駕する白い草原になるくらいの景観を作るようですが、まだそこまでの大群落には遭遇していません。
湿生の植物を展示してあるエリアに、全国の湿った林内や川べりに見られるコンロウウが見られました。アブラナ科の多年草で、新潟県内にも自生が見られます。ただ、県内では偏った分布をしていて阿賀野川沿いと佐渡を結ぶラインと阿賀野川から北の山麓部に見られ中越上越には見られません。ただ信濃川沿いの新潟と長野の境の津南長野の栄村あたりに自生があるようです。
葉は奇数羽状複葉です。実は近い種にヒロハコンロンソウという種があり県ウなど内にも自生していて中越地域や下越地域のやや深い山地の川沿いなどに見られます。葉がやや広いことや草丈が小さ目でコンロンソウと区別することになっていますが、並べてみないと分からないという話もあって判別は微妙なところがあるようです。分布はコンロンソウに比べかなり狭く中部日本の山間に見られるそうです。
新潟にも新津地域や弥彦山塊で群落を見ています。このほかに下越の海岸に近い山林の林床や佐渡に自生するそうですが中越や上越値域にはほぼ自生はないようです。全国的に自生があるにもかかわらず県内ではかなり偏った分布をしている種なのです。
丸いものはつぼみですが、よく見ると多くのつぼみの中にわずかに花が咲いていました。雄しべだけが見られますから花は雄花。雌雄異株の種ですからこの個体は雄株で地下茎でつながっているこの個体群のつぼみはすべて雄花になります。花序の下のつぼみから咲いていく種です。
新潟の瀬波に大きな群落があることからセナミスミレともいわれるイソスミレが展示されていました。海岸砂地を模した環境作って場所です。あまり生育は良く無いようで新潟の海岸で見るような大きな株になっていません。
イソスミレはタチツボスミレの系統で日本海側の海岸砂地に生育する多年草です。茎は徒長せず密集して生育するため自生地ではこんもりとした塊になって生育しています。花はその塊にたくさん出ていることがありかなりのボリュウムを感じます。しかし、筑波実験植物園では植栽されて間もないのかわずかに花が見られる程度です。海岸に適応する種ですから草丈は小さ目ですがその割には花は大きく感じます。