長らく出会いたいと思っていた花に出会えました。深山の湿潤地に見られるカリガネソウです。県内での自生も極めてまれで産地も限られているようです。やや大型の草本でシソ科の多年草。花の形が何とも言えない造形で見とれてしまいます。
カリガネソウの花は夏から秋にかけて咲く花。ちょうど先初めのタイミングで出会ったことになります。青い花が沢山つくと圧巻なのですが、まだぽつぽつと花がある状態。それでも、造形の美しさに見とれてしまいます。この花、実はハナバチなどの昆虫が吸密に訪れるとしべが虫の背中にスタンプのように押し当てられる仕組みになっていてなかなかの巧者(曲者)なのです。おまけに花の咲く頃から開花期は何とも言えない匂いがして、花の美しさには似つかわしくないのです。仕方ありません、人のためにある花ではなくあくまでポリネーターを引き寄せ受粉させる目的での花ですから。
ボクシングのグローブのような形のつぼみがたくさんありました。これらが一斉に咲く所を見てみたいところですが、まだまだ先の段階。林の中にあった株で個体の密度も多くありませんから、花序は横に広がったような形状でした。
平標小屋からの下りは沢筋の道です。尾根筋に見られる植物とはかなり異なる種が続々と出てきます。その一つがミヤマウドですが、同じようなものにこのオオナルコユリも当てはまります。草丈1mはあろうかという大型のナルコユリ。付近の山地や里山にもみられるミヤマナルコユリの栄養が良い個体ではなく別種です。あまり群生する種ではなく数本くらいがかたまって生えていることが多く、かなり湿った場所を好みます。山菜として珍味だとか個体の多い種ではないのであまり食べる対象にはしたくない種です。
花は6月に咲いたのでしょう。それから少し時間がたっていますがまだ花冠が残っている状態。ちょっとユーモラスな景観で、実が沢山ぶら下がっていました。各腋に2~3個の実がついています。径7~8mm。鳴子のように見えなくもありません。
上信越の県境の亜高山から高山にかけての森林の林床でときどき見かけるミヤマウドです。ウドほど大形にはなりません。実は県内で見たのはこれが初めてで志賀高原やその近辺で何回か出会った程度です。県内の採集記録をみても多くはなくといえるでしょう。
花の季節は終わっているものがほとんどですが、わずかに花が咲いているものを探して映しました。ややボケていますが5枚の花弁が写っています。手前のものは若い果実。その奥には花弁が落ちてしべが残っている状態のものが見えます。
実が沢山ついている個体で観察にはちょうどいいものでした。̪四手といってもこの種は垂れ下がらないものです。サワシバなどの垂れ下がるものはカバノキ科シデ属、この種はカバノキ科カバノキ属。別名ウラジロカンバともいいます。