森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

イラクサ

2008年09月30日 | 自然観察日記
 藪に入って動き回ると「チクッ」と痛みが走ることがあります。イラクサに触れたときに生ずる痛みで、越後のヤブには結構多くて閉口します。でも、春は「アイコ」と呼ばれる山菜として重宝がられてもいるんです。山菜としてはおいしいものですが、花などの観賞価値はゼロですね。ブログに取り上げるにはかなり地味ですね。
 それはそうと、この棘(刺毛)にはヒスタミンという物質が入っているとかで、さされると強い痛みを感じます。単純な棘ではなくて化学物質まで用意しての防衛で、他の植物には見られない防衛システムです。凄い!でもなぜこんな防御を編み出さなくてはならなかったのでしょうね。不思議です。

シュウカイドウ

2008年09月29日 | 自然観察日記
 中国原産の園芸植物で、多くの庭に沢山植えられています。色鮮やかで秋の彩りに一役かっている植物ですね。
 ところが、自然の山野に古くからの住人のような生育をしている場所があります。園芸植物が逃げ出して完全な帰化植物になってしまった種がいくつかありますが、シュウカイドウもその一つとして良いでしょう。花も見ごたえがありそれほど悪さをする種ではなさそうですから、こういう帰化植物は歓迎されるものでしょうか。概して西日本に多いという気がしますが越後でも点々と準自生を見ます。この個体は弥彦神社の裏山の斜面で見つけたものです。

アマサギ

2008年09月28日 | 自然観察日記
 先日、庭の木の梢にハヤブサがとまっていました。まさかと思うでしょう。でも、あれは確かにハヤブサです。カメラ・・と思ったときには飛び立っていきました。実は家の隣の鎮守の森にはアオバズクが巣を作ります。アオサギも巣を作る年があります。カラスが多いのには閉口しますが家の周りは結構鳥が集まる場所のようです。
 白い鳥はコサギが多いのですが、今回はアマサギの訪問です。アマサギは群れを作って行動することが多いのですが、この日はなぜか一羽です。サギの仲間は怖い顔をしていますね。まともに睨まれたら引いてしまいます。
 鳥は恐竜から進化したものだそうですから、「凄み」は恐竜の血を引いているせいなのでしょうか。少なくとも、スズメ目のかわいらしい鳥より原始的な鳥ではないでしょうか。その点トキも顔の様子から比較的原始的なのかな・・とかってに想像しています。

ノブキ

2008年09月27日 | 自然観察日記
 秋の野草にはアメリカセンダングサたイノコズチなど「引っ付き虫」が沢山ありますね。これもそのうちの一つでノブキといいます。でもあまりノブキに引っ付かれた経験は少ないのではないでしょうか。この植物に最初に出会ったのが、飯豊連邦の福島県側の登山口地蔵岳の下の一ノ戸川沿いの草むらです。ちょうどそこにナラタケが大発生していました。それを夢中で採取していて気がつくと、この「引っ付き虫」が衣服にいたという次第。その後、どこにでもあると知ってなんとなくがっかりしたものです。
 「蕗」という名がついていますが食用の対象には普通はしません。でも毒はないでしょうから灰汁をしっかり除けば何とかなるでしょう。しかし、私は食べたという話を聞いたことがありません。

ハグロソウ

2008年09月26日 | 自然観察日記
 少し薄暗い湿り気のある林の中にポッポッとスモールライトの明かりのようなハグロソウの花がさいています。秋の花ですね。2枚の花弁が幼い子供が唇を突き出しているような姿に見えて、愛らしい花です。
 ハグロソウは「葉黒草」でしょうか、「歯黒草」でしょうか。葉は黒いといえば少し黒味がかった緑に見えないこともありませんが、「黒」を強調するほどでもありません。花弁に濃い斑点があるので「お歯黒」を連想して名付けられたという説もありますが、これもいまいちですね。名前の由来がよく分からないものの一つです。

ルリタテハ

2008年09月25日 | 自然観察日記
 今日はトキの放鳥の日。多くの方々の長年にわたる努力が実って佐渡に再びトキが舞うことになるのでしょう。歴史的な日になります。絶滅危惧種を人の手で復活させる意義は大きいものの、私は手放しで喜べる気持ちにはなれません。このトキ、「Nipponia nippon」でいいのかなぁ・・・。こんな状況を作った遠因は日本人の生活です。その反省の上に立っているとしても、人の持つ矛盾が気持ちを暗くします。
 梨の落果に飛んできたルリタテハです。「おっ!」と思うでしょう。でも昔はもっともっと多くのルリタテハが飛来して群れている光景があったような気がします。ごく身近な里の光景。しかし、もう二度とあの時の光景には出会えないだろうなぁ・・・。1頭のルリタテハを目撃して自然の「豊かさ」を口にしなければならない状況なんですね。

キツリフネ

2008年09月24日 | 自然観察日記
 ツリフネソウが咲く同じ林に個体数はやや少ないもののキツリフネもみられます。花つきはツリフネソウより少なくて少し寂しそうですね。
 ところで、同じ環境にツリフネソウとキツリフネが混生しているのですがなぜでしょうか。花の色が違うことくらいであまり他に違いを見出せません。環境の違いで棲み分けているなら理解も出来ますが、近似種が至る所で混生している・・・。考えると不思議な現象です。雑種が出来ないようですから生殖に関わる仕組みや生理が相容れないのは確かなことです。
 実はキツリフネは北半球の温帯に広く分布しますが、ツリフネソウは日本や中国などの比較的狭い地域に分布する種なのだそうです。日本は両種が交差する場所。どこで両種が生まれてどんな進化の歴史を辿ってきたのでしょうか。興味の尽きない問題です。

ツリフネソウは中秋の花

2008年09月23日 | 自然観察日記
少し湿った林や沢筋にツリフネソウの花が見事です。花の時期は比較的長くて先月から所々に見られましたが、なんといってもツリフネソウは中秋の花。十五夜の頃がいいのです。「釣船草」と書くそうですが、私は「船」というより色鮮やかな熱帯に住む「魚」を連想してしまいます。くるくると巻いた距を含めて独特の形が印象的ですね。長く見ていても飽きが来ません。
ホウセンカの仲間ということはご存知の方も多いと思います。従ってインパチェンスと同属なのですが、ツリフネソウはなぜか園芸種化されていないようですね。
久しぶりに訪れた弥彦神社の裏山の森です。

バウムクーヘン

2008年09月22日 | 自然観察日記
 出来上がったバウムクーヘンの作品です。なかなか素敵でしょう。味も絶品、大好評でした。
 ただ、アンコールが頻繁で何回目かの製作では、材料が底をつき残った材料で作りましたから出来上がったものがいまいち・・・。ほとんど小麦粉をねっただけのものですから巨大な「麩」になってしまいました。

バウムクーヘン作り

2008年09月22日 | 自然観察日記
これ何をしているか分かりますか?実は野外でバウムクーヘンを作っているところ。数mのモウソウチクにホットケーキの素をベースに贅沢に卵やらバターをふんだんに入れた生地を塗りたくって炭火で豪快に焼いています。何回も生地を塗って層状に仕上げていくとバウムクーヘンが出来上がります。
 今は負傷の身、今年は出来ませんでしたが再びこんなことをしてみたいと過去の写真を見ながら考えています。
 ところで、このバウムクーヘン作り、ぽとぽとと滴る生地も多くてもったいなかったなぁ・・・。この無駄をなくす技がほしいところ。野外のイベントにとてもいいものです。子供達や仲間と是非試してみてください。



再開です。  タマゴタケ

2008年09月21日 | 自然観察日記
 思わぬ不覚を取って事故を起こしてしまいました。全治三ヶ月で未だ療養の身です。長い習慣になっていたブログでしたが、大きな穴が開いてしまいました。もっとも、取材がままならぬ状態でネタが乏しいのもあって、少し休もうかなどと考えていた矢先の事故でしたね。しかし、習慣になってしまっているというのは恐ろしいもので、アップしないと何か仕事をしていないようで落ち着きません。・・というわけで、今日から再び「独り言」の再開です。今度は気張らないでゆるゆるとやっていきます。
 そろそろキノコの本格的なシーズン。これはタマゴタケの若い菌です。見事な色ですね。本当はもっと早い季節が盛りなのですが、温暖化の昨今この時期に遭遇しても変ではありません。見かけと違いおいしいキノコで、かっつて会津駒ケ岳の登坂の途中で採取したタマゴタケを山頂でラーメンの具にして頂いたのがいつまでも消えない思い出です。