森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

早春の花 オウレン

2007年01月31日 | 自然観察日記
 ユキワリソウの散策の過程でいろいろな春を見つけました。オウレンです。ユキワリソウに負けず劣らずせっかちな花で薄黄色の愛らしい花をつけています。いずれもキンポウゲ科の植物です。こんなに早く開花して花粉を運ぶポリネーターはいるのだろうかと余計な心配をしてしまいます。
 オウレンは葉が枯葉にうずもれていて葉の様子が判りにくいですが(写真の上のもの、横のものはユキワリソウ(オオスハマソウ)の葉です)、1回3出複葉のものをキクバオウレン、2回3出複葉のものをセリバオウレン、3回3出複葉のものをコセリバオウレンと区分されます。越後のものはオウレンでいいでしょう。

カンタケの大収穫 その3

2007年01月30日 | きのこ・菌類
 とにかく大量にありました。折れた2本のコナラの倒木にびっしり。それも巨大なものばかり。持ち帰れませんからおよそ半分を採取し並べたのが写真です。大きさの比較に千円札をおいてみました。ヒラタケに関してこれほどの量のものに出会ったことはありません。
 ほくそ笑んで持ち帰ったものの試食して少々がっかり。ちょうど家内が留守の日で自己流の調理の仕方も問題があるのですが、風味がいまいちで少々硬い感じです。冬季間は成長が遅い分風雨にさらされる期間が長いため、秋の個体が持つ風味が少ないのでしょうか。いそいそと近所におすそ分けしたものの、むしろ迷惑だったかなぁと反省しきりです。

カンタケの大収穫 その2

2007年01月30日 | 自然観察日記
 暖冬とはいえ気温が低いせいで虫が全くいません。ちょうど開ききった状態で食用としては問題の無い良い感じの個体です。とにかく1枚1枚が大きいのに驚きです。20cmくらいのものもありました。

カンタケの大収穫 その1

2007年01月30日 | きのこ・菌類
 ユキワリソウを探す最中に思わぬ収穫にありつきました。カンタケというヒラタケの一種です。スーパーなどで「しめじ」の商品名で売られているキノコです。もっとも「思わぬ収穫」というわけでもなく冬の時期にも期待されるキノコですから、あるべき時期にあったということなのですが・・・。

ユキワリソウ(キンポウゲ科) その4

2007年01月29日 | 自然観察日記
 この当たりのユキワリソウの本当の種名は「オオスハマソウ」といいます。葉が3つに大きく割れる形から「ミスミソウ」という種があるのですが、この「ミスミソウ」比べ3分裂する葉の角が丸くなって大型なのこの名があります。
 とにかく変異の多い種ですから、花弁(ガク)の色と数、花糸(雄しべ)の色などが多様でその組み合わせもいろいろですから愛好家にとってはたまらない一品なのでしょう。だからといって盗掘は困ります。自然なものはそのままにしておいてほしいものですね。

ユキワリソウ(キンポウゲ科) その3

2007年01月29日 | 自然観察日記
 この場所も以前より個体数が減った気がします。特に赤い色の個体が少なくなりました。7割くらいが白花、3割弱が紫(青)といったところでしょうか。ピンクもありますが色の濃い紅が見かけなくなりました。

ユキワリソウ(キンポウゲ科) その1

2007年01月29日 | 自然観察日記
 地元の新聞に長岡にある越後丘陵公園でユキワリソウがもう咲き始めたという記事が載りました。「えっ、もう・・」と思う反面この陽気ではそれもむべなるかな。私の縄張りのユキワリソウがどうなっているのかが気になって取り急ぎ出かけてみました。
 前日長岡では降らなかった雪がここでは降ったらしく所々に白い名残雪があります。この感じではまだ咲き出していないのかなと枯葉の積もった斜面を目を凝らしながら探しました。
 小一時間も探したでしょうか、ありましたね。私に似た気の早い個体がぽつぽつと。

イラガのマユ

2007年01月28日 | 自然観察日記
 先日、友人から「これはなんだ?」というメールをいただきました。イラガのマユの写真でした。幼虫の写真はネットからいただいたものです。この幼虫が秋に葉をせっせと食べて丸々太って硬いマユを作るのです。いわゆる終齢幼虫がこのマユを作り中から成虫のガが出てくるというわけですね。
 イラガの仲間は「刺す虫」の代表格で、「イラガ」を「刺蛾」と書きます。果樹や庭園樹に多く着いていますから、我が家には沢山住みついていて私はよく刺されます。結構腫れしばらく痛みや不快感は続きますが、ブユや蚊のいつまでも続くかゆみによりはましかなと思っています。成虫は特に悪さはしないようですね。
 我が家では沢山いますが都会では見かけなくなったという話も聞こえてきます。ありがたい虫でもないからそれでもいいのかもしれませんが、また一つ自然が消えかかっていると思うと一抹の寂しさ覚えます。
 また「これはなんだ?」メールをいただきたいですね。待ってます。

カリアンドラ

2007年01月27日 | 自然観察日記
 久しぶりの荒れた日です。カミナリは時々鳴り響くものの、雪の気配はありません。夜なべのせいで日中はウトウトとテレビを見るような見ないような・・・。
 今日は何を載せようかいろいろ思案して、過去の素材をチェックしています。そんな中、紹介していないものがいくつか出てきました。その中からカリアンドラの写真を載せます。日本のネムノキを白くしたような花をつけるマメ科植物です。緋色の花が咲くベニゴーガンの白花品種とされていました。新宿御苑の温室で映したものです。「カリアンドラ・ハエマトケファラ・アルバ」という名がつけてありました。
 それにしても、マメ科の植物も変わり者が多いグループだと思います。蝶形花をつけるものから、花弁を持たないネムやカリアンドラのようなもの・・。カリアンドラの花は小さな花が沢山集まっていて、その雄しべだけが長く伸びだすため全体が丸くボール状になります。根元に埋まるように雌しべがあるはずですが見えないようになっています。花後立派なマメの鞘が出来ると思いますが、マメと知るには葉も大きな特徴があって偶数羽状複葉を確認すればいいですね。





パキスタキス

2007年01月26日 | 自然観察日記
 今日も穏やかな良い天気です。生活するには本当にありがたいですね。少し遅い出社の途中でNHKの「わくわくラジオ」を聞きました。「日本の美しい言葉」とかいう特集でしたが、「四季」を山にたとえると、「冬は『山眠る』」「秋は『山飾る』」「夏は『山迸(ほとばし)る』」というのだそうです。では春はどういうのかという問題がだされました。この言葉は知りませんでしたからあれこれ考えて「春は『山歌う』」がいいなぁと思いながら正解を聞きました。「春は『山笑う』」なのだそうです。花が咲き乱れ若葉が芽吹く状態を表現しているのだそうですが、自分が考えたのもまんざらでもないなぁと一人悦に入りました。
 パキスタキスはキツネノマゴ科という妙な名の科に属す熱帯性の植物です。色鮮やかなのは苞葉で白いのが花本体です。今は温室で楽しまなければならない花々が春は野山に溢れます。もう少しの辛抱ですね。「山笑う」春を待ちながら、元気の出る黄色のパキスタキスを鑑賞しましょうか。

「ツボカビ」によく似た「とっくり」

2007年01月25日 | 自然観察日記
 雪が無いおかげであちこち散策が出来ます。遠出をするわけではないですが、普段気にもしないスポットを覗き込みます。そんなかんなで見つけた見事な造詣。「最近見た形だなぁ・・」と思ったのはテレビのニュースのときの「ツボカビ」の絵によく似ていたためです。「ツボカビ」は顕微鏡サイズのものですが、カエルなどの両生類に付くカビで壊滅的な影響を持つ恐ろしいカビということでした。ついに日本でも確認されカエルの絶滅が危惧されるようになったと伝えていました。
 しかし、これはハチの巣ですね。十数cmのものですが「とっくり」に似ているので「トックリバチ」と単純発想したいところですが実は「コガタスズメバチ」の巣です。トックリバチは「ドロバチ」が正式種名でとっくりは1~2cmと小型です。
 種は全く違うものでも「形」が非常によく似たものになることがしばしばあります。一般的に相似器官といいます。環境との関係で生じると考えることが多いのですがこの場合はどうなのでしょうか。面白いですね。

レインワルテア

2007年01月24日 | 自然観察日記
 アマ科というグループだそうです。栽培植物にアマというのがあって亜麻仁油などを採取します。私はまだアマを見たことがないのですが、綺麗な花のようですね。越後ではもともとアマ科の植物は身近にないので馴染みがありませんがこのグループには愛らしい花を有するものが多いようですね。世界には未知のものが本当に沢山あります。
 レインワルテア、別名を「雲南月光花」というのだそうですが、そういえば花の感じが日本のツキミソウに似ている気もします。大きな黄色の花を月に見立てるのはどの民族も同じなのでしょう。もちろん温室植物で花のびっしり付いた株はなかなか見ごたえがあります。

ウォーターレタス

2007年01月23日 | 自然観察日記
 ウォーターレタスとは雰囲気をうまく言い当てているように思います。別名はボタンウキクサといい近年害草として世間を騒がせている代物です。つい最近まで金魚や熱帯魚の販売店でよく見かけたものです。一見美味しそうにも見えますが食用にはならないとか。アフリカ原産のサトイモ科の植物と説明されていますが、繁殖力がとてつもなく凄くて、一度水系に放たれると短期間に爆発増殖するため栽培はもとより譲渡や販売も規制されました。これは保内の温室に栽培されていたものですが、今後はこういう場所で厳重に管理栽培されることになるのでしょう。
 とにかく植物だけでなく外来性の昆虫や動物は決して野に放たないでほしいと思います。日本本来の生態系の破壊はそれはそれは危機的な状況なのです。それはそうとこのウォーターレタスの繁殖力が凄いならこれを利用した物つくりが出来ないかな・・と考えてしまいました。


常緑樹の冬対策

2007年01月22日 | 自然観察日記
 常緑樹の厳冬期の過ごし方はなかなか面白いものです。大方は細胞内の水分を減らして細胞内で水の凍結を防いでいるというものです。水は細胞間隙や細胞外で凍結するものの細胞内微細構造を傷つけることが無いのだそうです。容積が減少するため葉は普通内側に曲がった状態になります。
 写真は我が家の斑入りのアオキの葉です。放射冷却で晴れ上がった朝の様子です。やはり内側に曲がっている様子がわかります。例年なら厚い雪のコートで守られるため雪の少ない年より過ごしやすいのかもしれません。
 アオキはミズキ科の常緑低木。雌雄異株で耐陰性があります。越後の低山にはヒメアオキという種がごく普通に生育しています。