カワラナデシコを観た後、高台に向かいました。その途中にコマツナギが花を咲かせていました。まずまずの株で強い日差しの中で咲き始めた花がとても綺麗でした。県内ではこの種も決して多いものではなくほとんど記憶にないほどです。資料によれば海岸沿いと大きな川に沿って点々と採集記録がありました。
マメ科の低木ですが草本と見間違えるほどの状態ですが、茎や根は丈夫で引っ張っても簡単にはちぎれないそうで、これから名前が付いたようです。確かめてみることも意味があるのですが、綺麗に咲いている枝を引っ張る気にはなれませんでした。
カワラナデシコが海岸脇の道路沿いに無造作に咲き乱れていました。つい最近まで至る所の荒地や道路脇などで見かけた気がするのですが、最近はほとんど見かけなくなっていました。ところがここでは雑草のように生えています。ここだけでなく空き地の縁やエチゴトラノオが生える草むらにも混在していました。カワラナデシコの本来の姿を見る思いで何故か嬉しくなりました。
高山植物というととても大事にされますが、路傍の花はそうはいきません。見た目同じものでもその扱いにこんなに大きな差があるのはいかがなものでしょうか。カワラナデシコももう絶滅危惧種に近い存在のように思っています。
茎ばかりでなく葉にもありますが、この逆棘が最大の特徴でしょうか。名前にも影響しているこの逆棘なのですが、ママコノシリヌグイにとってはこの棘で体を安定させる武器になっています。茎を丈夫でしっかりとしたものにしないでつるに近い状態にしたための必要不可欠な形質なのです。人間にとってはありがたくないものではありますが。
少し目先を変えて、暫く海岸の植物を取り上げることにします。絶滅危惧種に指定されているエチゴトラノオの花を観に行きました。暑い夏の盛りに咲く花で、今年は特に熱く海岸の自生地に行くのがかなり決意がいります。わずかな個体しか存在しないのですが咲き初めの花を観ることができました。
クガイソウと同じような花です。エチゴという名前がついている種はそれほど多くはないのですが、最も貴重な種はこのエチゴトラノオかもしれません。東北から北陸の海岸線に自生しているようで、新潟の海岸線に沿って点々と自生していることが確認されています。