森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

アシベニイグチ

2008年07月31日 | 自然観察日記
 数人の知人と散策しながら出会ったきのこで、「これはヤマイグチかな・・」などといわれたのですっかりその気になっしまいました。しかし、帰って調べると違いますね。柄が赤くなっています。ヤマイグチはこれはありませんから、アシベニイグチと判断します。食用には適しません。
 眼力が衰えたのか、ついうっかり無批判に受け入れてしまうことがあるのですね。絶えず勉強し軽々に結論を出さないほうが賢明です。とくにきのこは・・・。

ホナガクマヤナギ  花 1

2008年07月30日 | 自然観察日記
 6月14日に実の写真を載せました。今回は花です。色彩的にはとても地味ですが先のとがった総状花序が見事です。小さな花が集まっているわけですが3桁は確実にあるようです。

キンミズヒキ 果実

2008年07月29日 | 自然観察日記
 これはキンミズヒキの果実ですが、色といい形といい果実というよりむしろつぼみか何かに見えてしまいませんか。
 沢山ある細かい突起は付着するためのものでしょうが、じっくり観察すればなかなか素敵な造詣です。

キンミズヒキ

2008年07月29日 | 自然観察日記
 黄色の細長い花序を金色の水引に見立てたものとされます。夏の野原で良く見かけます。この時期の花でタデ科のミズヒキというのもありますね。2種は植物学的には全くつながりはありませんが、この時期の花に「水引」という名前は、お盆の時期と関係があるのでしょうか。

マメコガネ 3

2008年07月28日 | 自然観察日記
 日本の在来種の甲虫ですが、これが日本からの農産物にまぎれて外国に進出しました。生命力がとても強く見事に適応し大繁殖、農場などで大暴れしているんだそうです。
 アメリカなどは「ニホンコガネ」といって恐れられているとか。日本発の「招かざる客」になっています。

マメコガネ 1

2008年07月28日 | 自然観察日記
 悪名高い害虫です。7~8mmの色の綺麗な甲虫ですが、いろいろな葉を食害します。人里近い農園などに居付いているものと思ったのですが、こんな山奥にもいるんですね。ここは胎内市の胎内平奥です。

オオフクロタケ

2008年07月27日 | きのこ・菌類
 夏は実はキノコの季節でもあるんです。さまざまなキノコが地面から倒木から発生しています。量はさておき種類数は秋よりこの時期が多いかもしれません。
 ベニタケの仲間が点々と発生している林の中にオオフクロタケが出ていました。色彩が地味な割には目立つ存在です。大型のキノコで根元に大きな袋を持っているのが特徴です。 キノコの関心は「食べられるかどうか」が最大の点ですね。この菌は食菌とされます。

ナラ枯れ 3

2008年07月26日 | 自然観察日記
 綺麗に舗装された道路ですが、脇の草木が生い茂って1/3ほど覆っています。ほとんど利用されていない道路です。こんな山奥にもったいない道を作ったものですね。
 ここにも、つい最近力尽きたナラの樹があります。一月前は青々としていた樹があっという間に茶色に変色するのですから衝撃は大きいですね。原因調査や対策がこうじられてはいるとは思いますが、なすすべがないといったところ。
 一説には里山が利用されなくなって害虫が増えているといいます。かってナラの樹は薪や炭に利用され周期的に伐採されていたものです。害虫が発生するのを適度に抑制していたのかもしれません。しかし、ナラが枯れても森がなくなるわけではありません。政権交代のように新しい樹種の森になります。

ナラ枯れ 2

2008年07月26日 | 自然観察日記
 すぐ脇にあったナラの樹も枯れています。葉が僅かについていますから、今年発芽し、そして枯死したのでしょう。カシノキナガキクイムシという害虫が原因しているのですが、根元には大量の木屑が噴出しています。害虫に侵されながらも、昨年まで水を吸収し樹の上まで運んでいた導管がこの春全部破壊され力尽きました。

ナラ枯れ 1

2008年07月26日 | 自然観察日記
 東京の某中学の林間学校のプログラムに参加するため、久しぶりに胎内平に出かけました。早めに行って下見ついでに周辺の観察です。そこで目撃したのがこのナラ枯れです。少し分かりにくい絵ですが、赤茶色になっているのが今年枯死したコナラやミズナラです。
 5年ほど前は弥彦山塊、その翌年あたりは三河周辺が酷かったのを思い出しましたが、今は胎内周辺が侵されているようです。かってのマツ枯れが北上したように、ナラ枯れが北上しているのでしょうか。


ユズリハの実を見て思う

2008年07月25日 | 自然観察日記
 よく知られたユズリハです。放射状の葉の並びが美しいですね。縁起物としてお正月に飾られるものですが、実を含めて有毒植物らしく、家畜が食べて事故が起こったという話があります。
 それはそうと、このユズリハは長岡の東山の「自然観察林」という公的に整備された園の中にあるものを写したものです。そもそも越後には矮性のエゾユズリハというのが普通にありますが、高木になるユズリハはありません。これは西日本の種です。「自然観察林」を整備するために、わざわざ植えたものです。これ以外にもいろいろなものが植えられました。
 でも、何か変ですね。「自然」を観察するのにそこにはないものを植え込むなんて・・。「植物園」ならそれもありかな。「自然観察林」となるとやっぱり変です。それも、そこの植生を考慮して移植されたというならまだしも、業者の持ち合わせの樹種を植えたようだというのですから・・いやはや。一昔前の公的事業の一端です。
 おまけに移植したユズリハはほとんどが雪に痛めつけられて、見る影がありません。いづれ適応しないものは消えていきます。ゆっくりと時間をかけて、あるべき姿に戻っていくと考えられています。人の過ちを自然は直していくんでしょうね。

野生のブドウの実

2008年07月24日 | 自然観察日記
 これなんだと思いますか?越後にある野生のブドウ属の種はヤマブドウとサンカクヅルとエビヅルの3種でしょうか。このどれにも当てはまらないのです。しかし、実は間違いなく野生のブドウですね。
 いろいろ悩んだあげく、一応の答えがヤマブドウの毛の薄いタイプというものです。サンカクヅルにしては葉が大きめで丸すぎますし、エビヅルにするには葉の切れ込みがありません。ヤマブドウの葉は浅い切れ込みが出るのが普通で、もっと葉が大型でクモ毛が沢山つきます。これもフィットしない・・。
 しかし、葉柄の付け根が深く心形になっていることや自生の個体で丸い葉も目撃していますから、かなり小ぶりの個体ですがヤマブドウということにしかならないんですね。エビヅルの丸い葉の個体があるのならそうしたいところです。
 形態的に種を判別するというのはかなりアバウトな作業です。実際の個体は環境に適応して自由奔放でいろいろな変異が生まれているのではないかと思います。一見別種でも同じ仲間ということがたびたびあります。しかし、どこか種を特徴付ける部分はしっかり持っている・・。それを探し出すのが形態学なのかもしれません。今日はかなり理屈っぽくなりました。

マルバアオダモの実

2008年07月23日 | 自然観察日記
 春に白い花を沢山付けていたアオダモの実です。しっかりと観察してあげないと見過ごしてしまいます。トネリコ属の特徴的な実でプロペラを半分にしたような形で翼果といいます。昆虫に頼らないで風に身を任せたグループですね。散ったときはくるくる舞って落ちていきますから、多少は親より離れたところに着地し発芽で来ることになります。