アップダウンを繰り返しながら山頂に近づくにつれいわゆる高山植物がどんどん顔を出してきます。タカネナデシコも登山道わきに見られました。平場で見るカワラナデシコとどこが異なるのかにわかには分かりませんが、とりあえず高山帯に見られるものはタカネナデシコにします。
カワラナデシコとの違いが最も色濃く出るのががくの下の苞の数です。1-2対と少ないのがタカネナデシコ3-4対がカワラナデシコだそうです。確かに1-2対しか認められませんからこの個体はタカネナデシコです。他には花の切れ込みが細かく色も濃いように思います。
ナデシコ科ノミノツヅリ属のカトウハコベです。珍しい高山植物で小至仏山手前の蛇紋岩が露出している当たりに見られたものです。この仲間についてはあまり知識を持っていませんでしたのので、現場では新しい種に出会ったなぁくらいな感想でした。家で調べて初めて蛇紋岩地帯に生える貴重な種であることを知りました。発見者の名前にちなんでの命名だそうです。
花が目立つためでしょうか葉らしき葉がうまくとらえられません。花径が伸びていますがその節にある葉がこんな葉です。チョウカイフスマやメアカンフスマに比べて葉が小さいようです。茎葉腺毛がたくさん見られます。
ワタスゲが優先する湿地もいくつかりましシカの侵入を防ぐためにこの湿地はぐるりを網で囲ってあります。尾瀬のシカ問題は本当に心配な問題です。積極的に駆除されているということですが追いついていないのが実情です。それでも知人の話では昨シーズン尾瀬の桧枝岐村では一人で200頭のシカを獲ったという話を聞いているとか。頑張ってほしいものです。
キンコウカは低地から高山帯まで湿地環境によく見られる種です。低地で見ることは稀ですが、亜高山から高山帯では明るい湿った場所では普通に見られます。時には大群落になって見事な花景観を作ることがあります。また断崖になっているところでも水がしたたり落ちるような環境では岩にへばりついて花を咲かせていることもあります。至仏山の尾根筋にはところどころ窪地もありスゲ類やキンコウカあるいはワタスゲが繁茂している箇所がありました。
以前はユリ科キンコウカ属とされていたのでなかなか新しい分類に馴染めないのですが、今はキンコウカ科キンコウカ属とされています。キンコウカは一つの花で見ることが少ないので単独で見るとまた違ったものに見えてきます。整った綺麗な花です。花糸に黄色い細い毛がたくさん付いています。
秋田から福井辺りまでの日本海側亜高山帯を中心にみられるオオバツツジがありました。森林限界が過ぎて低木帯に入るあたりの尾根筋です。個体数はそれ程多くはありませんから新潟の山地でもなかなか出会うことは少ないのですが、苗場山塊・三国山・平標山・越後三山など群馬県境の山岳ではそれでも出会う頻度は高いエリアです。至仏山もこれらの山塊と同じエリアと考えられますから自生が見られるのはある意味当然なことです。