森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

トキソウ ①

2013年07月31日 | 自然観察日記
何度も小松原湿原に来ていますが、今回ほどトキソウの多さに驚いたことはありません。下ノ代湿原にたくさん出てきて一行は歓声をあげたものですが、中ノ代・上ノ代と大量にあるので最初の感激もどこへやら、最後は「見飽きた」などと冗談を言う人が出る始末でした。特に木道に接するような足元に多くありましたから、木道との因果関係がある気がします。多くの湿原は7月に訪れるのが最も多くの花と巡り合えるのですが、今回はピタリと時期があったようです。

トキソウ ②

2013年07月31日 | 自然観察日記
トキソウの淡いピンクが好きという方も多く、山野草の魅力を十二分に持っている素敵な花だと思います。自生ランは比較的地味で目立たないものが多い中、控え目であるにせよ強い印象を与える花です。
トキソウは湿原の花というイメージですね。確かに開けた明るい湿原に見られるものですが、しかし湿った崖などにも結構あって沢歩きをしているとしばしば遭遇します。この時は決まって下から花を見上げる位置にありますから、今回のように上から花を見るわけではありませんから印象はかなり違います。そして、沢の階にある個体の方がなんとなく色が白いようで、僅かな違いではありますが湿原の花の色の濃さが印象的でした。

アサヒラン

2013年07月30日 | 自然観察日記
アサヒランは極端に多いということはありませんが、かなりの個体数を見ることができます。湿原の中を歩くわけにはいきませんから多くかたまって生育している場所があるかもしれませんが、木道から見える範囲ではせいぜい10数個の花が見られる群落が点在している感じでした。しかし、アサヒランをこれほど多くを確認したのは何度も訪れていながら初めてでこの湿原の豊かさに感動です。

アサヒラン 花

2013年07月30日 | 自然観察日記
比較的地味な湿原の花の中では赤紫色の花は場違いの感じさえします。どの花も横を向いて半開き。咲いているのかいないのか近づいて見ないとよくわかりませんね。特に大きな花ではありませんからこれくらいの強烈な色彩を持っていないとアピールできないのかもしれません。下ノ代の湿原より中、上ノ代の湿原の方が多くの個体数を確認できます。湿原の大きさにもよるかもしれませんが、むしろ高度の差が個体数の差になっているのかなといった感想です。

キンコウカ 群落

2013年07月29日 | 自然観察日記
これから柿を迎えるキンコウカは一番下の下ノ代という湿原からたくさん見られます。中ノ代・上ノ代湿原にもかなりの量がありました。花盛りの頃はおそらく黄色の絨毯になるのではないでしょうか。今年は7月下旬から8月上旬。私は渓流釣りに興じた経緯もあるためか、キンコウカはこういう湿原ばかりでなく水がしたたり落ちるような濡れた崖にもよく見られるため、経験的には岩場の花のイメージが強いのです。ここは開放的な平坦な空間で渓谷の狭い入りくんだ環境とは著しい差があるように思います。それ差を埋め合わせているのがミズゴケなのだろうと考えています。ミズゴケはヌマガヤやツルコケモモなどが生育する基盤になっていて厚く重なり合っています。黄色の絨毯というとニッコウキスゲが思い浮かびますが、この小松原質原には全く見られません。

キンコウカの花

2013年07月29日 | 自然観察日記
キンコウカの花をまじまじと観察しました。ユリ科の花ですから3数性の花です。澄んだ黄色一色の花はとても美しいもでした。今回特に目に止まった雄しべです。花粉を出している雄しべは基部が太くて何か鳥など動物を連想する形状をしています。あるいは中央の雌しべを守る兵のようでもありますね。有毒植物ということになっています。

ワタスゲの群落

2013年07月28日 | 自然観察日記
標高が低いともう終わっているワタスゲがちょうど見ごろを迎えていました。量は決して多くはありませんが3段になっている小松原湿原の各湿原に平均的に出現します。緑色の湿原に白いワタスゲは絵になります。遠目でもそれと分かり、いかにも高原を旅する雰囲気を醸し出してくれます。ちょっといい気分・・・。

ワタスゲ 花

2013年07月28日 | 自然観察日記
綿帽子は実は花の後の果実期の状態です。ですから花を知っている人はほとんどいませんね。この絵も実は花が終わって果実の毛がの伸び始めた状態ですから「花」という訳にはいきませんが、なんとなく花のイメージを持ってもらうために載せました。私もどれが雄しべでどれが雌しべか指摘できない状態ですからかなり無責任ですが、花に最も近い状態かなと探したのがこれでした。湿原内を歩き回ることができませんから木道沿いで探したのですよ。

ワタスゲ 種子

2013年07月28日 | 自然観察日記
すでに種子が舞っていてその一つが湿原の草に引っかかっていました。小さな種子から繊細な糸が沢山出ている造形はこれだけでも芸術に値するものではないでしょうか。美しいものです。

小松原湿原 木道

2013年07月27日 | 風景
再び小松原湿原に訪れる機会がありました。仲間同士の研修会という名目で一泊二日の旅です。このところ前線の影響で雨に祟られていたのですが、天が味方したのかこの湿原の旅は穏やかで絶好の日になりました。
小松原湿原は2年前に来ていますが、花の季節が少しズレていたため多くの花を観察できなかったのですが今回はこの反省を踏まえて少し早目の入山を計画したものです。
小松原湿原は苗場山につながる西側の尾根の一角にあり新潟県内では尾瀬に次ぐ高層湿原とされています。海抜およそ1500m。オオシラビソやネズコなどの針葉樹が出てくる亜高山帯に形成されている価値ある場所です。私はこれまでに十数回は来ていますが今回ほど花の多さに感動したことはなかった気がします。

小松原湿原 池塘

2013年07月27日 | 風景
小松原ヘは旧中里村の倉俣地区から入ることが多かったのですが、今は津南町のグリーンピアの脇から簡単に入れます。ただし、途中の林道はゲートが閉じていますから、ここから湿原のいり口までは4~5㎞は歩かなければなりません。これがかなりのハードルで多くの人が気安く来れない場所になっている原因ですね。自然が荒れるのが防がれているという面がありますが、もっと多くの人にも素晴らしい自然を味わってほしいと思っていますから何かしらのサービスがあってもいいのかなと考えています。今回は途中の林道の荒れがひどいことに驚きました。2年前はきれいな路面が今回はガタガタ。雨水による損傷の大きさに驚かされます。しかし、先回イノシシのヌタ場ではないかと疑われた湿原の数か所の荒らされた跡は今回は確認できませんでした。
湿原入口から山小屋までの散策道は快適で桃源郷の散歩のようでした。途中の餓鬼の田んぼといわれる池塘や谷内坊主。花ばかりでなくトンボやチョウの飛翔も楽しみながらの研修でした。

小松原小屋

2013年07月27日 | 風景
宿泊した小松原小屋です。新しくできたばかりの時、当時高校の教員でしたから生徒を連れてここに泊まったことがあります。秋でキノコをどっさり採集してキノコ三昧をした思い出がある場所です。もうそれから40年くらいは経っているのですが、当時とはあまり変わらない気がしました。さすがに雨戸は腐れが出ていましたがしっかりした無人の小屋です。貸切状態で昼過ぎには着きましたから、夜が更けるまで山小屋での語らいを楽しみました。

浮島

2013年07月27日 | 自然観察日記
今は木道がしっかりできていて、また登山マナーも浸透していますから逸脱した行動はできません。この浮島はまだ木道も整備不十分な大昔に湿原の観察をする中で見つけたものです。それがまだ同じ状態にあることが確認できました。湿原の遷移は本当にゆっくりしたもので40年近く経っても変化したようには思えないのは当然なことなのでしょう。

イワウチワ 夏の頃

2013年07月26日 | 自然観察日記
越後は春早く残雪がある山に登るとその道筋にイワウチワの花が沢山咲いていて花の国を実感させてくれますね。地を這う割には大きな花でさらに優しい色具合で魅了します。越後の名花の一つだと思います。そんな花も夏は目立ちません。周りの緑と溶け合って気をつけて見ていないと見逃してしまいます。しかし、彼らにとってはこの季節も大切な時間で粛々と次の世代へ引き継ぐ準備をしています。