森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ヒメジソの花に想いを寄せて

2010年12月31日 | 自然観察日記
八木鼻シリーズを締めくくり今年最後に登場するのがヒメジソの花。山際ならどこにでも生えている野の花で秋に咲く花ですから遅くても花が見られるものです。車道脇の草むらに生えていました。あえて艶やかな花を選ばずごく普通に傍にある花、でも輝きはあります。きちんと整った花姿はすばらしい造詣です。もう雪のシーズン、咲いた花もここで一休み。来春の賑わいにバトンタッチというところです。

現実の生活とは 少し離れているけれど
目立たない小さな草花に 心を寄せて
自然に語らい 自然に励まされて
ただひたすら前を向いて 歩いてきた1年のようでした
過ぎ去る日々は早く感じます
来るべき日々の山坂を 山野を巡るときのように
また来年も歩き続けることになるのでしょう
自然に支えられながら・・・

オニドコロ 実

2010年12月30日 | 自然観察日記
実といっても種はとうに飛散してからっぽです。平たい翼状の突起が3方向に飛び出た構造。樹に絡まった状態で実の部分だけが風に揺れているという風情です。オニドコロというヤマノイモ科の植物。ヤマノイモのように塊根を食べることは出来ません。それにしても飛び出す種子に翼があるのはそれなりに説明も出来ますが、わざわざ実の本体までそれに似た構造を持つ必要があったのでしょうか。一見特殊な構造ですから、ここに来るまでの紆余曲折はあったはず、「何でだろうなぁ・・」などと考えをめぐらすだけでも楽しいことです。

オオカメノキ 冬芽

2010年12月29日 | 自然観察日記
これはまた可愛い子供が万歳でもしているかのような冬芽です。オオカメノキですね。こちらは芽鱗という防寒具を身につけていないいわゆる裸芽。寒さに強い種というべきか、ここがそれほど寒くない場所なのか・・。どちらでしょうね。結構高山帯近くにも生育していますから寒さに強いと理解しましょうか。葉痕も面白い種でさらに花も良し実も良しでオオカメノキは一年中観察していても興味尽きない種です。

ウリハダカエデ 冬芽

2010年12月28日 | 自然観察日記
マイナーなところでもう一種。ウリハダカエデの冬芽です。名前の通り枝の肌が緑色をしていて花は地味でも樹種を特定するには造作がない種ですね。葉が対生する種ですから芽も対生してつきます。花は伸びた葉の葉腋からでますから花芽と葉芽の区別は付きません。ただ葉だけの芽もありますから大きさを比較するとその差異があるのかもしれません。花はともかく紅葉の赤い色は里山にはなくてはならない存在でしょうか。

クロモジ 冬芽

2010年12月27日 | 自然観察日記
クロモジも沢山あります。この時期も枝を折るといい香りがします。観察会などでこの冬芽を見せて人の顔を連想してもらうのですが、なかなか同調してくれない場合があります。「想像力がないなぁ」と苦言を呈するのですが、森の妖精か何かに見立ててくれるともっと素敵だと思うのですが・・。リョウブだって人の顔に見えるではありませんか、こんなところに遊び心を発揮してくれる人を案内するときが幸せですね。アオダモとは異なり、両側の丸い芽が花芽で真ん中の細長いのが葉芽です。

マルバアオダモ 冬芽

2010年12月26日 | 自然観察日記
冬芽なんていうのは極めてマイナーな世界で「しぶい」の一言。そんな中でもしぶい冬芽はこんなものでしょうか。芽鱗にしっかり包まれて整っていますね。厳冬でも大丈夫、まさに「整いました~」です。種はマルバアオダモ、春には白い素敵な花を見せてくれるものです。良く見ると陽の光に照らされて青みがかった芽鱗の表面がなかなか良いではないですか。中央の大きな芽が花芽、両側の小さいものが葉芽です。

タムシバ 冬芽(花芽)

2010年12月25日 | 自然観察日記
庭の木にもこんな冬芽をつけてい樹があるのではないでしょうか。モクレンの仲間の木々がこんな温かそうな冬芽(花芽)をつけます。八木鼻の稜線上には沢山のタムシバが生育していて、みんな3m前後の低木なのですが花芽が沢山観察されます。展望も良くそれほどきつい登りでもありませんから早春の散策もなかなか素敵な場所になるようですよ。

リョウブ 冬芽

2010年12月24日 | 自然観察日記
里山では下草刈りを行って林床の草花に光を与えようとします。その際このリョウブを除くことがあるのですが、その後の切り株や根からの萌芽力は物凄いもので生命力には感心させられます。夏には白い房状の花を咲かせ越後のいたるところに生育し一種の表徴種にもなっています。若葉を乾燥させ「糧めし」の「糧」として利用したという話も聞きます。厄介な面もあり活用される面もありなのですが、そんなリョウブもこの季節の冬芽がなんとも愛らしいのです。ちょこんと帽子をかぶった子供でも連想できそうな姿が気に入っています。

ホウチャクソウの青い実

2010年12月23日 | 自然観察日記
八木鼻の直下には八木鼻神社という社があり古くから信仰の地になっています。社を取り巻くスギ林の中に登山道が作られているのですが、その道沿いにホウチャクソウの実がぽつんと付いています。花の季節は取り上げられることも多いのですが、この季節は葉もなければ枯れかかった茎の先に濃紺の実が一つ。近くにも同じようなものが幾つかありました。もの本には果実は黒く熟すというのが多いのですが、私にとってはこれはどう見ても「黒」とはいいがたいですね。こういう状態まで観察して記載されるとどういう表現になるのでしょうか。事実は本の中にあるのではなく自然の中にあるものだと最近良く思うことがあります。本物を求めて常に眼や心を磨かなくてはいけません。さてこの実はこのあとどうなるのでしょう。

降雪まえのガンクビソウ

2010年12月22日 | 自然観察日記
ガンクビソウ(ノッポロ)もしぶとく花をつけていました。秋の花ですから気温さえあればご覧のとおりです。多年草ですから条件さえあれば強い生命力を発揮し次年度の栄養や子孫を蓄えたり残そうとしているということでしょう。さっさと休眠状態に入る種もあれば頑張っている種もあります。しかし雪が降りましたから今頃は雪ノ下になって静かに眠りについていることでしょう。

初冬のキリンソウ ①

2010年12月21日 | 自然観察日記
温かいせいでしょうかキリンソウが花を見せていました。普通は初夏の花として扱われるものですが師走にそれも八木鼻の国道脇。もっとも花は大きな塊にはなっていなくてぱらぱらと散在している感じで力強さはありません。それでもここの一角が青々として周りの風景になじまない状態です。ベンケイソウの仲間には案外寒い時期にも適応しているものも見受けられますから、そんな能力を発揮するDNAでもあるのでしょうね。

初冬のキリンソウ ②

2010年12月21日 | 自然観察日記
咲いている時期が変わっているだけでなく、花にも変異が見られます。普通は5数性の花(右下)を作りますが、4枚の花弁を持つ4数性の花(左上)が見られます。観察してみるとここの個体群には結構4数性の花があって「まれな状態」ではなそうです。いろいろな形質を持っている種は盛んに変異をしているということですから発展途上の種とも理解できます。環境にどんどん適応していこうとする現れなのかもしれません。

ヤマウルシ

2010年12月20日 | 自然観察日記
すっかり葉を落としたヤマウルシの樹に果実の残骸が残っています。中にはまだ種子が沢山残っています。種子を乾燥させると発芽が悪いといわれますが、ヤマウルシはしっかりと乾燥させています。種子を一斉に撒き散らすのも一つの方法、時間をかけてばら撒くのも一つの方法です。ヤマウルシは後者の作戦を行っているようですね。里山には沢山の個体が生育していることからこんな作戦も功を奏しているのではないかと思います。

ハナヒリノキ 紅葉

2010年12月19日 | 自然観察日記
ハナヒリノキの葉が綺麗な色で紅葉していました。樹いっぱいに紅葉した葉をつけているわけではないので少々見劣りはしますが、枝先に残された葉が最後の輝きを放っていました。同じツツジ科のドウダンツツジの紅葉に通じるものがあるのかもしれません。ハナヒリノキの紅葉を「暗赤色」としたものもあるようですが、その先の変化を示したものは見かけません。落葉の直前のこの済んだ赤色を知る人はほとんどいません。大変美しいものなのです。

ハナヒリノキ 実

2010年12月19日 | 自然観察日記
ハナヒリノキのハナは「鼻」でこの植物の花粉か葉の毛(落ちやすい?)が原因でくしゃみがでることからこんな名が付いたようです。花はつぼ型の花が列になって下向きに咲くのですが、実はみんな上向きになって並んでいます。アジサイの上向きに咲いた装飾花が咲いた後に反転して下を向くのとは反対の反応です。面白いですね。種子を撒き散らすにはこのほうが有利なのでしょうか。一見余り変わらないような気がしますが、彼らにはどんな理由があるのでしょう。