森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

クヌギの残り果

2012年01月31日 | 自然観察日記
クヌギの果実、ドングリが枝についていました。おそらく虫にやられて落ちることが出来ずそのままくっついているのでしょう。昨年はクヌギばかりでなくコナラも虫の害にあってまともな実が集められませんでしたね。
クヌギといえば昨年は面白い体験をしました。それは、クヌギの苗を作ろうとクヌギドングリを集め100鉢ほどビニポットに植え込みました。それを杉の林の中に置いて冬を過ごさせたのですが、雪解けの後そのポットを取り出してびっくり。植え込んだドングリがことごとくなくなっていたのです。犯人はリスでしょう。冬場、エサがない中でこのドングリをごっそり持って行ったようです。貯食という性質があることは有名ですが、自らが溜め込んだものを食べるのなら話も分かりますが、私が植えたものまで持っていくとは・・・。ということは、蓄えた場所を覚えているのでなくて臭いか何かでその場所を探しているということになるのではないでしょうか。
今年もクヌギの鉢を作りました。今度はプラスチックのトレーをカバー代わりに、またその上に他の種を蒔いたトレーをのせてリスに臭いをかぎわけられても何重にも障壁をこしらえて防御しました。果たして・・・。

里山冬景色

2012年01月30日 | 風景
今年も大雪の気配です。先回の寒波に続いて再び寒波の襲来があると天気予報は伝えています。仕方なしに一回目の雪下ろしを済ませ、次の襲来に備えました。長岡はまだいいほうで、十日町方面はもっともっと大変そうですね。
生活の中の雪は好きではありません。しかし、一時の晴れ間に見せる里山の冬景色はいいですね。不思議な感動を覚えます。多くの画家が雪景色を手がける気持ちもちょっとは分かるような気がします。モノトーンの世界でも奥行きがあるのです。

雪の中のポプラ

2012年01月30日 | 自然観察日記
これは丘陵公園の健康ゾーンの丘に立つポプラ並木。この公園の一つのシンボルになっています。今まで降り続いた雪が着雪となって趣を演出しています。良く見ると枯れ歯が沢山付いていて、それが原因で比較的多くの雪が付着しているようでした。

雪原のクヌギ

2012年01月30日 | 自然観察日記
冬は生き物がいなくなると思いきや案外活動しているのです。晴れると特にカラ類やウソなどの小鳥が動き回わっています。このクヌギにも一時何かが動いていたのですがカメラを構える前にいなくなりました。

トドマツ

2012年01月29日 | 自然観察日記
裸子植物は種子植物のなかで下等なものとされます。面倒な話になりますが、種子を作る部分、胚珠(はいしゅ)が心皮(ざっくり言ってめしべ)によって包まれず露出していること特徴とされる一群で、恐竜時代は北極圏にも繁茂していたようでいずれも木本で草本はありません。生育面積は大きいですが、種類数は少なく日本ではスギ類、マツ類、ヒノキ類などが自生しソテツなどもわずかに分布します。イチョウはもともと中国のものが移入され広がったもので自生はありません。イチョウとソテツの「精子」が日本人によって発見されたことは有名ですね。マツ類やスギ類には精子はありませんから、裸子植物とはいえど前種とはまた一段と進化のレベルが違います。

トドマツ:マツ科 北海道に自生。よく一緒に話題になるエゾマツとの違いは、葉の先端が2つに割れているかいないかが簡単な区別点です。写真の個体は鉢に植えられたものを写しましたので葉の量が少なめですが葉の先端が2分していますからトドマツになります。

エゾマツ

2012年01月29日 | 自然観察日記
この鉢は個体はエゾマツ。葉の付き方は自然界ではもっと扁平になっている場面が多いのですが、葉先は2分せず尖っています。

チャセンシダ

2012年01月28日 | 自然観察日記
シダ植物も一歩踏み込むともうたいへんな世界が広がっている分野で見えてくるにはそれなりの努力と時間が必要になります。私はほとんど門外漢ですが、ヒカゲノカズラ類とは違って胞子は雌雄がなく発芽すると造卵器と造精器をもつ個体(前葉体という配偶体)が生じるグループがあってこちらを新生シダ類というそうです。私たちが普段自然界で見かけるシダ植物はこの真葉シダ植物です(系統進化的には 茎から葉が発達する過程の中で小葉シダ類と大葉シダ類にわかれ、小葉シダ類からヒカゲノカズラ、大葉シダ類からシダ植物が進化したとなっています)。

チャセンシダ:シダ植物 (真葉シダ植物) 薄嚢シダ類 チャセンシダ科 常緑のシダで日本各地に分布。小型種です。

イワヒバ ①

2012年01月27日 | 自然観察日記
種子を作らない種といえばシダ植物やコケ植物などです(もっと下等な種もありかす)。しかし、化石学的には種子を持つシダ植物が存在したそうで「シダ種子植物」というそうです。現在は絶滅していて残ってはいません。「進化」と「絶滅するかしないか」ということは別問題でさまざまに変化する地球の環境にその時点で適応するかしないかの問題です。

イワヒバ:シダ植物 ヒカゲノカズラ類 イワヒバ科(よく使われる分類方法)。断崖絶壁の岩肌にへばりついているのがよく観察されます。乾燥時には丸まった姿で乗り切ります。適応という面で見ればこんなに進化したものもなかなか見られないのではないでしょうか。古典植物として昔からいろいろな園芸品種が作出されています。交配で作出したというより、自然に生じた部分的に変異したものを選抜増殖させたものと考えています。

イワヒバ ②

2012年01月27日 | 自然観察日記
葉は麟片様で規則的に並んでいます。赤い色素を含む品種もあります。この先に胞子を作る胞子のうが作られます。ヒカゲノカズラの仲間は胞子は大胞子と小胞子という2種できるそうで大胞子は造卵器に小胞子はせいしを作る造精器をもつ個体(配偶体)になり受精で次の個体を作ることになっていますが、目で確かめたことがないですね。

オトコヨモギ

2012年01月26日 | 自然観察日記
もっとも進化した花は何だろう?自然界で生活している全ての種はそれぞれが何かしらの工夫を凝らして日々適応し生活していますからその意味で進化しているといえばいえますが、遺伝的な面で機能とか形態で「進んでいる」と考えらるるものは何でしょうか。
いろいろな考えがあるでしょうが、ざっくり言って種子植物はシダ植物よりは進化していると言えますし、シダ植物はコケ植物より進化しています。理由は生殖し方とか形態の多様性や分布の広がり、遺伝子解析による見解など多くの点で裏づけされています。

私が普段注目している種子を持つ植物(種子植物)は進化した植物として大きなグループです。その仲間でも多くの分類がなされます。裸子植物と被子植物。被子植物はさらに双子葉植物と単子葉植物に細分化されますね。ここまでは高校レベルの話しで誰もが一度は学んだことです。

オトコヨモギ:キク科 キク科の植物は図鑑などでは双子葉植物のグループで合弁花類の分類の最後に登場するように編集されています。つまり、このグループの中ではもっとも進化しているグループと位置づけられいるのです。といってもキク科もさまざまな形態をした種がさまざまな環境に存在しています。ヨモギの仲間は受粉を昆虫に依存せず「風媒」に向かった種のようです。


ウサギゴケ

2012年01月25日 | 自然観察日記
花式図というものがあります。一度や二度は見たことがあるのではないでしょうか。花を構造的に理解するために考えられたもので、がくか花弁かを識別する根拠になります。一般論では花は内側から外に向かって、雌しべ、雄しべ、花弁、萼片、苞という順番で器官が並びます。その何番目にあたるかで花弁やがく片に識別するというものです。一見して分からない隆起構造になっていたり他のものに変化していることもあるそうで単純識別できないものも多いようですね。

ウサギゴケ:タヌキモか科 ミミカギクサの仲間の食虫植物で日本では見られません。ただ園芸店などではよく見るようになって来ました。花弁がユニークな形態になってかわいいうさぎを連想させます。そのうちに日本の湿地に自生するようになるかもしれません。

カラマツソウ

2012年01月24日 | 自然観察日記
花という存在は不思議なものです。花が嫌いという人はいないと思いますが、その立場によってそこから得るものが異なります。例えば詩人が見るか科学者が見るかでまったく違った表現になってしまいますね。科学のエリアにいる私にとっては、花は機能や形態に目がいきます。その中で紛らわしい問題が花弁かがく片かというもの。咲いた花の「はなびら」を見てこの花は花弁でこの花はがく片と区別します。その違いは何なのかを明確に知っている人はほとんどいませんね。ものの本に「そう記載されているから」で済まされています。そういう私も形態を分析して言っているわけでなく、ものの本に説明されているからにすぎません。

カラマツソウ:キンポウゲ科 日本にはいくつかの種が分布していますが、いずれも「花弁」はなくがくが直ぐに落ちるか目立たないため花はおしべが目立つものになります(ただ、シキンカラマツはがくが最後まで残ります)。

マンリョウ 鋸歯

2012年01月23日 | 自然観察日記
西日本の暖温帯には極普通の低木ですね。古典植物ですから園芸種もたくさん作られています。これもそのうちの一つで「べに孔雀」という名札が付いていました。珍しいのでしょうが、そんなことは私には興味がありません。それより、マンリョウの葉の波形の鋸歯です。独特な鋸歯で外にこのようは形状のものは無いのではないでしょうか。単純な形ではなく縁が盛り上がっているのが興味深いところ。この点に関する話題などが聞こえてこないのが不思議といえば不思議です。細胞学的にはどのようになっているのでしょうね。顕微鏡観察した人がいたら教えていただきたいと思います。遠い昔このふくらみにウィルスがいいるというような話しを聞いたような・・・。少なくともぼこぼこしたふくらみはウイルスの影響なのだとかいう話だったような気がします。でもその真偽は不明で未だに引きずっています。

フユノハナワラビの胞子のう

2012年01月22日 | 自然観察日記
これは何でしょう?小さな「実」が割れて白い内皮が見えている・・?実は、鉢物にして観賞用に利用されるフユノハナワラビです。丸いぶつぶつは胞子のうですが、それが割れて胞子が飛散したあとなのです。実の割れ方は横割れ。どんな胞子がどういう出方をしたのでしょうか?ちょっと気になる問題です。造詣も興味深いですね。

トキワシノブの根

2012年01月21日 | 自然観察日記
日本産のシノブは落葉性ですから冬場には葉がありません。根もこんなにむき出しになることはは無いようです。台湾産のトキワシノブでしょう。シノブは樹上生活をする種ですから根が裸では新潟当たりでは適応できないのではないでしょうか。根の様子から暖地性の種と見当が付けれれます。
黒いぽつぽつとした点は何でしょうか。面白い紋様ですね。これは若い根にあった毛が落ちた跡で、緑色をしているところに意味があるのでしょう。毛が鬱蒼としていては光合成ができにくいはずですから、若い根の保護という役目を終えた毛が落ちたのではないでしょうか。