ニリンソウも多い山域です。尾根筋でなくやや湿り気の強い山麓部にたくさん見られます。イチリンソウ属の中ではワンテンポ花が遅い花。キクザキイチゲなどが終わりかけるとニリンソウが咲きだすというタイミングです。ふつう塊になって生育しますからしばしば大群落を形成します。イチリンソウ属の中にあっては唯一毒性がないとされ山菜として扱われていますが、猛毒種も含まれるイチリンソウ属の花ですから最近の書籍には食べないように記載されているようです。そういう私は過去に食べて経験があります。癖もなく食べやすい感じでしたね。
角田周辺でもヤマトリカブトが多く生育しています。それがニリンソウの群落に混じって生育しているためニリンソウを山菜にしない理由があるように思います。若いころは両種は区別がつかないくらいよく似ていて全く同じ場所に混在していますから、猛毒のトリカブトを誤って採取し食べるという危険があるのです。
小さな花で見過ごすことが多いヒメニラ。花が見られる期間も限られていますから新潟県内の海岸線に沿って結構普通にある花ではないかと思いますが、まるで注目されない花ですね。葉はやや平たく細長く地際から2・3枚出て脇から花茎が伸びてその先に小さな花を1・2個付けます。密生して生えているところもあり山菜の分葱のような雰囲気になることもあります。高木の葉が繁ってくるといつの間にか消えているというまさに春植物です。
角田山はオオミスミソウやカタクリが有名なのですが、今年は春が早くてすでにそれらの花はないかほぼ終わり。変わってヒトリシズカなどの花が咲き始めていました。ここには塊になって咲いていたので記録にと写真を撮りました。カタクリほど圧倒するほどの量はありませんが広範囲にまばらに見られました。庭先で植栽されている家庭も多くなんとなく花壇の花の雰囲気もあるのですが、もともとは里山雑木林の春の花。その季節に自然の山の中で見るのが最も感動する気がします。角田山は花の山。どんな種でも持ち帰って自宅の庭お飾ろうとしないで、ここに来て花を愛でるという気持ちがほしいと思います。
同属にフタリシズカがありますが、花の雰囲気がかなり違います。花弁はなく白いものは雄しべに相当するものでその基部には花粉を入れた葯があります。フタリシズカはこの長い白い部分が丸みを帯びた構造になっています。センリョウ科。
比較の上でキクザキイチリンソウを載せます。あいにく花が後半であったのと雨模様の天候のためにいづれの花もしっかり開花していませんが、花より葉でその違いを観てほしいと思います。越後ではこのキクザキイチリンソウが圧倒的に個体数が多くあり、色彩も濃青色から白色までバラエティーに富んでいます。
イチリンソウ属の花がいくつかありますが、これは正真正銘のイチリンソウです。越後ではキクザキイチリンソウがとても多く一般的ですがところどころでがく(花弁様)が5枚のイチリンソウが自生しています。私は長岡と加茂で観察したことがありますが、県内の分布は角田・弥彦山塊に大変沢山生育していることが知られています。村上や妙高近辺糸井川と記録があるようですが、その他の地域では極めてまれな種なのです。
アズマイチゲです。葉の形で判断します。アズマイチゲは県内全域に低山里山を中心に自生が見られますがキクザキイチリンソウに比べ圧倒的に個体数が少ないことが知られています。それでも、この角田・弥彦山塊はアズマイチゲが良く見つかるエリアです。これも特異的な現象ですね。面白いことに関東圏などではアズマイチゲが非常に多く出現します。どういう理由なのでしょうか?
かなりマイナーなキノコになってしまうかもしれませんが、カワラタケに似た感じのキノコです。やや古いものですがリング模様がなかなか渋い味わいを出しています。代表的な木材腐朽菌です。新鮮なものは明るい肌色にも見えるものです。カイガラタケは中心部が黒く縁が白いので新鮮なものはまず間違えませんが古くなると混同してしまいます。