森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ハキダメギク 残り花

2010年11月30日 | 自然観察日記
ハキダメギクもあります。こちらはまだ元気がいいですね。センダングサとは同じキク科の植物でもこちらは舌状花が5個あって小さいながらも花らしい花です。それにしても少々可哀想な名前を貰ったものですね。

センダングサ 残り花

2010年11月29日 | 自然観察日記
この時期は残り花や季節外れに咲き出した花が見られる面白い季節でもあります。つまり秋の花と春の花が同居することがあるのです。アメリカセンダングサは残りの花。多くは枯れて実だけがいわゆる「ひっつき虫」状態で枯れ草に付いていますから、うかつに藪に入るとその実がびっしり付きます。それはそうとこの花は舌状花がなくて管状花ばかりなのですね。こんな季節だからこそ観察してもらえるということでしょうか。

クルマバハグマの種子

2010年11月28日 | 自然観察日記
つい先日まで里山を彩っていたクルマバハグマの種子がこぼれはじめています。その一つを取り出してみました。キク科の種子には良く見られる冠毛がついている種子で風に飛ばされる意図があるようです。しかし、種子のほうはやや太り気味でバランスからみて余り遠くに運ばれそうにないですね。ためしに吹いて見てもそれほど遠くに飛びません。遠くに飛んでいくより親の傍の森の中に住んでいたいんでしょうか。
それはそうと冠毛の一本一本には枝毛が出ていたりなかなか造詣に秀でています。綺麗ですね。

ヒロハテンナンショウ 実

2010年11月27日 | 自然観察日記
今年の実ものはさっぱりですがそれでもヒロハテンナンショウの赤い実がかなり遅くまで見られました。もう茎が折れて地に伏しているものもがほとんどですが、わずかに立派なものが残っていました。どうもこの仲間は花の姿も含めてあまり好感がもたれないらしく「毒々しい」色とか言われてしまいます。かじってみるとかすかに甘さを覚える程度の味がするものですが、あまり鳥なども関心がないようでいつまで経っても減りません。

フユノハナワラビ 胞子のう

2010年11月26日 | 自然観察日記
まるで緑色の数の子みたい。丸い胞子のうがびっしり付いた胞子葉がスーッと伸びているハナワラビです。比較的明るい林の中に点々と見つかります。東山のファミリーランドという施設がありますが、そこに隣接する自然観察林のあまり人が踏み入らない植樹した場所が苔むしていますが、その中にこのハナワラビが沢山あります。

フユノハナワラビ

2010年11月26日 | 自然観察日記
この時期に緑色をしていますからお正月の飾りに好まれて床の間に飾ることから別名「床ワラビ」などという地方もあります。落葉し森がすっかり明るくなったころにせっせと光合成するように適応した冬常緑性シダです。確かに雪に押されて変形しない間はなかなか形がいいですね。

ヒルムシロの陸葉

2010年11月25日 | 自然観察日記
夏場水辺の管理で散々苦しめられたヒルムシロ、だいぶ元気がなくなってきました。そんななか浅瀬にヒルムシロの陸葉をみつけました。水草の多くは2形の葉を持ちます。水が沢山あるときの葉と水が無くなった時の葉の形態が異なるのです。水辺に住む適応形なのでしょうね。しかし、この葉もやがて寒さで枯れていきます。あとは種子がその命を引き継ぎ、また来年厳しい戦いが繰り広げられることになるのでしょう。

ミヤマシシウド 実

2010年11月24日 | 自然観察日記
セリ科の多くの種子の特徴を示しています。扁平な果実で数本の縦縞を持っていて実の周囲は翼状になっています。風で少しでも遠くに飛ばされようとしているのでしょうか。物に付着する装置は身につけていないようで散布は風に依存していると考えたほうがいいようです。

ツクバネ 実

2010年11月23日 | 自然観察日記
里山フィールドミュジアムでは、今年の実付がとても悪くてガイドがしにくいのです。その中でもツクバネの実がなかなか見つかりません。それでもようやく見つけてカメラに収めたものです。
9月頃だったでしょうか、知人が別の産地で若い実を沢山とって、それを塩で軽く味付けをしたものを持ってきて食べさせてくれました。これには驚きで「食べれるんだぁ・・」と周りにいた人も一応に驚きを隠せません。長い間観察してきたツクバネ、この実を食べようという発想は私には全く沸きませんでしたね。食べてみて癖はなくかなりでんぷん質があるようです。なかなかのものでしたよ。でも個人的にはあまり取って欲しくない気がします。

ススキ 果実

2010年11月22日 | 自然観察日記
ススキの実です。どこにでもあるものでも拡大してみることはほとんどありません。肉眼以下顕微鏡以上の範囲にはとても素敵な世界が広がっています。ススキの実でもその巧みな造詣に舌を巻きます。上には長いノゲが飛び出ていますし、種子の基部には白い毛が付いています。軽い種子ですからこの程度の毛でも十分に風の力である程度の距離を飛んでいけます。
ススキの根元にナンバンギセルが寄生していて、この里山にもあるという話を聞いてはいるのですが今年もとうとう見れずじまいでした。

ベニバナボロギク

2010年11月21日 | 自然観察日記
かなり幅を利かせている帰化植物で園路に点々とあります。それでも花が可愛いので大目に見てはいますが、増えすぎた部分はせっせと駆除しています。賽の河原みたいなサ行ですが、セイタカアワダチソウほど嫌らしくないので助かっています。今はもうさすがに花を見かけませんが、月初めにはこんな綺麗な花も見かけました。

カナムグラ 雌花

2010年11月20日 | 自然観察日記
雌花というよりもう果実が出来ている頃で、苞の中には種子があるはずです。雌雄異株の厄介なつる植物。結構痛い棘が全体にあり何にでも絡まって繁茂しています。この雌花の苞は果実がつ熟す頃には紫色の筋などがあるのですがこの個体は全然その気配がありません。個体差があるのでしょうか。

ミゾソバ

2010年11月20日 | 自然観察日記
これだけアップで見るとこれがミゾソバだとは気づかないかもしれません。いわゆる「雑草」のなかの一つですが、そんなくくりにはしたくない存在です。コスモスの花畑を懸命に作る人はいてもミゾソバのお花畑を手入れする人はいませんね。不思議といえば不思議ななこと・・。
まぁそれはそれとして、身近な雑草でも造詣のすばらしさはしっかり持っています。それが自然の懐の深さとでもいうのでしょうか。どんな小さなことからでも自然の神秘を覗けることができるというのは素敵なことだと思いませんか。

コハウチワカエデ紅葉

2010年11月19日 | 自然観察日記
紅葉も終わりに差し掛かりちょっと寂しい想いですね。里山は昨年よりは色鮮やかに錦を飾ってくれましたが、黄色系の葉が多い中ひときわ真っ赤に紅葉するコハウチワカエデ(と思われます)がぽつんと在ってその存在が極まっています。同じ種でも紅葉の良し悪しはには個性が出るようで、気候の要素もあるのでしょうが毎年同じとは行かないようです。特に赤色系のものにはムラが多い気がします。そんな中常に安定した表現をするものが選抜され園芸種となっていったのでしょう。そうであればなおさら自然の中でここまで綺麗に紅葉してくれたものに出会えたのは幸運だったのでしょうね。

におのある風景

2010年11月19日 | 風景
稲刈り後の藁などを積み上げたものを「にお」といいます。全国的に使われていることばなのでしょうか分かりませんが、越後ではカヤを刈ったあとにカヤ立てをしたものも「にお」と呼んでいるようです。先日、里山でカヤ刈りを行いそれを古民家脇に立てたものです。まもなく公園の里山フィールドミュジアムは閉園ですから、冬をすごし来春お客様を迎える里山のシンボルになります。今は訪れる人も少なく静かな晩秋のたたずまいを見せています。