湿地部分ではないのですが尾根道の水はけの悪そうな場所にズミが花を咲かせていました。いろいろな場所で見かけるバラ科の低木です。つぼみが赤味が強いのに開花すると白い花になります。リンゴと同じ属ですから別名コリンゴ。低木といっても3m位にはなりますから、これが花一杯に咲くとなかなか見ごたえがあります。今回はそういう状態の樹には会えませんでしたが・・。
スズランもたくさん見られました。上信越の越を除いた高原地帯にはスズランは多いのですが、なぜか「越」つまり新潟県内にはスズランはごくごく限られた場所にしか分布が確認されていません。面白い現象ですね。私が知る新潟県内のスズランは平標の尾根に1ケ所あるのみです。
イワインチンももう少し経たないと花が咲かない種ですから、6月下旬の姿では絵になりませんが記録のために載せておきます。インチンとはカワラヨモギの別名とか。高山の岩場に生育するカワラヨモビに似た植物というのでイワインチンになったという話を聞いたことがあります。秋口に黄色い花をたくさん頭部につけるキク科多年草です。れっきとした高山植物です。
この池の平に来るまでの道路わきには帰化植物のアザミ類を見かけましたが、池の平湿原付近にはこのノハラアザミしか気づきませんでした。8月頃から咲きだす種ですからもう少し花を見ることができません。しかし、つぼみはしっかりとしてきました。触ってみると粘りがありませんからノアザミではないことが容易にわかります。
根出葉は花の季節も残っているというのが一つの特徴のようです。ノハラアザミの分布はかなり広いのだそうですが、新潟県内ではごく限られた場所でしかみられません。記録では妙高地域や苗場山地域など長野や群馬の県境で採集されています。それで、私はまだ新潟県内で確認はしたことがないのですが、関東圏ではときどきお目にかかっています。
花がまだですからその存在に気づきにくいのですがツリガネニンジンがめにとまりました。結構しっかりした株でつぼみおたくさんついています。2000m位の高所ですから少々違和感があるのですが、里山にもあるツリガネニンジンと同じに見えます。この種も垂直分布の広い種なのでしょう。高所ですからハクサンシャジンでもあるのかとおもうのですが、この山域に自生する植物リストにはツリガネニンジンの名前はあってもハクサンシャジンはありませんでした。
雪解けが遅かったのかこの個体はようやく栄養葉を伸ばしてきたところです。やがて水平に展開して真ん中には胞子葉(正確には胞子のう穂)を槍のごとく長く立てます。すでに、真ん中には色の変わった胞子葉が伸び始めています。シダ植物でヒカゲノカズラ科に属しています。多年草になりますが常緑ではあるものの毎年新しい株を延ばしてきます。
全域にツマトリソウが多く見られました。可憐な花で山道を歩く所々に顔を出してくれ和ませてくれます。もう少し桃色がかっている花のですが、写真にすると色が飛んでしまいます。「ツマトリ」の由来は花弁の縁が縁どられることなのだそうですが、明確に縁どられている花にはなかなか会えません。ちょっと変わった点は、花弁が7雄しべも7という「7」を基本にしている構造をした花です。他にこれと同じ構造をした花はあるとは思いますが私の知識の中にはありません。
いろいろ悩んだ挙句、やっぱりミツバツチグリと同定しました。池の平湿原を取り巻く尾根にいかにも個々の住人というばかりの顔をして生育していました。下界から移入したものとは思えないのです。何か同属に高山種があるかと思い調べましたがそれに該当するものがありません。ミツバツチグリは低山から高山分布域が広い種と理解する以外にはないようです。
ミネヤナギが生育するガレ場などにはマツムシソウも見られました。この地域はマツムシソウが多いのか宣伝の写真にはマツムシソウの写真が多く飾られていましたが、花の季節はもう少し後になります。今回は葉だけの紹介になります。