先月高坪山で見たミドリシジミの飛翔をここでも目撃しました。幾分遠くからで何ミドリかは判断できませんが、忙しく飛び回り縄張り争いをしている光景を見ながら同行した一同大感激。翅を休める定位置があり、そこに来た時をねらってカメラを構えますが、思い通りの体制になってくれません。歯がゆい思いでした。
雄同士のなわばり争いでしょう、2頭がくるくる回りながら上空へ舞い上がります。長く続くこともあれば短時間で終わることもあり、終わるとほぼ同じ位置に舞い降りて翅を休めます。この時、近くにメスがいるのかと見渡してもそれらしい個体を確認するまでには至りませんでした。
ミドリシジミが乱舞を繰り広げている下にクロヅルの花があり、そこに飛んできたもそもそしているのはセイヨウミツバチ。近くに養蜂家が巣箱を設置しているのでしょうか。こんな山奥に巣箱を運ぶとも思えませんから、野生化していて独自の巣をつくっているのでしょうか。そうすると冬場越冬することができるのかどうかなど疑問な点も残ります。
ニホンミツバチも確認。全体に黒っぽい色でセイヨウミツバチとの差は歴然です。こちらは在来種ですから近くに天然の巣があってもおかしくはないですね。セイヨウミツバチに押されっぱなしのニホンミツバチですからせめてこういう場所ではしっかりと生きていってほしいものです。
山間を車で走っていると林のあちこちに真っ白になった葉がたくさんついているつる植物が目に留まります。マタタビですね。あの葉を覚えておけばマタタビの実を採集することはそう難しくはないことでしょう。実は県内にはもう一種マタタビああって、かなり山奥に出向かないと会えないミヤママタビとういのがあるのです。今回の最後に出会ったのがこれでちょっとした記念になりました。
これは雄木のようで果実は付きません。キウィフルーツやサルナシの花とそっくりですね。この実はまだ食べたことはないのですがマタタビのような刺激的な味はないと聞いています。また、ネコ科にマタタビのような反応を起こさせることもないのだそうです。一言付け加えておけば、マタタビは瓶詰で売っているもは刺激的な味はしますが木で完熟したものは甘くとてもおいしいもので、私はサルナシの上を行く果実のように思っています。
林道の縁、砂利の敷いてある一角がいちご畑になっていました。ノウゴウイチゴです。ちょうど食べごろの実がたくさんついていて、一行はしばししゃがみこんでイチゴをついばみました。その姿がなんとなく幸島のサルがエサを拾っている姿に重なって一人笑いをしてしまいましたが・・。そういう私も少々夢中になって食べていたのですが、実が小さすぎて口に運ぶ回数は多くても食べた感じがしません。しかし、美味しいことは美味しい野生のイチゴです。
野生のイチゴではシロバナヘビイチゴと並んで美味しいイチゴで、栽培種の元になっているのではないでしょうか。ワイルドイチゴという市販されているものがあるのですがあれはまったくおいしくありません。形はそっくりですが味はだめ。昔、来たアルプスの旭岳に登った時、へたばって座り込んだ脇にあったノウゴウイチゴが忘れられません。それはそれは大量にあってこのイチゴで息を吹き返し登頂したものです。
ヨツバムグラの高山種にオオバノヨツバムグラがありますがこれよりはかなり小型の種と判断しエゾノヨツバムグラにしてみました。種の認識はこれが初めてでオオシラビソが混ざる混交林下に自生しています。種の区別は特にしないでもいいのかもしれませんが「小さい」という印象が消えません。
ヤハズハンノキがありました。湿原いり口から奥の林道沿いを散策した範囲ですが、カワラハンノキやヤマハンノキは見逃したのか確認していません。それほど高木にはならず、5~6m位の樹になります。葉は頂がへこみ矢筈の様になることから付けられています。深山から亜高山の種のようです。これより上にはミヤマハンノキが出てくることでしょう。
オウレンの深山から亜高山種。葉が3枚で花弁がしっかりあります。花弁が細い里山などにも見られるオウレン(キクバオウレン)とは雰囲気がかなり違いがあります。同じような環境には似たような種がありゴヨウオウレン(バイカオウレン)やミツバノバイカオウレンなど小型のオウレンが見られ、いずれも花弁は大きめです。小松原にはミツバオウレンが生育していていました。花の季節ではありませんからまばらに付けた果実が見られました。
樹林帯にオウレン(キクバオウレン)を見つけて少々意外な気がしました。この種は標高の高いところにはないという先入観が先にあったためで、この種の分布域の広さに感心です。杉植林の林床によく見られるのですが、ここではオオシラビソが混ざる混交林下に自生していました。やはりこの種と針葉樹との相関はあるような気がします。
この種も亜高山を特徴づける種でアカミノイヌイツゲといいます。花はまばらにつけ決して多くありませんが清楚な美しい花だと思います。光沢のある青々とした葉が印象的でこの植物に出会うと日常から離れて別世界に来たという気分になれます。葉の鋸歯は半分ほどしかなくイヌツゲとの区別点になります。