少し崩れそうな石垣に見事なホウオウシャジンが見られました。岩場に生育し全体に垂れ下がるような生態を持つようです。名前は聞いて知っていても極たまに鉢植えなどで見かけるくらいで野生のものや自然に近い状態のものを見ることはありませんでしたからその美しさに圧倒されました。実に素晴らしいものでした。
花は高山種のヒメシャジンの花に似てそれよりは細長く下向きに咲くものです。南アルプスの鳳凰山に特産する種とされとても貴重な種です。かなり状態の良い個体が見られましたから湯沢高原はかなり相性の良い環境なのでしょうか。
初めてのタニジャコウソウです。新潟にはジャコウソウは沢山ありますが、タニジャコウソウは自生していません。この種は太平洋側で主に西日本に見られる種ということになっています。最初に見つけたところは少し奥まった植栽の陰ですから踏み込んで観察することが難しいので付近を探してようやく都合の良い株を見つけました。
花の色の濃いのに目を見張りました。ジャコウソウに比べインパクトのある濃紅色です。それに花冠が長いのにも驚きました。ジャコウソウもタニジャコウソウも沢筋ののり面に生育することが好きな種ですから、どちらかというと立ち上がりの草姿ではなく斜め下に垂れ下がりの草姿をしています。従って花も横向きかやや下向きになっていて雨水が入りにくくなっています。
関東以北の太平洋側の海岸の岩場に点々と自生するといわれるキク属の一つです。植栽したものが自然に増えたものでしょうか、特にまとまって生えているわけではないのですが、ロックガーデンのあちこちに見られました。自然界のものは出会ったことがありませんので、こういう場所で勉強できるのは大変ありがたいことです。
園芸的に流通して利用されているようで、私の知人が栽培しているといいます。北海道の襟裳地方で採集されたものなのでしょうか、エリモコハマギクという名前が付いたラベルを目にしました。コハマギクも産地でいろいろな変異をしているのでしょうか。草丈は20cmほどで、ロゼット的に根生葉が発達しています。
外国種だけでなく在来種も沢山あります。季節は9月半ば。まだまだ花が多くある季節です。キイジョウロウホトトギスの状態の良い花が見られました。紀伊半島の渓谷に自生するといわれる種ですから、湯沢の高原ではかなり気難しいのではと思いますがかなりうまく育っているように見えました。絶滅危惧II類 (VU)(環境省)に指定されています。
花というよりまだつぼみのようにも見えますが、十分に色づいていて今にも咲きだしそうな状態です。花は大きくは開かず筒状に開きます。めったにみれる花でもなく栽培なども経験がありませんが、資料で見ると花冠の内部は赤褐色で斑点が沢山あります。
今は引っ越ししてしまいましたが、昔庭に植えられていたことがあって私にとっては見慣れた花です。しかし、子供時代でしたからその名前はもとより由来などは全く興味がなく過ごしていました。久しぶりに見た花で、懐かしさがありましたが少々驚きです。それもアルプの里という植物園ですからそんな価値があったのかと今更ながら感心しました。