森の卵みたいなものが転がっていることがあります。大きさは4~5cm、白く弾力があって根っこが1本。スッポンタケの幼菌であることがほとんどですが、それを割ってみました。中の白い部分が「殻」を割ってニョキィッと伸びてきます。子どもの頃はこんな格好をしているのですね。回りは水分を溜め込んでいるゼリー状物質です。胞子が熟すと独特の悪臭を放ちます。
この日同じ丸いものを採取しました。こちらは土色でよほど観察眼が鋭くないと見つけられないものですが、正体はツチグリの幼菌です。それを2つに割ってみるとこんな感じです。もう中の胞子が黒くなっていますから、幼菌というよりかなり成熟しています。やがて表面が5~9分裂し乾燥すると柿の実状(星状)に反り返り中央に開いた穴から胞子を飛散させます。
少し日をおいて開いたフクロツチガキを見つけました。中央の穴はまだ開いていませんから、完熟する前のものです。やがて穴が開き、落下物などの圧力で穴から煙のように胞子が舞い上がります。湿気が多く雨模様になると反転した外皮が内側に巻き込みますから、雨滴の刺激ではあまり飛び出さないのかもしれません。
長岡市の小国にある紙工房(小国和紙)に出向いたおり、山際にひときわ目立つ1本の紅葉する樹がありました。遠目ではウルシ系の樹なのだろうかと通り過ぎようとしましたが、どうも気になりますからそれを確認に寄り道です。正体はなんと柿の木。まったく実がついていなくて葉のみ。この季節、普通は鈴なりの実がついてその存在を知らしめているのに、実のまったくついていない柿の木なんて田舎の風景には似合いません。どういう理由かは分かりませんが、実のつかない柿の木もあるのだということを知りました。同時に柿の葉の紅葉はなかなか捨てがたい綺麗なものだということを再確認です。
丘陵公園の里山の花で最も遅くに開花する花がサラシナショウマでしょうか。高山では8月には見られる花ですがここでは10月半ば以降でこんなに遅くになるのも不思議な現象です。大きな理由は気温(最低気温?)のせいと考えられますが、高山にあるものと異なり遺伝的な性質がこの辺りに適応したものとして特徴付けられたものかも知れません。調べてみたいですね。
もう他の植物は葉さえ落としてすっかり冬支度に精を出している時期なのに満開の花です。こんなに遅くに開花して結実が上手くいくのか心配してしまいます。この時期に咲くメリットは何でしょうね。飛来する昆虫もあまり見かけません。天候も冬型にでもなればぐずついた日が続きます。ある種不思議な生態を持った種です。
里山フィールドミュージアムにある無農薬で作っている田の稲刈りをしたときのこと、カヤネズミの巣が出てきました。まるで鳥の巣のように上手に作ってあります。あいにくそのときは留守のようでご当人には合えなかったのですが間違いなくカヤネズミの巣ですね。
丘陵公園の健康ゾーンといわれる一角にナンキンハゼが植えられています。たまたま通りかかったときに花を見つけました。面白い花ですね、この花は全体が穂状になっていて雌花が根元に雄花が先端にあるというものです。まだ雄花は開花していないようで花粉はでていません。同じ花穂でも雌花と雄花の熟す時間がズレていることが普通ですがこの種もそういう仕組みを持っているようです。出来るだけ近親交配を避けていると考えられます。
遠目でドクベニタケと思って近づいて別種と分かりました。いろいろ検討した結果ヤブレベニタケと判定したのですが、しっかりとした確信がもてません。というようにキノコは採集して調べても2/3くらいは「判らない」ものなので、結論は持ち越しになります。その時大切なことは記録をしっかりとっておき各種のデーターを保存しておくことです。といっても私は最近そういうこともあまりしませんから知識が蓄積しません。キノコの世界に挑戦する人はコツコツとデーターを貯めて整理していくといつかキノコの権威者になれると思います。この世界はまだまだ未知の世界です。
赤味のある6-7cmのキノコはキツネタケです。森の雑木の少ない明るい場所に群れていました。菌根菌の一種で付近の雑木と共生している菌です。キノコの出が悪いといわれているのですが、こんな光景を目にするとやっぱり秋を感じますね。一応食用。わたしは見て楽しむキノコです。
キノコも見る方向から全く印象が違います。これはキツネタケを下から見たところ。まるで小人になったような感じがします。地を這う小さな生き達にとってはキノコの見え方も人間とはまるで違うのでしょう。傘を通した淡い桃色の光はとても幻想的です。
「ミョウガの花が咲いた」といって持参された人がいて、今年もミョウガの「花」が見れたことに感激していました。2年前は非常に多くのところでこの「花」が見られましたのでちょっとしたブームになりましたね。ところで、丘陵公園では昨年は発生を確認できませんでしたが、今年は再び2年前ほどではないにしろこの「花」が咲いています。珍しがっていましたが実際は人知れず結構咲いていたようですね。最もこの時期に旬を過ぎた「茗荷」を取りに生茂る湿った草むらをかき分ける人はほとんどいません。
実はこの「花」は花ではないことは察しがつきますか?ミョウガの実を包む「さや」が裂けて中の種が見えている状態です。黒いものが種子で白いのがそれを包む果肉に相当する部分です。でも全体にはとぼけた竜の顔に見えて愉快です。
実はこの「花」は花ではないことは察しがつきますか?ミョウガの実を包む「さや」が裂けて中の種が見えている状態です。黒いものが種子で白いのがそれを包む果肉に相当する部分です。でも全体にはとぼけた竜の顔に見えて愉快です。