丘陵公園の全エリアに1ケ所だけ自生が確認されていました。道などないエリアでもう8年近く前に記録された場所へ採集に出かけたことがあります。1回では見つけ出すことができず2度目で採集することができたのですが、その個体を使って種子繁殖をさせて今では数十株の個体を得るまでになりました。まだ開花株は多くありませんが、毎年種子を採集し育種していますから近い将来一定の個体数で展示できるのではないかと思っています。
拡大して観ると5本(枚)の花被片が確認できますが、6本(枚)あるはずですから一つは陰に隠れているようです。長さが長いのと短いのがあることがわかります。めしべらしいのとおしべらしいのがありますが、ルーペで見ないと判別できません。資料によると両性花と雄花が混在しているとのこと。花序全体では白くきれいな花で済まされますが、一つ一つの花はかなりややこしい代物です。
葉は根生葉。そこだけ見ているとショウジョウバカマに極似しています。花がないときは盗掘を免れますからこれはこれでよいのですが、根が比較的浅いためいざ展示した時の盗掘が懸念される種ですから、バックヤードで維持しておくことも必要なことと考えています。
かつてデワノタツナミソウとされていた種で2005年に新変種として記載されたもの。新潟から西日本日本海側に生育するタツナミソウとされます。全体に毛が多くデワノタウナミソウとの相違が著しく、また花冠の下唇に斑点がないことはオカタツナミソウやコバノタツナミソウとの相違になっています。まだ新潟県内では認知度が低いようですが、個人的には里山フィールドミュージアム内に自生している個体はこの種と考えています。
コバノタツナミソウとは花の大きさがかなり違います。花冠の下唇の紫斑がないことも大きな差異です。澄んだ青い花がかたまって生えている場所があるのですが、初夏の里山の隠れた景観でこの季節散策する人だけが味わう癒しになります。
どこにでもありそうな種ですが久しぶりに見つけました。実が金平糖のようになるのが面白くて子供のころ特に学校帰りの道草でちぎっては投げ合っていたような思い出があります。田畑の脇や土手などにふんだんにあった気がしますが、フィールドミュージアムでは花湿地などに探せば見られる程度。消失していないのが嬉しいですね。草刈りでしばしば刈られる運命ですがそれでも息づいていてくれます。
ヤブデマリやタニウツギの賑やかな花が終わるころ、森の中ではひっそりとヒメコウゾが咲いていました。クワとは違い雌雄同株の種で雄花と雌花が一緒に見られます。里山フィールドミュージアム内には特に多いわけではありませんがところどころに自生しています。しかし気づいてくれることはほとんどないでしょうね。
右が雄花序で左が雌花序です。右側が基部ですから、雄花が下の方に雌花が先端の方につく構造です。いずれも集合花で花弁はなく雌花は花柱だけが目立ちます。熟すと橙色になり一見美味しそうなのですが、口の中に入れるとさぁ大変!毒ではないですが固い毛が口の中で刺さるような感じで非常に不快です。