森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

トウホクサンショウウオの卵塊

2010年03月31日 | 自然観察日記
 サンショウウオといえば両生類です。変温性の動物で、低温状態では動きが鈍いはず・・と思いがちですが、いつの間にか産卵を終えています。セリが青く色づき始めてはいますが、実はこの水溜り周りは60~70cmの雪の壁で覆われています。水中を良く見ると、黒い成体が何匹か動くのが分かります。一応写真を撮ってみたものの、水面越しの撮影は全く上手くいきませんから紹介できません。
 サンショウウオの冬眠場所は林の枯葉の中と聞いていますから、どうやってここに着たのでしょうね。ネズミの穴などが沢山空いていますから、地に接する雪面には結構凹凸があって、その間隙をぬって水溜りまでたどり着くのでしょうか。それにしても、このサンショウウオも結構低温には平気なようですよ。

オウレン

2010年03月30日 | 自然観察日記
 周りに40~50cmの雪がある中、大木の周りや斜面の亀裂などに出来た空隙にはよく見るといろいろな命の息吹を感じることができます。コナラの実やカエデの実が発根していたり、キクザキイチゲの新葉が覗いています。ショウジョウバカマもかすかに色づいたつぼみを見せ始めました。もっと早いのがオウレンですね。みぞれまじりの冷たい雨の中で一斉に花を持ち上げてきています。もう咲いている個体もちらほら・・。こんな姿を見ていると、寒さなんか全然気にしていない感じがします。命を動かすのは光の周期なんだな、としみじみと思います。
 

アカゲラ参上 1

2010年03月29日 | 自然観察日記
 細かな冷たい雨が降っている朝、庭の桃の木に珍客がありました。ときどきドラミング(木をくちばしでつついてて虫をとるときの行動)もおこなって、機関銃のような音を出しています。アカゲラです。久しぶりの訪問を受け、運良くカメラに収めることが出来ました。
 玄関の戸を細めに開けて、その隙間からカメラを最大の望遠にして彼の行動を追っていました。怪訝に思った上さん、背中越しに声をかけます。「静かにして!」という合図を後ろ手で払いのけるようなしぐさ。ちょっとムッときたようです。後で、事情を説明し事なきを得ました。

オクチョウジザクラ

2010年03月28日 | 自然観察日記
 西日本ではソメイヨシノの満開のニュース。長岡ではなんとなくソメイヨシノのつぼみが膨らんできたという状態で、遠くの山は残雪が目に付きます。でも、長岡でもサクラはもう咲き始めているんですよ。
 オクチョウジザクラです。早めに雪が無くなった山の斜面に出向いてみてください。きっとこのサクラに出会えるはずです。艶やかさとか迫力には欠けるものの、サクラはサクラ。待ち遠しかった春を、雪のない地方の人と同じ時期に味わえます。可憐で愛らしいサクラです。オクチョウジザクラは大木にはなりません。

里山の生き物 ホンドリス

2010年03月27日 | 自然観察日記
 先日、三浦半島のタイワンリスの被害についてのニュースを見ました。外来種は一度繁殖を始めるとあっという間に生態系を大きく破壊してしまいます。日本には在来のリスも生活していて、越後の里山には案外多く生息しています。こちらは、生態系の一部として上手く自然になじんでいます。
 春を迎えるこの時期は、結構活発に動き回っていますし落葉樹の葉がないのでとても見つけやすいですから、ウォッチングをするといいですよ。でも動きが早いから写真に捕らえることが素人には大変難しい・・。中央にそれらしい映像が写っていますが、わかりますか?

里山の生き物 トビ

2010年03月27日 | 自然観察日記
トビが冷たい雨に打たれながら冬枯れの樹にとまっていました。もう少し居心地のいい隠れ家がありそうなのですが、里山の森近くの造成地に残る樹の梢に・・。少し近づいても動く様子が無く、氷雨をじっと耐えている姿は目を閉じている(?)風情。老鳥が最後の時間を待っているような、なんとなく物悲しさを感じてそれ以上近づくことをせずにそっとしておきました。

雪中 エノキタケ

2010年03月26日 | きのこ・菌類
 丘陵公園の野生ゾーン(里山フィールドミュージアム)にはまだまだ沢山雪があります。峰の反対側の健康ゾーンはほぼ白い塊が見えなくなり、同じ地区でも様子がかなり異なります。里山フィールドミュージアムの売り物、100万本のカタクリ群生地がいつ見頃になるか?その予測に余念が無いのですが、この寒波のぶり返しがあっては予想も当てになりませんね。今のところ4月12日の週が見頃と呼んでいます。果たして・・・。
 それはそうと、数日置きに様子を見に行っている最中に出会ったエノキタケです。周囲の積雪は80cmくらいですが樹の周りが大きく空いてきているところに顔を出していました。スーパーで売られる姿とは似ても似つかないものです。どうしてエノキタケを本来の姿にでなくもやし状にして販売するのでしょうね。美味しさは格段の差があるのですが・・・。

コガタスズメバチの巣の表面

2010年03月25日 | 自然観察日記
 きれいなトックリ状で縞模様も添えてなかなか芸術的です。その表面をアップさせると、縞模様の作りが分かります。噛み砕いた木屑を唾液か何かでくっつけていたものなんですね。それも、白い木片と茶色の木片。同じ色合いの木片が使われているところを見ると、一定の範囲の巣作りの素材は同じところから調達しているようですね。しかし、急に色が変わるところを見ると巣材の調達場所が突然変わるということでしょうか。なかなか面白いスズメバチの行動様式です。

コガタスズメバチの巣

2010年03月25日 | 自然観察日記
 温室の片隅に作りかけのスズメバチの巣。これはコガタスズメバチの巣で作りかけというか、女王蜂が単独で作ったときのものとされます。はたらき蜂が生まれて、巣作りにはいると全体が丸くなるのだそうです。
 昨年の巣だろうと思いますが、この巣を作り始めた女王蜂、ここまで作ってその後どうしたのでしょうか?そういえば、このようなトックリ状態のものは比較的あちこちで見た経験があります。作っては見たものの気が変わって別のところにいってしまった・・・?コガタスズメバチの女王は結構気変わりをする性質があるのでしょうか。

アオイ科の花

2010年03月24日 | 自然観察日記
 これはバポニアというアオイ科の花です。大きく見れば南国の象徴であるハイビスカスなどの花と同じ仲間ということになります。アオイ科の花は世界には沢山あるのですが、新潟には自生する種はありません。というより日本には沖縄など南のほうに自生する種が少しあるくらいで、余り縁のないグループです。しかし、園芸種はムクゲやフヨウなど沢山見かけますから、とても身近な存在です。近年イチビという害草が農地の周辺にはびこってきていますから、ますます日本の風土に浸透して来ているようです。とはいっても、アオイ科の花を堪能するには熱帯温室を回るのが最も現実的な話になりますね。

シュロガヤツリの仲間

2010年03月23日 | 自然観察日記
 カヤツリグサ科の観葉植物として時々見かける大形の草本です。花でも付いていないと気づかずに通り過ぎてしまいそうな存在ですが、「パピルス」という名を聞くと振り返える人が多くなるのではないでしょうか。昔、学校で習ったエジプト文明のパピルス紙の原料になった植物ですね。厳密にはこの種が紙の原料になったかどうかは分かりませんが、当たらずとも遠からずというところ。このグループも幾つかの種があるのでしょうが、葉の細かな種も時折見かけます。水の大好きな種です。

ネコノメソウの花はとても早い

2010年03月22日 | 自然観察日記
 越後の最も早い里山植物はマルバマンサクでしょうか。でも草本となると、ネコノメソウがその最有力候補かもしれません。雪が消えた棚田跡などの湿地に真っ先に花を見ることができます。この絵も数は少なかったものの、3月8日に撮影したものです。
 もっともネコノメソウの好む窪地の雪消えは尾根筋よりは遅く、それに日当たりも良くないのでその後の成長の推移も芳しくありません。結局はオウレンやユキワリソウなどに負けてしまい、花の盛りにはもうすでに沢山の種の花が咲きそろっていて、それほど注目されないのではないでしょうか。確かに一つ一つの花の色彩は地味ですが、淡い黄緑のカーペットのように群生するようになれば圧巻です。愛すべき花ですね。