森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

タテヤマリンドウ

2018年01月31日 | 自然観察日記
大型の草本ばかりでなく小さなものも見逃しません。季節的に乾き気味の場所ながら基本湿地と思われる場所にはタテヤマリンドウが花を咲かせていました。ちょうど花の季節でミヤマリンドウとは異なりスラっとした草姿で迎えてくれました。

タテヤマリンドウの根生葉

2018年01月31日 | 自然観察日記
干上がった池のような場所ばかりでなくかなり広範囲にタテヤマリンドウが咲いているのですが、これがタテヤマリンドウである証拠がほしいので敢えて根生葉が判別できるものを探して載せました。

タテヤマリンドウの花

2018年01月31日 | 自然観察日記
立山弥陀ヶ原のタテヤマリンドウは白い花がほとんどです。かつて北アルプスの薬師岳を登っていたときは青い花がほとんどでしたからその違いが何なのか面白い現象です。立山と薬師岳は多少距離は離れているとはいえ同じ尾根筋にある山です。

タテヤマリンドウの群落

2018年01月31日 | 自然観察日記
小さな草ですから高径草本内では適応できません。背丈の低い草本が生い茂るやや湿り気のある場所にはかなりの高密度で生育しています。タテヤマリンドウは越年草で夏場花が咲き秋に種子を散布すると直ちに発芽し幼植物の状態で雪に埋もれて冬を過ごします。春に成長をはじめ夏に再び花を咲かせるという生活史をもちます。

イワアカバナ

2018年01月30日 | 自然観察日記
少し標高が高くなると出てくるイワアカバナ、立山の弥陀ヶ原にも見られました。それほど目立つ花ではありませんし素朴な山野草という雰囲気で脇役的な存在。アカバナ科の中で派手なのはヤナギランで、これに比べるとその控えめなこと著しいものです。とはいっても小さいなりに可愛い花です。

イワアカバナの花

2018年01月30日 | 自然観察日記
アカバナは4数性の花。花弁が4枚おしべが8本。分かりにくいのですが長めのおしべと短いのがあるようです。最も大きな特徴がめしべの先端が球状に膨らんでいることです。アカバナはいわゆるこん棒状で球状にはならないのでここで区別します。果実は花の大きさに比べると極端に長く熟すと4裂し中から長い冠毛を持った種子が出てきます。

イワアカバナの葉

2018年01月30日 | 自然観察日記
葉は長楕円形で対生しています。アカバナは湿った場所が好きな植物。イワアカバナも時に水はけのよい場所などに見られるのですが、亜高山以上の環境では雲などに覆われることも多いので一見乾燥地かなと思われる場所でも大丈夫なのでしょう。

モミジカラマツ

2018年01月29日 | 自然観察日記
何度も取り上げてきたモミジカラマツです。弥陀ヶ原にもあったという証に載せています。この種も北方系の種ですからオニシモツケなどと似たような分布を持つと思います。亜高山や高山帯の適湿の場所にみられます。昔、魚沼の奥、未丈ガ岳の調査をしていたとき沢を詰めていたときに綺麗なモミジカラマツの群落に出会い感激したことを思い出します。この時はイワナ釣りも行っていてかなりの釣果でしたから、モミジカラマツの花とイワナが結びついてしまい花を見るとあの沢のイワナを思い出してしまいます。

モミジカラマツの花

2018年01月29日 | 自然観察日記
キンポウゲ科の花は花弁がないものが多くあります。カラマツの仲間はさらにがくもない花(実際は草落性)です。代わりをするのがおしべ。一応目立ちポリネーターを引き寄せる働きをするものは用意されています。ところでおしべといっても花粉が目立ちません。果たして機能しているのかどうか?もっと調べなければならないようです。

モミジカラマツの果実

2018年01月29日 | 自然観察日記
金平糖のような実はキンポウゲ科の種の一つの特徴です。めしべの先端が2つに分かれていることが分かります。枯れて付着しているおしべには葯が見られますから、この中で花粉が形成されていることは分かります。花粉の色はかなり薄いのでしょう、開花している花では花粉に気づくことはまずありません。

ヨツバヒヨドリ

2018年01月28日 | 自然観察日記
弥陀ヶ原に見られる高径の草本類を並べていますが、今日はヨツバヒヨドリ。この種も北日本のブナ帯辺りではごく普通に見られる種です。弥陀ヶ原にもところどころに似群落があります。

ヨツバヒヨドリの群落

2018年01月28日 | 自然観察日記
秋の七草のフジバカマに近い種です。そろそろ七草の花が揃う頃ですが弥陀ヶ原のヨツバヒヨドリは開花が始まったばかりのようで群落もまだ見栄えがしません。花の盛りになるとおそらく渡りをするチョウとして知られるアサギマダラもきっと来るのではないでしょうか。

ヨツバヒヨドリの花

2018年01月28日 | 自然観察日記
ヒヨドリバナ属の解説を読んでみた。そこには有性生殖と無融合生殖のことが記載されていて、フジバカマ属は両方を行い無融合生殖によってできた個体と有性生殖でできた個体との交雑が多く多種多様な種が生じまたその境界がはっきりしないというような記載があります。(無融合生殖とは受精を行わないで繁殖体を作る現象のことで、たとえば「むかご」などがあります。無融合生殖で種子を形成する種もあります)
最近思うことは、新しい出版物には比較的単純であった種がその後の研究で非常に多くの種に細分化されて分かりづらくなってしまったことがあります。確かに、自然の中で観察していると同じ種として扱われているものが場所により様々な顔を見せますから多種多様であることは分かりますが、それらについてみんな名前を付けてしまうと分かり易いのもわからなくなってしまいます。専門に研究する人と一般の人では扱う名前のレベルが異なってよいのではと思うようになっています。ヨツバヒヨドリとヨツバヒヨドリバナの違いを普通の人は気にする必要はないとおもいます。