森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

アズマシャクナゲに止まるキベリタテハ

2012年12月31日 | 自然観察日記
キベリタテハです。なかなか撮れない1枚が手に入りました。かなりのスクープの気分で自慢の一枚になりました。わずか3mの距離での撮影です。ラッキーでした。キベリタテハは若い頃昆虫採集をやっていたのですが憧れの蝶で、一度も捕まえることができない一つでしたね。今は蝶から離れていますからそれほどでもありませんがマニアにとっては垂涎の存在という人も多いのではないでしょうか。綺麗ですね・・・。気配に間もなく飛び立ってしまいました。
アズマシャクナゲは日本海側では深山から亜高山まで普通にみられるものです。葉裏が蜘蛛毛で覆われるのが特徴です。

アサギマダラとヨツバヒヨドリ

2012年12月31日 | 自然観察日記
ヨツバヒヨドリに止まって吸蜜しているのはアサギマダラ。海を渡る蝶としても名高いアサギマダラ、こんな高山にも現れるのですね。秋口には里山にも時々姿を見せる蝶で、行動範囲が大きいことがいわれています。実際はどういう生態をしているのかまだまだ疑問の所がある謎の蝶です。ヨツバヒヨドリは深山から亜高山にかけて見られる種で、今回の山旅の至る所で見かけました。葉が4枚輪生するので似た種との違いがわかります。

オオシラビソ

2012年12月30日 | 自然観察日記
この山塊で見かけた針葉樹を並べます。1700m以上から尾根沿いに針葉樹が目立ってきて、山頂部分は針葉樹林帯にはいることになります。風当たりが強いせいで山頂付近は高木はありません。針葉樹林の林床はほぼチシマザサで覆われていて植生としては単調な状態です。最も目立つのがこのオオシラビソで大きな球果が目立ちます。

トウヒ(エゾマツ)

2012年12月30日 | 自然観察日記
僅かにトウヒの高木も確認できました。その根拠が根元に落ちてきている毬果(雌花)で多数落ちていました。こういうことでもない限り目も前にそびえる高木が何かということを特定することが難しいのが実情です。

チョウセンゴヨウ

2012年12月30日 | 自然観察日記
比較的低い稜線上にはキタゴヨウが列生している光景をよく見かけます。このキタゴヨウでないゴヨウマツが苗場山塊やこの鳥甲山には自生しているのです。葉が明らかに長く大きい種で高木を確認できませんでしたが尾根の登山道脇に低木が生育していました。大陸にもあるということですが日本ではなかなか貴重な種でこれに会えるのはこの地域に来ないと難しいのです。チョウセンゴヨウに出会えたのは今までに一回だけでしたから2度目の再会はとてもいい思い出になりました。

イブキゼリモドキ

2012年12月29日 | 自然観察日記
高山植物としてなじみのある種です。「モドキ」というのがつくのが面白いところで、「モドキ」がつかないイブキゼリというのはどこに分布しているのでしょうか。主要な文献にはイブキゼリモドキしか載っていません。
セリ科の花にあまり深入りしない傾向があっていつもうやむや状態ですが、葉がセリの葉に似ている高山に生えるものをイブキゼリモドキとざっくり覚えている程度です。しかし、ちょっと調べてみて興味深いことがわかりました。ほとんど2000m以上に生育しているのを観察するのですが、下田の粟ケ岳はかなりの低海抜にも記録がありました。この下田地域は1ケ所だけでなく数か所の記録ですから得意な分布を示す地域なのでしょう。

イブキゼリモドキ 葉

2012年12月29日 | 自然観察日記
ミヤマウイキョウやシラネニンジンという高山種と同じ属になる種で、最も葉が広くなる種と言った方がわかりがいいかもしれません。前者は非常に細い葉か草丈が低い種で比較すると違いが明白です。

コキンレイカ

2012年12月28日 | 自然観察日記
別名ハクサンオミナエシ。尾根筋の崖にへばりついていました。この種は高山植物としてもいいのですが、私の中では亜高山帯の岩場でよく見る気がしていていわゆる高山植物の感じがいまいちです。どちらかというと針葉樹林帯の日陰の岩場にすむ花というイメージです。県内の分布は針葉樹林帯ばかりでなくもっと海抜が低い県境の脊梁山脈の岩場に県境沿いに点在しているのがわかっています。

コキンレイカ 花

2012年12月28日 | 自然観察日記
オミナエシの花にそっくりですが、花にもちょっとした特徴があって、小さいながら距というのがあります。色彩は澄んだ黄色で高山のすがすがしさは感じられる花ではないでしょうか。

マルバダケブキ

2012年12月27日 | 自然観察日記
大型の草本で亜高山の草原によく見られます。山頂下の草付きに点在していました。似たような種がいくつかあるのですが、大型の黄色い花をそれほど多くつけないでやや横に広がる形状で咲かせます。葉がフキに似ていますから「丸葉岳蕗」ですね。メタカラコウやオタカラコウは縦に花が連なりますし花数の多さで区別できます。大きさも違います。

マルバダケブキ 葉

2012年12月27日 | 自然観察日記
葉は形・大きさがフキの葉によく似ています。食用になるのかは不明ですが有毒植物ではありませんから、柔らかなうちは利用できるのかもしれません。群生するという話もあります。事実そういう写真も見たことがありますが、新潟県内で私は出会ったことがありません。見逃しているということも考えられますが、県内では多い種ではないのかもしれません。

コシジシモツケ

2012年12月27日 | 自然観察日記
里山でみるコシジシモツケより小型で花のボリュウムが少ない感じですが、コシジシモツケとした方がいいのでしょう。葉の様子は何とも言えないものもありましたが、シモツケソウではないようです。
コシジシモツケは日本海側を代表する花で越後の自慢の花の一つですね。県内の分布は低海抜から高海抜までべったり生育しています。しかし、長野のアルプスあたりには本種とは違うシモツケソウがあるという話もありますから、県境の高山帯はちょっと気を付ける必要があります。

イワオウギ

2012年12月26日 | 自然観察日記
マメ科の高山植物としてはよく知られている種ですね。鳥甲山の山頂付近の稜線上で見かけました。ここでは多い種ではないのですが、細々と活きているという感じです。中部の海抜2000mを高山というかは少し問題があるかもしれませんが、独立峰の稜線上は高山帯に匹敵する環境と考えられますから、北アルプスの3000mに近い場所に生活する種がみられるということなのでしょう。