森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

クロミサンザシ

2013年12月31日 | 自然観察日記
この種もとんでもない存在。北海道には自生しているそうですが、本州では菅平にしか分布していないとされる種。いわゆる隔離分布です。この個体が本州唯一となると対峙する気持ちも変わろうというもの。しかし、ここでもまた「初めて出会う種」という程度の興奮で、後日非常に貴重な体験をしたという事の重大を認識するにつれて痺れています。木道を進むことしばらくすると大きな種名を記したプレートがありました。
ちょうど花の季節で、花を見る限りではサンザシ(外来種)と違いはなさそうです。サンザシは赤い実ですから黒い実が付くサンザシというのも面白いなぁと思いましたね。あいにく実の季節はかなり先ですから異質な景観を見ることはできません。3mあるかないかの低木で生育状態はそれほど旺盛という感じがしませんから、厳重な保護育成が必要な気がします。

クロミサンザシ 花

2013年12月31日 | 自然観察日記
花の一つ一つをン見ればバラ科の特徴をした形質を持っています。仰山の花が付き実も付ける種なのになぜに個体数が少ないのか?ハナヒョウタンボク同様奇異な気がします。発芽しにくい要因があるのでしょうが、そこを探っていけば絶滅危惧種も個体数を回復させられるはずです。地元にそういう研究をして保護をしてくれる人や組織が欲しいところです。

ハナヒョウタンボク

2013年12月30日 | 自然観察日記
この種の価値を認識していませんでしたから、「初めて出会う樹」程度の関心と興味で観察していました。後日、とんでもない貴重種と分かりもっとよく観察してくればと悔やんでいます。高海抜の湿地環境にまれに自生する種とのこと。環境省では絶滅危惧1B類に指定されています。有毒植物とのことでしたが、湿地環境というより幾分乾燥した草地に3~4m位の低木が花をいっぱいつけて自生していました。この個体しか周辺には自生していなかったように思います。実生の幼木も気づきませんでした。


ハナヒョウタンボク 花

2013年12月30日 | 自然観察日記
スイカズラ科のスイカズラ属の種。スイカズラやヒョウタンボクなどは越後でも時々見かけます。木立性でありながら蔓性のスイカズラのような花の形(二唇形)で木立性のヒョウタンボク(キンギンボク)のように放射形にはなっていません。開花直後は純白の花ですが、ヒョウタンボク(キンギンボク)のようにやがて黄色みを帯びるそうです。

菅平湿原遊歩道

2013年12月29日 | 風景
菅平湿原遊歩道は人気がなく閑散としていました。木道が整備されて、かつては多くの人が散策していたのだろうと思われますがなぜかこの日は人影がありません。いり口にあるビジターセンターもかなり古びていて、人の足が遠のいている侘しい感じです。一頃の賑わいが去ったのでしょうか。大いに季節的な要因もあるのでしょう。しかし、私にとっては新天地。見知らぬものに会えるかもしれません。人気のない木道を歩きながら観察です。

崩れ落ちた木道

2013年12月29日 | 自然観察日記
途中の木道が崩れ落ちている個所があり通行止めになっています。この湿地の散策道が整備された日がかなり昔なのでしょう。その後の利用が伸びないなどの理由で補修がされていないのでしょう。少々侘しさを抱きながら、歩ける道を選んでの観察です。乾燥化がかなり進んでいるという感想で湿原の花々が消えたのでしょう。かなり末期的な湿地です。湿性遷移の一つの段階、陸化して陽樹林に移行していく過程とみるとそれなりの価値も見えてきます。
古いのでしょう

ミヤマニガイチゴ

2013年12月29日 | 自然観察日記
湿地を取り囲むように木道に並行して地表に散策道があります。その一角にミヤマニガイチゴが花を咲かせていました。この種が普通にみられる場所ですから、菅平はやはり奥山なんですね。リゾート地ということもあるのでしょうが、越後の奥山の雰囲気とはかなり違いがあります。
ミヤマニガイチゴは湿地の植物ではありません。夏に赤い実を付けます。食べることができ、それほどまずいものでもないように記憶しています。コブシやミズナラなどの林床に自生していました。

ハンノキ林

2013年12月28日 | 自然観察日記
乾燥かが進みだした湿原ではあるものの、広大な湿地であった痕跡は各所にみられます。その一つがこのハンノキ林。林床はアシが占めていましたがかなりの面積がハンノキの林です。小川も流れていて手つかずの部分も残っていました。湿原植生が豊かだったころを想像すると惜しまれてなりません。確か、学生の頃綺麗な湿原があるという話を小耳にはさんだことがありました。しかし、自然界で起こる遷移は必然で、今の景観が生まれた因果があります。その時々の環境に適応した種が生きのび自らの命を輝かせます。どんな花があるのか散策してみました。

ヤチダモ林

2013年12月28日 | 自然観察日記
ハンノキ林よりはずっと規模が小さいのですが、ヤチダモの巨木が林を形成している一角がありました。遠目からではハンノキと区別がつかないかもしれませんが、ハンノキより寒地に生活し、より水分の多い場所に見られます。新潟県内では個体数は決して多くはありません。ヤチダモがある湿原はそれなりに価値がありますね。

菅平に広がる銀色の圃場

2013年12月27日 | 風景
今日からしばらくは、比較的古くからのリゾート地菅平高原に出向いた時の観察を取り上げます。この地は、学生時代にスキー教室で何度か訪れてはいるのですが、グリーンシーズンは経験がありません。街並みも記憶のものとまるで合わなく全く新しい土地にいる感じです。良く宿泊したロッジが見当たらず時の流れを感じさせてくれます。
この地にある湿原を観察するべく訪れたもののかなり乾燥が激しく期待していた景観には程遠いものでした。やはり、周囲の開発が進みいやおうなしに人の働きかけが乾燥化に拍車をかけているような気がしました。その典型的な景観がこの高原野菜を作る圃場でしょうか。かつて樹林地だった斜面にまぶしいくらいに広がる銀色の平原。遠くからでは何かわからず、車で走ること数分、広大なビニールシートの畑でした。近づいて高原野菜を作る圃場とようやく理解しました。初めて見る光景でしたから最近の営農の方法がいろいろ進化しているのだと知らされましたね。新しい土地に出かけることは新たな知識を身に着けるにはいいことです。

銀色の圃場 接近

2013年12月27日 | 自然観察日記
一面に張られたシートには等間隔に穴があけられていて、ここに苗を植栽するものと思います。何の栽培かは付近に聞けそうな人が見あたず不明ですが、レタスではないかと思っています。

マツバウンラン

2013年12月26日 | 自然観察日記
クマガイソウ観察の帰りに立ち寄った駐車場の芝地に生えていたものです。近づいて見ればなかなか可愛い花なのですが、とても小さく茎も葉も線状で数m離れてしまうとすぐに周囲に溶け込んでしまいます。かなりまとまった規模で生育していないと遠くからは分かりませんね。
ところで、マツバウンランは昨年里山交流館(えちごにあん)が開館した折り、その周辺の芝地でかなりの個体数を確認したのですが、なぜか今年はまるで姿が見えないのです。工事に伴って移入してきた種であろうと考え、毎年ここに発生するはずと踏んでいましたが皆無です。北アメリカ原産の帰化植物。また発生するのかなと期待しつつも、繁茂しすぎると厄介な存在になる?と心穏やかではなかったのですが、少々気が抜けていたところでした。この駐車場で花を見つけなんとなく愛おしさが湧いてきました。帰化植物と言えど場所によっては簡単に根付かないようですね。

ヒイラギの葉 2形

2013年12月26日 | 自然観察日記
植物はいつも同じ形をしているわけではありません。マルバアオダモといっても丸く無い葉を持っている個体はたくさんあります(もちろん丸みをもった個体も多くあります)。名前と実態がかけ離れているケースが普通にあるということを常に念頭に置かないといけません。その変異がまた面白く不可思議な点で自然観察は飽きない要因ですね。
それはそうと、このヒイラギも紛らわしい顔を持っている種です。若い頃、東京の高尾山の観察会に行った経験がります。ここで、ヒイラギの鋸歯の無い個体を教えられいたく感激した思い出があります。「若い個体は棘があるが、年をとると丸くなる」。まるで人の生きざまを教えられた気分でした。高村光太郎の「智恵子抄」の智恵子の生家の庭にあったヒイラギです。棘のある葉とない葉が混在しています。