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お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない

2023-06-28 | 映画(さ行)

◼️「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」(2023年・日本)

監督=増井壮一
声の出演=石川界人 瀬戸麻沙美 久保ユリカ 内田真礼

テレビシリーズにどハマりして、2019年の劇場版第1作にも涙した。その続きの劇場版ということで、毎週キャーキャー言いながら一緒に見ていた長女と新作「おでかけシスター」に行く。父はメインヒロインの桜島麻衣が推しだが、長女は一貫した妹キャラ好きなので推しキャラは花楓なのだ。

テレビシリーズのクライマックス。主人公咲太の妹花楓の意識が戻るエピソードは素晴らしかった。記憶を失ってから家から出ることができなくなってしまった彼女は、咲太の妹になろう、学校に行けるようになろうと努力し続けてきた。そんな健気な「かえで」が「花楓」として戻ってきたその後の物語。

「お兄ちゃんと同じ高校に行きたい」
進路相談で花楓が言い出した。スクールカウンセラーは、これまでの通学状況や学力的に難しいので、通信制高校も視野に入れるべきと言う。それでも受験頑張ると言う花楓の意思に協力する。その努力の裏側で花楓が考えていたこと、その理由とは。

テレビシリーズの「かえで」回は、ひらがなの「かえで」との別れとなり、涙なくして見られない。二役を演ずる久保ユリカの演じ分けの見事なこと。今回の劇場版では「花楓」の葛藤が話の主軸だけに、さらに難しい役柄。人から見られることが苦痛につながる花楓がそれでも頑張ろうとする理由。胸に迫る。誰しも人と比べられる(と感じる)ことや、誰かの思いが重圧になることがある。それが"もう一人の自分"だなんて。

その気持ちを知った上で咲太が示す進路の提案。スイートバレットのメンバーも絡んで面白いのではあるが、話の受け取り方によっては通信制高校の広報アニメのようにも感じられる。進路や就職、将来に悩む世代が観ると共感できるポイントがいくつもあるだろう。隣で長女がウルウルきてる中、僕は映画後半ちょっと冷静になっていた。

私ごとだが、うちの子も不登校になったことがあった。その時期、僕は通信制や単位制の学校の話を聞き、映画で語られるようにメリットも十分理解している。進路のことであれこれ手伝ってきた。立ち直る花楓ちゃんに涙するよりも、咲太が目の前の出来事に対応する地道で誠実な姿に感動する。でもよく考えると、これまで思春期症候群の謎に立ち向かってきた彼だからこそできたこと。咲太の成長物語でもある。スイートバレットメンバーのお母さんにも、ちょっと感情移入w。

一方で咲太と麻衣のイチャイチャもしっかり出てくる。二人の微妙な距離感と駆け引きみたいな会話が相変わらず楽しい。ポスターなどのビジュアルで、電車に乗る「花楓」が描かれているバージョンがある。これが窓に映る姿が「かえで」になっている。もうそれだけで涙腺を刺激される気がしていた私。このシリーズはラブコメと切なさのバランスが好き。高校説明会のくだり以外はキュンとしました。
「パンダ好きなのか。」
あー、もうそのひと言。おじさん泣いちゃうじゃん😭。エンディングで流れる不可思議のカルテは、「かえで」と「花楓」のデュエットver.。

続きが待ち遠しいです。




コメント
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