Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

肉体の悪魔

2023-06-27 | 映画(な行)

◼️「肉体の悪魔/Diavolo In Corpo」(1986年・イタリア=フランス)

監督=マルコ・ベロッキオ
主演=マルシューカ・デートメルス フェデリコ・ピッツァリス アニータ・ラウレンツィ

この映画を20歳の頃に映画館で観ている。ソフィー・マルソーの「狂気の愛」と二本立てだった。ソフィー初ヌードの話題作とインパクトのある本作。映画館を出る僕は眼が血走ってたんではなかろうか(恥)。正直、こっちの方が「狂気の愛」より面白かったので、また観たいなと思ってたところ、近所のTSUTAYAに置いてると近頃気づいた。2023年6月にDVDで再鑑賞。

1920年代に書かれたレディゲの原作は未読。夫が出征中の人妻に恋した少年のお話だが、本作は現代に舞台を変えて拘留中の婚約者がいる女性ジュリアに高校生アンドレアが恋するお話。70年代に政治的に不安定な時期があったイタリア。製作当時の80年代はその後だけに拘留中とした設定は現実的だし、ヒロインのパートナーを目に見える存在として登場させることも緊張感を高めて、ヒロインの葛藤をより深くする改変だ。ベロッキオ監督は後に政治的な内容を含む作風になった人と聞く。なるほど。

さらにジュリアは精神科医(アンドレアの父)の元患者という設定、ジュリアに監視の目を注ぐ婚約者の母親も大きなハードルとなる。イカれた女と付き合うなとの忠告に従わないアンドレア。時に不安定になるジュリアの言動に振り回されるところだが、恋にまっしぐらなイタリア男子は周囲の心配など関係なく、勢いは止まらない。

初めて観た時も長回しが多い映画だと思ったが、今回観なおしてこんなに長かったっけと改めて思う。特にベッドで抱き合う場面のカットがとにかく長い。相米慎二監督の「魚影の群れ」のベッドシーン程ではないにせよ、いつまで見せつけるのさ?。しかもアンドレア君の下腹部をジュリアがまさぐる場面は、えー?演技とはいえ、ここまでさせるの!?と驚愕😳。こんな場面はあったっけ?。初めて観た公開当時は、おそらくボカシが今よりも広かったから何だか分からなかったんだろうなw。

年上女性が恋の暴走にブレーキをかけるところが、奔放な彼女も二人の世界に夢中になっていく。男と女が惹かれあった時の、どうしようもない止められない気持ち。法廷で檻に入れられた被告人たちのうち、ひと組の男女がもぞもぞと抱き合い始める場面も印象的だった。止めようとする廷吏に向かって、ジュリアは「最後までやらせてあげて!」と叫ぶ。アンドレアとの出会いにもつながるこの場面は、ヒロインのキャラクターを短い時間に掴ませる。エロ描写たっぷりの映画だけど、観終わった時にしっかりアート作品を観た満足感がある。ラストのヒロインの涙の意味、その後の二人の関係を考えてしまう。

マルシューカ・デートメルスはこれしか観たことがない。デビュー作のゴダール監督作をずーっと敬遠してきたけれど、そろそろ挑んでみたい。




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