無農薬・自然菜園(自然農法・自然農)で、持続できる自給自足Life。~自然な暮らしの豊かさの分かち合い~

信州の大地で自然農と自然農法で育てる自給農園で、日々の営みや生命を通して感じることや想うことを発信するブログ。

野菜が自然に育つこと、補いとは?(土づくりとは?)「補い」で大切にしていること

2019-01-08 13:03:59 | 日々の自然菜園


2019年自然菜園スクール東京大月校(東京+大月)開校記念
2019年1/26(土)東京で自然菜園講演会、講座(2/10(日)「コンパニオンプランツ」、3/2(土)「自然菜園プランター」)決定!!



本日、
今日もPC時々薪仕事といった感じです。

ブログのコメント欄は、菜園の無料質問の場となっております、農閑期などは、長文になりがちです。(笑)


自然菜園スクール(安曇野校)11月①午前の部『冬の菜園のお世話』
今日のブログでは、以前ブログで紹介した米ぬかの補いに関して、よいご質問がありました。
ご質問の内容は是非読んでいただきたいのですが、

「補うか、補わないか」ではなく、何のために「補い」が必要で、
そこには結局、土を肥沃にするとはどういうことなのか、
土づくりとは?エダマメをなぜ、混植するのか考えてみたいと思います。

化学肥料は、元々持っている地力(体力)をベースに、栄養剤(点滴、滋養強壮剤)のように、栽培する養分を補給する目的で投与される。
地力(体力)があるうちは、とても効果的ではあるものの、腐植が消耗し、団粒構造が崩壊すると、その効果は低下するため、化学肥料栽培において、消耗した腐植を補い、団粒構造を維持するために堆肥の投与は欠かせないものになっている。

化学肥料栽培ではなく、有機農業(無農薬・無化学肥料栽培)において、土づくりには、大きく分けて3種類あるように思える。

1)マッチョ型(プロテイン+トレーニング)。
窒素肥料や腐植の材料である有機物、分解されたアミノ酸などを多投入して、どんどん野菜を繰り返し生産するタイプ。
特に、アブラナ科やヒユ科のキャベツ、コマツナやホウレンソウ、ヒガンバナかのネギのように、根から根酸を出して、自ら有機物を分解し吸収する能力が高い野菜に向いており、
養分などが土に、野菜に余らないように大量生産で、輪作体系を組み、作りまわす周年栽培に向いている。
病虫害を出さずに、育てるためには、熟練の技術が必要。


2)マラソン選手型(低投入+トレーニング)
一見痩せているように見えるマラソンランナーの体形は、肥満な筋肉や短距離走のような瞬発力ではなく、効率よい吸収力とエネルギー変換能力が高く、
炭水化物や水分を効率的に分解、消化して、エネルギーに変え持久力が強い。野菜で言えば、自然農法のような農法で、初期生育はとてもゆっくりに見えるが、強い根張りと根からの強い吸収力、光合成の同化能力により、団粒構造が発達しているので、根の発達がよく投与される養分以上に育つ。

この場合、土をむやみに肥やすと、(食べ過ぎると)、かえって効率はダウンしやすくなり病虫害が出やすい。
腹八分目なので、よく動け、しっかり寝ることができる。

というのは、むやみに肥やすと、根の発達が悪くなり(養分がないから発達するの逆)、未熟有機物から出るガス中毒で根が傷み、アンモニア態窒素中毒で、病虫害がでやすくなるなど負の効果の方が強調されてしまうから。

そのため、腐植や土の団粒構造が発達するまでは、野菜が中毒にならないように、有機物の低投入にし、トレーニングが必要。
野菜の根張りを強くする栽培方法に向いている。

3)仙人型(無投入)
いわゆる無肥料栽培。無肥料になることにより、投入による有害作用がなくなり、栄養がない方が働く窒素固定細菌、リン酸を吸収しやすくしてくれる菌根菌などが働くことにより、投入されていないのに、よく育つ現象がおきる。

ただし、野菜の栽培と自家採種がセットになり、その土で本領発揮されるまで、数年の選抜が必要な自家採種が必要。
地域風土がその野菜に合っていることも条件の一つなので、その畑で何でも育つわけではない。

また、水が切れると生育が一気に悪くなりがちで、草に負けやすいため、ビニールマルチ栽培が一般的。
腐植があるうちは、育ちやすいが、腐植の消耗型になりやすい。

あくまで、かなり大胆で大雑把な3つの区分なので、
自然菜園は、無農薬で、少量多品目で、育てたい野菜を育てる家庭菜園を基準としているので、2)と3)の間を狙っています。


例えば、エダマメは、マメ科なので根に、コブ状の塊「根粒菌」を持っています。

エダマメを育てると、肥えるという方もいますが、実はあまり肥えません。

というのは、エダマメは、根の「根粒菌」と「菌根菌」という菌たちによって、「根粒菌」は、空気中の窒素を固定してくれるので、あまり土の窒素を使わずに育ち、「菌根菌」は、リン酸の吸収を高めてくれるので、効率的に窒素やリン酸などを吸収できるんです。

つまり、エダマメは、特別に菌たちのお蔭で、ほかの野菜が育たないやせ地でも、効率的に窒素やリン酸などを吸収でき、タンパク質たっぷりの種子(大豆)を生産することができます。

つまり、自分の種子(大豆)を生産するために、使ってしまうので、土には残らず、特に土が肥えるというより、土の養分(地力)をあまり使わずに、育ったので、土の養分があまり減らなかったという方が合っています。



この特別な菌たちは、実は、やせ地で最も働く菌で、根に適度な水と空気がないと働きが悪くなるので、

エダマメは、土が痩せいるが、菌たちが働けるように土が団粒化していること

エダマメが花が咲いている頃に、たっぷり雨が降ること。この2つがエダマメが本気を出せるコツです。

土をただ肥やすと、菌たちの働きが鈍り、エダマメがつるボケ(樹ボケ)するので、枝ばかり繁茂して実がつかなくなることがあります。

また、マメ科のエダマメやエンドウなど豆を作るためにせっせと養分を運んでいるので、
生育が停滞したり、風通りが悪くなるとせっかくの養分が、エダマメにはカメムシ、エンドウにはアブラムシに吸われ、虫害が大発生しますので、

エダマメは、35~45㎝と品種によってしっかり株間を離すことも大切です。



エダマメ跡地は肥えませんが、エダマメと野菜を混植すると、(写真はニンジンとエダマメ)
混色された野菜の生育がよくなることが知られています。ネギはだめですが、、、。

いわゆるコンパニオンプランツ(共栄植物)としてのエダマメの混植です。

これは、ニンジンの隣で、エダマメが、窒素を固定しながら、リン酸を吸収しやすい菌のネットワークに、ニンジンの根も一枚かんでいるからだとされています。

つまり、ニンジンからすると、ニンジンだけで栽培するよりも、エダマメを隣に混植することで、
根粒菌や菌根菌の働く領域に根を張ることができ、単独で育てる場合よりも明らかに生育がよくなります。

エダマメも、横で、ニンジンが養分を吸うことで、やせ地になり、根粒菌や菌根菌の働きが活性化するからよりよく育ちます。

また、副産物としてエダマメに来るカメムシは、ニンジンの臭いが嫌いで、ニンジンに来るキアゲハはエダマメを避けるといわれています。
お互いの害虫と呼ばれる虫を避けているので、お得な関係です。


ただし、このニンジンとエダマメの関係を悪化させる要因が2つあります。

1つは、水不足
ニンジンも生育前半は水が欠かせない野菜です。雨が少ない年には、初期はニンジンに、中盤はエダマメに水やりが二人の関係をよくしてくれます。

2つ目は、距離が近いと両者がうまく育ちません。
ニンジンもエダマメも太陽が大好きなので、両者にしっかり太陽が当たるように、条間を40~50㎝位空けててあげるか、背丈の低いエダマメ(極早生)にし30㎝にするなど工夫が必要です。

友達とも同じように、お互い余裕がある場合はいいんですが、どちらか(もしくは両方)が環境悪化により余裕がなくなると喧嘩してしまいがちなので、
コンパニオンプランツ(共栄植物)といえど、お互いを立てる、お互いのためになるように、
タイミング×時間×距離が大切
です。

ちなみに、宣伝ですが、今度出る『野菜だより』3月号(学研プラス)の特集は、このコンパニオンプランツの関係を高める方法を監修させていただきました。

エダマメを混植することで、低投入や無肥料栽培でもニンジンが育ちやすくなります。

これは、土づくりによって肥やした結果というよりも、微生物や菌の働きを活性化させ、野菜自身の本気を引き出す栽培法といった方がいいかもしれません。


自然菜園では、キャベツやネギなどは元々、有機物を分解する能力が高く、やせ地では育ちにくい場合、草マルチの上から米ぬかを補います。
そうすることで、草マルチに米ぬかが補われることで、酵母やこうじ菌、乳酸菌が働き、有機物の分解が進み、キャベツやネギの本気が促されるので、補うわけです。

もちろん、草マルチや米ぬかが分解されて吸収されるタイミングに合わせて補うので、定植して活着してから、キャベツの状態を見て、本葉8~18枚くらいの間に米ぬかかボカシを適度に補うわけです。

定植する前に米ぬかを撒くと、米ぬか大好きなヨトウムシが多発したり、過剰に米ぬかを撒くと、モンシロチョウなどが多発したり、結球してから米ぬかを撒くと、軟腐病など玉が腐ってしまいます。

野菜の生長期(人間でいえば、15~18歳位の育ちざかり)に分解された養分が吸えるとどんどん生育を応援できます。
しかし、赤ちゃんの(定植初期)時期にはまだ過剰養分は生育を妨げ、思春期(10~12歳)にはニキビがでるように、食べ過ぎはよくないですし、老年期にはメタボになるように、いつでも過剰養分が欲しいわけではなありません。

野菜の場合、アブラムシ、ヨトウムシ、アオムシ、カメムシの虫害は、過剰窒素(アンモニア態窒素過剰)で起こりやすく、補いの目安になります。

あくまで補いは、野菜の生育をよくするためのものであり、野菜の本気を引き出すことに目的があります。

そこで、エダマメに米ぬかを補う方が多いのですが、もし補うのであれば、肥えていても菌根菌や根粒菌が働けるようにクン炭を畝立ての際に入れて置いたり、エダマメが花を咲く時期に「水を補う」に限ります。

「肥かけ」と「声かけ」は通じるところが多く、相手の顔をみて行うことです。
作物の状態、草の状態をみて、どうしたら、野菜が本気を出せるようになるのか、そのために補う必要があれば、タイミングや量、そして様子見が必要でしょう。

ただ米ぬかを補うのは、肥料をたっぷりあげれば育つ。と思っているのと同じです。

また、白菜を育てたいとします。
白菜に米ぬかを補うと、少なければ育たず、多ければ病虫害が出やすいデリケートな野菜です。

そんな場合、1年目にネギを育て、たっぷり目に補いネギをしっかり育てます
2年目に、ネギがよく育った場所では、ナスが、最初無肥料でよく育ち、実をつけ始めてからナスに草マルチしながらナスの顔色を見ながら米ぬか、水などを補います。
そうするとナスの跡地で、無肥料でも白菜はしっかり結球し大きな白菜が収穫できるようになりやすくなります。

というのは、ネギによって、有機物がどんどん分解され、腐植が増え、団粒構造が発達し、ナスの初期生育を促進する土づくりができ、ナスの生育と共に、草マルチと補いで、ナスの根は横に、さらに深く根を張り、土はどんどん耕され草マルチの下には、ミミズだけでなく、クモやテントウムシ、ヨトウムシなど食べるゴミムシが棲むようになります。その結果、土は団粒構造が発達し、天敵が棲むようになった結果、白菜が無肥料でもしっかり育る環境が調ったといえます。

この時の補いは、単に土を肥沃にし、肥やすためのものではなく、2~3年後を見据えて、野菜が育ちやすくなる環境を育てるための補いということになります。
「風が吹けば桶屋が儲かる」仕組みづくりのための栽培であり、補いになります。

野菜が自然に育つ環境を調えるために、補いたいもので、野菜が自然に育つように、菜園プランを立てたいものです。

今年は、完全リニューアルで、
「これならできる!自然菜園入門講座2019」が2019年1~3月は、土づくりと菜園プランの講座を以下の通り予定しております。

1/9(水) -土づくり講座「失敗しやすい土づくり」「無農薬野菜が元気に自然に育つ土づくり」
2/ 6(水)-菜園プラン講座「連作障害の引き金プラン」「コンパニオンプランツで混植菜園プラン」
3/ 6(水)-土づくりできる菜園プラン「夏野菜で土づくり」「春・秋・越冬やさいで土づくり」


新年度は、4月よりコンパニオンプランツの混植野菜をテーマに、季節の野良仕事と一緒にご紹介していこうと思っております。

座学は、野菜の栽培の流れをイメージしやすくなるだけでなく、失敗した本当の原因や準備ができるようになります。
菜園が忙しくなる種まき植え付けのラッシュ4~5月、草刈りと収穫が忙しくなる6~8月、あっという間に過ぎる9~12月とならないように、
1~2月に備えておくことをお勧めします。

◆◇◆お知らせ◆◇◆
来月は、2019年1/9(水)です。第2水曜日になるのでご注意ください。


2019年土内容充実で、
城山公民館「これならできる!自然菜園入門講座」講座が開催です。
毎月の野菜と土づくりのテーマで質問時間もたっぷりあるので是非お越しください。

今年度は、いつもの第1水曜日に
長野市城山公民館 18:30~21:25(当日、記録用動画撮影いたしております)
18:30~19:45座学
19:50~21:25質疑応答


◆次回以降の予定
来月は、2019年1/9(水)です。第2水曜日になるのでご注意ください。
1/9(水) -土づくり講座「失敗しやすい土づくり」「無農薬野菜が元気に自然に育つ土づくり」
2/ 6(水)-菜園プラン講座「連作障害の引き金プラン」「コンパニオンプランツで混植菜園プラン」
3/ 6(水)-土づくりできる菜園プラン「夏野菜で土づくり」「春・秋・越冬やさいで土づくり」


お楽しみに~



新刊発売中!!さっそくの重刷決定!ありがとうございます。第一弾!『とことん解説!タネから始める 無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜』(洋泉社)
今までの自然菜園でわかりにくかった点を見事に解説!最新技術を加え、決定版になっております。


第二弾!4/19新発売『プランターで寄せ植え野菜』
プランターは、失敗しやすいものですが、基本を守れば、とっても簡単です!今回は、寄せ植えで2~3種類の相性の良い野菜を混植し、1枚のメニューになるようにイラストと写真でまとまっております。プランタ―だけでなく、庭や菜園でも使える組み合わせなので、参考にしてみてください。

千曲市戸倉創造館で2018年3~2月に開校中~
『無農薬無化学肥料でもしっかりやればできる!自給稲作入門講座』

1年の反省と来年に向けて
田んぼの土づくりは、3年。稲を育てて、草が生えにくい環境づくり。3年後に楽できるように、毎年の積み重ねが大切です。
悪い連鎖を断ち切り、よい連鎖が続くように、3年かけて少しずつ抜本的に改善するためには、この講座では、現状の問題の真の原因を見つけ、
どうすれば、悪い連鎖を断ち切り、よい連鎖が続くように、自分の田んぼで改善していけばいいのかを知り、
自分の生活や仕事のペースと稲のお世話のタイミングを合わせていく方法を見つけていきます。



場所:戸倉創造館2階会議室
日時:第2木曜日 18:00~20:45まで(全12回座学のみ)
受講料:1回1,500円、一括申し込み15,000円
対象:米の自給をしたい方。米作りが初めての方大歓迎!
参考テキスト:『自給自足の自然菜園12ヶ月』(宝島社)153~174ページ

●問合せ・申し込み先●
千曲市役所経済部農林課農業振興係服部
電話026-273-1111(内線7244)
Email:nousin@city.chikuma.nagano.jp(件名を「自給稲作入門講座」として送信下さい)



現在、『竹内孝功さんの自然菜園講座オンライン動画サイト試験発信中~
※有料サイトの都合、登録などの際に一部英語表記になっております。

※最新動画、「畑での野良仕事(実技編)」前編・後編もアップグレードできました。

コメント (6)
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