90マイルを5分で移動 平成25年6月21日
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著者はしがきから
わたしは、1894年に極東を訪れた 11人の調査団の
一員であった。
3年半にわたる極東滞在中、ヒマラヤの大師たちに接触した。
大師は私たちが 偉大なる法則の働きを実証されるのを実際
に見るために、大師がたの生活の中に親しく入り込むことを
許してくれた。
私のノートを今ここに、“極東における、大師たちの生活と
教え”と題して、発表するが、そこに盛られた内容をそのまま
受け入れるか、否認するかは、読者の自由である。
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ヒマラヤの小さな村 アスマーと呼ばれるところへ調査隊が
向かったのは 1922年12月クリスマス以後 のことだった。
エミール師は 彼の配下の助手を2名、調査隊に付き添わせた。
調査隊全体の世話役のためだ。
この二人の名前は ジャスト、ネプロウ といった。ジャストは
調査隊執行委員各、ネプロウはその助手で、命令の遂行を見届け
監督役でもあった。
出発当日の朝、エミール師は調査団へ 見送りの挨拶を述べた。
“みなさんはこれから、ジャストとネプロウの二人を同行して
調査旅行に出かけるわけですが、約94マイル先の次のおもだった
宿泊地まで、たぶん 5日ほどはかかるでしょう。
私は暫く、ここに踏みとどまることにします。
90マイルの道のりを行くのに、私はそれほどの時間がかから
ないからです。
そして みなさんの目的地で、到着をおまちすることにしましょう。
そこで、私からのお願いしたいことは、誰か一人、隊員の方に
ここに残ってもらい、これからの出来事をよく観察し、証明する
役を引き受けていただきたいことです。
そうすれば、お互いに時間の節約にもなるし、ここに残ってもらう
方も、これから10日間までには、調査隊に加われるわけです。
私たちとしては、その方によく見ていただき、見たことを、よく
報告してくださるように、お願いするだけです。“(34)
調査隊は 大師の、その旨を受けて、証明人と大師たちを残して、
先に出発した。
ジャスト達は、非常に良く手際よく働いた。エミール大師にこう
言わせたほどだ。
“この二人のやり方以上に テキパキとした 胸もすくような仕事
のさばき方は想像もできないことを、特に、ここで申し上げて
おきたい。
どんなに細かいことにも 到れりつくせりの行き届きようで、
いわば、音楽のリズムと精確さとに ぴたっと合った感じである。“(34)
この二人は、大師の弟子であり、後々特別な能力を示すのだが、
その時はまだ調査団はそれに気が付いていない。
こうして予定どおり、5日目の4時ごろ、調査隊は予定の村に到着した。
ここで、エミール師が、出発時に約束したように、彼らを迎え出て
いるはずであった。
それに関して調査隊の報告が以下に続く。
“読者に私たちの驚きが想像できるだろうか?私たちは間違いも
なく、ただ一本しかない道を、途中で交替して日に夜をついで、
急行する飛脚は別として、この国では一番早い交通機関で
やってきた。
ところが、年齢も 相当いっているはずの、また、どう考えても、
90マイルの道のりを私たち以上の短い時日では 来られないはず
の人が、ちゃんと先着しているではないか!“(36)
つまり、大師は約束通り 調査団を迎えて調査団の者たちを
驚かせたのだ。
調査隊の皆はその理由を知りたく、いっせいに大師に質問を
浴びせかける。
師の答えは こうだった。
“あなた方が 御発ちになるとき、私は、ここで、みなさんを
お迎えしましょうと言いましたね。
その通り、私は、今 ここにいるわけです。
人間は本来 実相においては無限であり、時間・空間・制限を
知らぬものです。
ひとたび、人間がその実相を知れば、90マイルの道のりを行く
のに、5日も トボトボと歩かなければならないということは
ないのです。
実相においては、どんな距離でも一瞬にして、到達できるものです。
距離の長さなんか、問題ではありません。
私は ほんの一瞬の間の前に、あなた方が5日前に出発した村
にいました。
みなさんがご覧になっている私の肉体は、まだそこで、休息
しています。
あの村に残っている皆さんの 同僚は、4時数分ま前までに、私が
~もう、今頃は着いているはずだから、出迎えの挨拶に行きましょう~と
言ったことを 後日、証言するでしょう。
このことは、ただ、私たちがどんな約束の場所、どんな定められた
時刻にでも、肉体を残したままであなた方に挨拶に来られること
を、お目にかけるためにしたわけです。
皆さんにお供してきた あの二人にも、同じことがやればやれたのです。
そういうわけで、私たちが、みなさんと根源を同じくする 普通の
人間でしかないこと、また、神秘めかしいことは何もなく、父なる神、
全能にして 偉大なる 壱なる存在が、総ての人間に与え給うた力を、
ただ皆さんより、多く発現させただけであることが、一層よく
お分かりになったでしょう。
私の肉体は、今晩まではあそこに置きますが、そのあとで、こちら
に引き寄せます。
それで、みなさんの同僚の方も、こちらに向けて出発し、いずれ
そのうちに到着することになるでしょう。
さて、一日ここで、休養を取ってから、ここから 一日分の
旅程先の小さい村に行き、そこで一晩泊まってから、また、こちら
に戻って、別の同僚に 会って、報告を聞くことにしましょう。
今晩 宿舎で集会をします。ではしばらくの間 ごきげんよう“(37)
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参考)
ヒマラヤ聖者の生活研究―自由自在への道 全5巻
S54年6月5日第五版
ベアード・T・スポールディング著
仲里誠吉訳
霞が関書房
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