局の道楽日記

食道楽、着道楽、読書道楽  etc
生活色々を楽しんで暮らしている日々の記録です

風が吹くとき

2011-03-31 20:40:22 | 読む
土曜日には能天気な飲み会で楽しみ、日曜にはちょっとばかりの二日酔いが残ったが、この日の夜には実家に帰らなくてはならなかった。月曜日の朝から母の外来の付き添いがあったから。
ガソリン不足の折に一人で高速に乗って行くのも申し訳ないが、実家近くのJRの間引き運転のひどいこと。元々鉄道網には恵まれていない市なのだけど 2時間に一本、または運休というテイタラクらしい。どんだけ田舎だよ であります。
ここ20年余りで急速に衰退した市なんですが・・・

ってことで日が落ちてから高速に乗ったが道の暗いこと。元々東名なんかほど照明がない道路なんだけどそれが半分になっている上に車の数も少ないから余計暗い。神経を使いながら実家についた。

実家の両親は地震の時は二人とも家に居て 築60年の家はかなり揺れたらしいがそれほど被害はなかったらしい。瓦屋根の昔の耐震基準の家だから普段から心配はしているのだけど どうやら大丈夫 震度5強までは耐えられることがわかった。
両親も怖かった~と言いながらも元気である。

しかし、未だに東京よりも寒い我がふるさと。しっかり計画停電の対象地区になっている。この週も何日か停電していたそうだ。

「不便でしょ?」って言ったら 二人口をそろえて

「まあ不便は不便だけど なんてことはないよ」との返事。

ご飯は停電の前に作っておけばいいし、リヴィングに老夫婦二人と犬一匹、ろうそく一本あればどうにかなるし、トイレに行くときには このカンデラ風のろうそく立てが活躍しているらしい。



どうしても火を使いたければ母がお茶をやっている関係で風炉はあるし消し炭もたっぷりあるんですと。
「秋刀魚を焼くときの練炭もあるんだよ」と母。
「わかったから一酸化炭素中毒にだけは気をつけてね」と言っておいた。

ファンヒーターは使えないので大昔のアラジンの石油ストーブも物置から引っ張り出してきたらしいが、一部屋にいれば3時間くらいはそれがなくともガマンできるらしい。
父は「ほれ これを着てりゃあったかいぞ」と弟のメキシコ土産のポンチョを羽織ってなんだか嬉しそうだった。国籍不明の怪しいじいさん味をかもしだしていた。
母も大昔 ウチで扱っていた真綿なんかも引っ張り出してきて ヒートテックと組み合わせれば暖房なんていらないよ とこちらも得意そうであった。
弟ともつくづく話したのだが、戦争を経験した世代は大したものである。 ちょっと不便だと音を上げる私たちの世代はやっぱり脆弱なのかもね。

楽天的にこの状況に耐えている老夫婦と犬一匹。エラいっちゃエライ。ある意味微笑ましいって言えば微笑ましい。

しかし 私は嫌な連想もしてしまったのよね。



レイモンド・ブルックス作 風が吹くとき  ☆ クリック

スノーマンとかさむがりやのサンタなどの著書のある絵本作家
あのほのぼのとした絵柄は誰もが目にしたことがあると思う。

しかし この本は怖いですよ どんな原爆や放射能の怖さを告げる啓蒙本や小説より私は怖いと思った。

手元に本がないので詳細はよく覚えてないんだけどイギリスの片田舎に住む老夫婦が平和な余生を送っているところに 突然 核実験?ミサイル?で放射能に汚染されてしまう。政府の広報を信じてシェルターに避難して助けを待ちながら楽天的に暮らしていくが、だんだんに放射線に犯されて衰えていく様子。

あのほんわかした絵柄で淡々と日常を描いた話がとてもとても怖くて 子供たちに読んであげようと思って購入した本にもかかわらず、私は一度しかそれを読んであげられなかった。

今現在の福島原発。 最初は政府も東電も保安院もNHKの解説委員や東大教授も 「まぁ 大丈夫じゃないかな~・・・」ってニュアンスだったはず。それが今頃になって 空焚きだプルトニウムだ 憂慮すべき事態 なんて言われてもね~


この本は次世代に薦めたいとともに こんな事態になる前に もう少し真面目に悲観的危機感をも持ちながら、核とか原発とかに向き合っていなきゃいけなかったんじゃないかと思う。

コメント (2)
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