『竹を切る手を止めて観るコクランは花とは見えず色控えたり』
『竹切りの靴に踏まれしコクランの花ささやかに花穂残りぬ』
『刈り痕に昨日残せし窪地あり今朝来てみればコクラン咲きぬ』
『木漏れ日を受けて揺らぎし山百合の森の出会いは肝が冷えたり』
黒百合は有名だがコクランは注意を払う人もいない。花も目立たないから小さいギボウシ程度にしか見えないのだろう。そうでなければとっくに絶滅している。蘭科の愛好者はいるから存在を知らないだけかも知れないが、この花の地味な佇まいは茶席に相応しい感じがする。
一方、山百合は森の中では一頭抜きん出て目立つ存在だ。そのため掘り取られるし、蕾もつけない高さだと刈り取られて衰退一方だ。
疎林の中に一本だけ生えていたのに出会った時は背中がゾーとした。妖怪に見えたからだが、山中で白いものが視野の中で揺れるのは肝が冷える。
昨日も今日も猛暑日を記録した県内だが、これはクーラーの代わりにはならない。