トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

今日のとんぼ「トンボの名産地」

2019-05-07 | 小父のお隣さん
 午前、護岸に使う丸太を伐り出し曳き落として息絶え絶え。少しは目の保養をしなくてはと飲料とパンを購入して50kmほどドライブに出た。連休前の新聞に「ベッコウトンボの羽化殻が100体を超えた」とありトンボそのものが見れるだろうと遠出したのである。行先は名所の沼で資料には70種を確認とありベッコウトンボは絶滅危惧種でもある。

 現地のビジターセンターは休館日で連休中は大賑わいだったのだろうが、今日は小生以外誰一人として周辺におらず「独り占め」だった。池の縁通りではトンボの姿はなく「外れくじ」とばかりくじけそうになる心を鼓舞して水槽の並ぶ湿地に上がった。
 作業してきたフイールドは穏やかだったのに沼周辺は風が強くトンボの飛翔に差支えそうな気配で、またしてもこころくじけそうになった。

 ところがギッチョンチョン、水槽周囲の刈り込んだ通路の芝生にトンボがいる。体色は橙色に近くてそれだけで名前すら分からない。よく見比べると全体に黄ばんだ個体や真っ赤な個体もいて、これはこれで小生のフイールドとは一線を画す。小生のフイールドにはショウジョウトンボすら出ていないのだ。
 3種の色合いは成熟度によるのか別種なのか判らず写真判定をS先生にお願いするしかない。
 ショウジョウか?    ショウジョウとは思えない   翅までオレンジ

 見たくて出かけた沼であるがベッコウトンボとハッチョウトンボが狙いだった。ハッチョウトンボは見る事が出来なかったが図鑑での発生期は6月頃からとあったのでまだ早かったのかもしれない。
            絶滅危惧種のベッコウトンボ

 肝心のベッコウトンボを見る前にトラフトンボらしい(ハラビロの教示あった)のとヨツボシトンボを確認できた。新しいカメラのお蔭で少しだけ鮮明さが増したのだが合焦や記憶処理が遅くてどっちもどっちである。池を回っていた折、低空で機体の上部に大きなレーダーを載せた軍用機が来た。カメラを向けて焦点が合った時にはフレームの外になってしまう。半押しで残っている画像が撮れたのかもしれないのだがなれないカメラはしょうもない。
 ハラビロトンボか?      ヨツボシトンボはノルウエー産以来 
 
 帰り道、まあ満足のランデブーで、思わず替え歌が出た。南沙織だっただろうか歌詞は朧だったが歌えた。
   誰もいない沼 トンボの飛翔確かめたくて
            森の小道をよろついて来たの
            光る飛翔のまぶしさ
            息も止まるくらい
            早く近く止まりに来て
            好きなんだもの
            お爺はまだ生きている

 誰もいない沼の遊歩道ではぶつぶつ言いつつ歩いても「変なお爺さん」にはならない。歩きながら思った事はこの沼の記録は70種ほど、小生のフイールドは35種、近くの遊水地は60種近い記録があると記憶しているが結論はこうだ。「希少種や絶滅危惧種はいないものの箱庭程度の水辺で記録は35種。普遍種が主であっても飛翔密度はダントツ高いのが小生のフイールド!」まあ、これだけである誇りは・・・。
 沼も遊水地も広大で自治体や学際の支援や協力下にあるが小生は孤独主演と、その質量は大きく異なる。この寄る辺の無い姥捨て山のお爺に寄ってくれるトンボやカエルを愛しく思わなくて何とする。小生、しもの世話を受けるようになるまでは、もう世話をするしかないのである。
          

二つ池の漏水孔潰し

2019-05-07 | 小人閑居して憮然
 江戸時代からの棚田の跡なのだが葦の侵出により漏水孔が縦横に残っている谷地でもある。二つ池も顕在化しない漏水孔があって満水位に達しないままの時がある。この春も場所が不明な漏水でギリギリの水位のままニホンアカガエルの上陸までこぎつけた。

 この頃は更に水位の低下が顕著でも漏水場所が把握できないままだった。この日の水見回りで二つ池の底が露わになっていた。こうなると漏水孔の場所を確認しやすい。水の流れを追うまでもなく漏水孔が見えている。この付近は度々の漏水孔を顕在化させてきた場所で「またここか・・・」とうんざりしてくる。

 漏水孔の周囲に泥土で壁を作り水の流入を止めてから掘り下げる。孔は手首くらいの直径で脇にも副孔があった。広めに掘り下げて判明したのは地下20㎝程度の処で横孔3本を従えてここからも漏水を引きこんでいた。この横孔への流入部は不明だが辿って掘り進め潰す元気はない。
 まずは主要な孔だけ土塊を押し込み踏み込んで潰した。この池のある棚の下棚へは常時漏水している2個所があるのだが、当然流入孔は分かっていない。水見回りは漏水と断水の早期発見にあるのだ。

 「水は命の源」と言われずとも漏水で干上がれば水生生物は全滅待った無しであり、送水が止まれば藪地に戻るだけで引き寄せたトンボは絶滅、カエルも産卵場所を失い衰退するだろう。維持を続けても放棄しても先々はその一点に収束する現状でまあ、束の間の水辺でもあるのだ。
 「保全」の心算でも全ては水物で水商売、師曰く「行くものはかくの如きか…」そのままの日常・・・。

 底が露わ  ➡   漏水部  ➡   掘り下げ踏み込み潰した