トンボ池のある谷間は昔、棚田だったところだ。その二つの棚を掘削してトンボ池とし、その上の棚は草地に設えているのだが更に一つ上の棚に地表を流れ下ってきた表流水を沢に戻す水路を穿ったのはトンボ池掘削の前である。それから二十年も経つと窪みは浅くなり、今期の度々発生した豪雨でついに水路が消失して棚を縦横に溢れるようになってしまった。普段は立ち入らないのであるが園地としてある下棚へ表流水が頻繁に襲ってくるようになったので確認に行ったら機能不全だったと言う訳である。溢水してしまった林床は砂泥で覆われて植生の見えない河原みたいになっているし奔流の筋はえぐれて溝が出来ている。やはり放置は環境悪化を招くだけである。
この日、園地の囲いの中の整備をする予定だったけれどスコップや唐鍬を携行していたので、まずは水路の補修から始める。唐鍬の重さを利用して掘り起こせば作業は早いと踏んだのだったが、スコップで掘り上げた方が楽だった。右肩を傷めており、腕を上げにくいし衝撃を与えない様にしたいからスコップの方が適役だったと言える。スコップで掘り上げた土は、そのまま堤に盛って始末した。水路の慣らしは唐鍬の出番で手斧の様な振り方で内側を削り均して終わった。多少の高低差はご愛嬌で、堤を盛れたから溢流する心配はないだろう