牛乳を毎日コップ一杯は至難であって、涼しくなればチャイ風にして飲用するけれど少々面倒くさいのだ。そこで乳製品は発酵させてヨーグルトにしたうえ、キムチや糀と混ぜたお惣菜風にし毎食食べるけれどヨーグルトの水分を抜くのもいささか面倒に感じる。そこで最初から「ホエーの生じない濃厚で濃密なヨーグルトを作るにはどうすればよいのか」なんて課題がまだら痴呆現在進行形の中でたまたま回路が繋がって「ビビビッ!」と来たのである。その発端は「ギリシャヨーグルト」で、小生は実物は知らないがなにか固さが勝ると言う様な話を思い出したのだ。
店頭にギリシャヨーグルトは並んでいるかも知れないものの「さらに勝る一品」は先祖伝来雅な越後の水飲み百姓の出自と沽券に掛けても達成しなければご先祖様に恥ずかしい。本来、水飲み百姓であっても「百姓」と言われた誇りは保たねばならん。聞くところによると「百姓」は差別用語で放送禁止用語だそう職業蔑視を糊塗する本末転倒である。百姓をやってみればわかるけれど単細胞では成り立たない奥深さがあるからだ。その上、身をもって事に当たらねば出来ない仕事でもあって小生は「百姓」に燦然と輝く後光を見るのである。そもそも一次産業は国家国民の命の綱、生命線である
さて、またもや馬鹿さ加減を晒してしまったが孤爺の思考は乳酸菌様の意向に沿ったものとなって大成功となったのである。まずはスキムミルク一袋を温めたミルク1ℓに十分に撹拌し溶かし込み、種菌も混合させてヨーグルトメーカーで24時間保温発酵させた。通常は8時間程度なので3倍の時間を掛けたことになる。その結果、ホエーは大匙1杯程度しか出て来ず、容器を横倒ししても流れ落ちない固さになっていた。例えれば「絹ごし豆腐」程度の固さなので容器を反転すればそのままの形で出て来るだろう。食味は長い発酵時間なので酸味が強くなっているが弱い甘味も感じられる。これにジャムや蜂蜜を掛ければスイーツになる出来栄えだった。冷蔵庫にあったのは梅とリンゴのジャムだけだったのでひと匙添えて試食した。
そして半分は一晩更に水抜きしてみた。いつも通り、仕掛けに盛ったのだが何時もとは異なり半量しか盛れなくて「まあ。試しだから…」と一晩おいてみた。やはり嵩の目減りは無くホエーも大匙一杯程度溜まっているだけである。小匙で掬い口に入れてみるとほぼ「ヨーグルトチーズ」であった。庫内のヨーグルトチーズと食べ比べしてみると食味はほとんど変わらない。これを更に加熱し「蘇」になるまで調理してみようかどうしょうかとまたまた迷いが生じて来る。加熱すれば乳酸菌は死滅するし蘇にする意味があるのかどうか人生、煩悩とは切り離せないものである。