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今日は新国立劇場公演のヴェルディのアイーダを見に行ってきました。本公演は新国立劇場開場25周年を記念し、1998年の開場記念公演として制作されたゼッフィレッリ演出舞台の5回目の再演となっています。
期待通り豪華絢爛な舞台、新国立劇場の舞台をフル活用した大スペクタクルを堪能してきました。1998年の公演はチケットが取れず、その後の再演も見ていないので、今回は期待に胸が膨らみます。令和の時代には馴染まないのかもしれませんが、昭和の時代に恒例となっていた海外歌劇場の引っ越し公演を思い出してしまいました。ゼッフィレッリ演出といえば、ミラノスカラ座の2回目の来日公演(1988年のNHKホール)でのトゥーランドット(マゼール指揮、ディミトローヴァ、マルティヌッチ出演)のきらびやかな舞台が思い出されます。
本日の公演スケジュールです。ワーグナーと違って1幕の公演時間が短いので、何となく気楽に聴ける印象。今回のアイーダ公演の主なキャストは以下の通りです。
- 【指 揮】カルロ・リッツィ
- 【演出・美術・衣裳】フランコ・ゼッフィレッリ
- 【アイーダ】セレーナ・ファルノッキア
- 【ラダメス】ロベルト・アロニカ
- 【アムネリス】アイリーン・ロバーツ
- 【アモナズロ】須藤慎吾
- 【ランフィス】妻屋秀和
- 【エジプト国王】伊藤貴之
- 【伝令】村上敏明
- 【巫女】十合翔子
- 【合唱指揮】三澤洋史
- 【合 唱】新国立劇場合唱団
- 【バレエ】東京シティ・バレエ団
- 【児童バレエ】ティアラこうとう・ジュニアバレエ団
- 【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
14時開演、土曜日ということもあって満席です。マスク着用も不要となりコロナ前の世界が戻ってきました。それでも半数の観客がマスクを着けていた印象です。舞台上の2幕の凱旋シーンではエキストラも含めて100名以上は舞台に出場、超密状態です。しかも本物の馬2頭舞台上を横切り、再度ラダメスが馬に乗って登場です(笑)。登場した馬は興奮せずに落ち着いていて、舞台慣れしているのでしょうか。今回の舞台を見るとコロナの時代に終止符が打たれオペラが完全復活したことを実感しました。
公演は期待を裏ぎらず素晴らしいものでした。新国立劇場の空間を最大限に活用した豪華絢爛な舞台、衣装も煌びやかで圧倒されました。モノトーンの色彩も特徴的で、3幕のナイル川の岸辺や4幕の王宮内の広間は印象的でした。2幕の場面転換にはずいぶん時間がかかりカーテンコールまではさんで待たされた一方で、4幕の場面転換はあっという間でした。4幕はどういう仕掛けがあったのか不思議でしたが、幕切れ直前に納得です。神殿の地下は舞台の下に準備されていて、上下していたのです。
カルロ・リッツィ指揮の東京フィルは音楽面でしっかりと舞台を支えていました。躍動感に満ち、繊細さも兼ね備えたハイレベルな音楽づくり。さすが巨匠です。目を楽しませてくれた東京シティ・バレエ団にもブラボーです。そして新国立劇場合唱団は今回も健在。1幕2幕は迫力で迫り、3幕4幕はハーモニーの美しさで圧倒します。
歌手では女性陣が良かったですね。前半の1,2幕はアムネリス一人が支えていたようにも思えましたが、3幕、4幕と聴かせどころでは皆さん本領発揮です。合唱とは無理に張り合うことはせず、聴かせどころの後半に備えていたのでしょうか。アムネリスのアイリーン・ロバーツさんが一番印象に残っています。太くてドラマティックな声で、審判を終えた神官を激しく呪う4幕1場の幕切れの場面では、演技と声の力に圧倒されて鳥肌たちましたね。昔のフィオレンツァ・コッソットを彷彿させます。ブラボーが出ていたのにはびっくりです。久しぶりに聞くブラボーでしたが(叫ぶときはマスク装着するよう指示されていたのですが)。アメリカ人とパンフレットには説明さてれいました。でもどこかエキゾチックな雰囲気が漂います。
アイーダを歌ったセレーナ・ファルノッキアさんはリリックソプラノで、高音の響きが素敵です。透明感ある声は2階席まで届いてきました。3幕のアリアは聞かせてくれました。
ラダメスを歌ったロベルト・アロニカさんは、前半は若干ムラがあったのか2階席まで声が届かない時がありましたが、3幕以降は安定し本領発揮。声は美しく艶やかで迫力もありました。
日本人では、アモナズロを歌った須藤慎吾さん。声に力があって美しい響きが印象に残っています。ランフィスを歌った妻屋秀和さんは貫録十分。1998年の公演以来、ほぼ毎回ランフィス役で出演している大ベテラン。声にも張りがあり、さすが第1人者です。後継者がいないのかなと心配になったりします。
期待以上の素晴らしい公演に大満足。今回のアイーダは、4月5日から4月21日まで7回の公演となっています。こういうオペラなら何度でも見てみたいですね。
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