「進路だより」原稿
「受験勉強なんて、大人になってから役に立たない」という高校生の声に対し、桜木健二先生(「ドラゴン桜」の先生)は、こう言う。
「じゃあ、すぐ使える知識や技術ばかりを仕入れたいのか? そんなものはどうせすぐ役立たなくなるし、応用範囲も限られる。覚えたときはどう役に立つかわからないような、知識こそ、その後の人生で広く、長く使える武器となってくれる。」
現実問題として、明日も今日と同じような一日を過ごす人にとっては、英単語も数学の公式も覚える必要はない。
たとえばみなさんが飼っているペットは将来の夢に向かって勉強はしたりしない。
じゃ、明後日はどうか。来年は? 五年後は? 二十年後はどうだろう。
教科書に書いてある内容が、将来役に立つかどうかは、今の時点では判断できないはずだ。
判断できないからといって、それらの受け入れをすべて拒否していたら、何年経っても今の自分がそのままあるだけだけど、みんなはそれでいいですか?
よくわかんないことがらも、拒否ではなく、とりあえず飲み込んでおくことによって、何年か経った後に自分の血や肉になっていることに気づける。
学校でおぼえた知識など実社会では役に立たない、という人は大人にもたくさんいる。
でも、それは物事を一面的にしか見ていない言い方だ。
そういう中身のウスい大人にならないためにも、とりあえず今やっている勉強をぐいっと飲み込んでしまおう。
決してそれは、2年後の入試のためだけにある作業ではない。
大学合格は、それ自体が一つの目標ではあるが、さらにその先の目標実現のための手段にすぎない。
難関大学に入ること自体ではなく、そこで豊かな学生生活を過ごそうと思うのが、みなさんの設定すべき目標だ。