水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

4月8日

2013年04月09日 | 学年だよりなど

 学年だより「夢のあきらめ方1」

 公開中の映画「ボクたちの交換日記」は、お笑いコンビ「房総スイマーズ」が主人公の作品だ。
 甲本(小出恵介)と田中(伊藤淳史)は、高3の時にコンビを組み、文化祭のステージで喝采を受けたのをきっかけにプロの芸人を志した。
 事務所に属して活動しはじめた頃は多少なりとも注目されたが、その後は鳴かず飛ばずのまま10年以上が経っていた。
 バイトなどで生計を立てながら、いつか売れてやるという夢を追いかける二人。
 とはいえ、長くコンビを続けているせいか、お互いに面と向かって言いたいことを言いあう関係ではなくなっている。
 それを打開するために、お互いの今の気持ちを伝えあおうと甲本が考えたのが、交換日記だった。
 交換日記を書き「なんとかしよう」とは言うものの、恋人(長澤まさみ)のマンションに入り浸り、知り合いから借金を重ね、それでいて合コンに足繁く通ってしまうのが甲本だ。
 TSUTAYAでバイトを続け、倹約した毎日を送りながら、ネタを書き続けるのは田中の方だった。
 甲本は、よく言えば天真爛漫。高校時代は人気者で、恋人もいて、スナックのマスターにもかわいがられる。憎めないタイプだろう。
 ただし、そういう人柄は、芸人として成功する必要条件ではないし、もちろん十分条件でもない。
 監督であるウッチャンこと内村光良氏は、お笑いの世界を知り尽くし、幾多の芸人さんたちとふれあっている。
 きまじめな生活をし、毎日ノートにネタを書き続ける田中の方がむしろ成功するタイプと描くのも、内村氏ゆえに描けるリアリティなのかと思えた。
 みんなも知っているとおり、お笑い芸人さんを目指す若者は山ほどいる。
 そしてメジャーになって活躍できるのは、そのうちのほんのわずかな人たちだ。
 比率でいえば、目指した人のうち90数%は、夢をあきらめることを余儀なくされるのが現実の姿だろう。
 年度当初から前向きでないような話で申し訳ないが、「夢をどう諦めるか」は人生設計を左右する。
 「諦める」を前提にしなくてもいいかもしれない。「夢と自分との折り合いの付け方」と言った方がいいかもしれないが、それにはいくつかのパターンが考えられる。
  a 最初から夢を追わない
  b ちょっとやってみてから諦める
  c 期限を決めてやってみる
  d とにかくやるだけやってみる
  e 何があっても諦めずに追い求め続ける

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ゼロ・ダーク・サーティー

2013年04月09日 | 演奏会・映画など

 「ゼロ・ダーク・サーティー」というタイトルは、最初SVOかと思ってたので意味がわからなかったのだけど、「午前0時半」を意味する米軍の専門用語だという。
 9.11テロの首謀者とされるビンラディン氏の居場所を何年もかけて探り出し、ついに突入を果たすその時間がタイトルなのだ。
 丑三つ時とか、19時の街とか、ジェットストリームの時間とか、お昼休みはうきうきウオッチとか、特定の時間のもつイメージというのはあるもので、アメリカの人はひょっとしたら「ゼロ・ダーク・サーティー」と聞くと、「ああ、あの日ね」とイメージ出来るのかもしれない。
「午前0時半」と事件の内容の結びつきもわかりやすい。
 たぐいまれな情報分析力でビンラディン氏の居場所をつきとめたのは、マヤという若い女性CIA局員である、と映画は描く。
 もちろん現実には、ここまで個人の資質に頼った結果とは思えない。
 しかし彼女のまわりにいる男達、任務遂行の努力はもちろんしてものの、自己の保身ゆえに本来の目的からはずれた結論に向かってしまう男達の生態がリアルだ。日本とかぶる。
 「女」は基本的に原理主義。「筋としては君の言うとおりだけどね、まあ、いろいろ事情も考えると、なかなかそうは言えないんだよ、ま、ひとつそのへんは汲んでいただいてね … 」的な発想になってしまうのが「男」。
 特殊な題材ではあるが、歴史の真実を映像化したというよりも、マヤというたたき上げの女性CIA局員の成長を描く仕事映画として見応えがあった。
 男社会の中でで凜として生きる女性の姿と、それを演じる女優さんの演じ方が見事だった。
 むしろ女性の見るべき作品ではないだろうか。

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