大納言行成卿、いまだ殿上人にておはしけるとき、実方の中将、いかなる憤りかありけん、殿上に参り合ひて、言ふこともなく、行成の冠を打ち落として、小庭に投げ捨ててけり。(「十訓抄」より)
「大納言行成卿」を○で囲む。これがS、じゃVにあたる部分は? そうだね。
次に「実方の中将」を○で囲む。これあS、じゃVは? そうですね。
「いかなる憤りかありけん」の部分をとばして係り受けしますね。この「いかなる~」の部分は、挿入句といって、独立させます。
本文の途中に割り込んできた、語り手の補足説明なんですね。
KくんとSくんは、今年はじめて同じ組になったんだっけ? そうか。これから二人がすごく仲良くなったとしよう。しようよ、仮にだから。いや仲良くなれよ、せっかくお隣さんに座ったんだから、いい? よおし。
一緒に勉強して、一緒にいい高校時代を過ごしました。
さて、卒業して大学は別々になり、何年も経ちました。Sは警視庁に勤めてます。捜査一課ね。
ある日、立て籠もり事件がおこる。何人もの人質をとっている。すでに危害を加えられている可能性もある。
よし、突入しよう。それしかない。
「課長、身元が判明しました。なまえはK、○○大学を出たあと、 … 」
「K … 」まさか。
Sは耳を疑った。そう言われてみれば、風貌が重なる。
「課長、犯人が人質をたてにして、外に出ようとしてます!」
「おれにまかせろ!」
Sは銃をかまえた。おれがやるしかない。
こういう時、映画だと、ぱっと場面変わるよね。カットバックとかフラッシュバックとか言うんだけど。
銃をかまえて、もう撃つしかない状況で、Sの脳裏が描かれる。
SとKが放課後並んで勉強してるシーン、二人で帰りにお好み焼き食べてるシーン、なんかうまくいって二人がハイタッチしてるシーン … 。
「課長、なんで撃たないんですか!」みたいなセリフの説明がこれ。
こういうのが挿入句です。
わかった? Sくん。
「 はあ … なんとなく … 」
だめかなあ。いい説明だと思ったんだけどなあ。