水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

真夏の方程式

2013年07月03日 | 演奏会・映画など

 人気のガリレオシリーズ。主演の福山雅治氏はもとより、脇を固める役者さんもみな達者。
 杏さんも美しいし、子役の子もよかったし、映像もよかった。
 物理学者湯川が方程式を解くように問題を解決する姿より、人間ドラマを描いた作品だったって、思う人が多いのだろう。そうなんだよね。みんなそれぞれの役柄を上手に演じていた。
 ただし殺人事件そのものの設定があまりにも雑だ。そういう人間性をもち、そういう人生を送る人が、そんな風に人をあがめることはない(いちおう内容にふれないように、指示語ばかりにしてみた)。
 まさにありえない。あってもいいけど、それだったらちゃんと説明しないと。
 高村薫みたく何百頁分も費やせとはいわないが、これはないんじゃないかな。
 罪の一部を無自覚のうちに背負わされることになった少年もかわいそうだ。
 いくらエンタメ作品とは、人の命をここまで軽く扱うのなら、いっそ「悪の経典」レベルにいってしまった方が誠実なのではないか。
 どんなに人を愛していようと、どんなに大切な人を守るためであっても、何の罪もない人が(罪があってもだけど)命を落とす設定は、あまりに非倫理的だ。
 罪を犯した人を「いい人」ぽく描けば描くほど、やりきれない。亡くなった人の家族にはどう説明するんだろ、って思いました。ていうか、作った人は、観客をおなめになっているのだろうか。

コメント
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