水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE

2013年07月22日 | 演奏会・映画など

 「ゴッドタン」という深夜番組がおもしろいという噂は耳にしていても、なかなか起きているのは難しいので、こうやってスペシャルな映画にしてくれれば楽しめることができるのはありがたい。
 とはいえ、どうしても観に行こうと思っていったわけでもなかった。観てみて驚いた。これほど楽しめるとは。
 番組中の人気企画「キス我慢選手権」とは、芸人さんが、若くてかわいい女優さんたちからキスをせがまれるシチュエーションに置かれ、そこでどれほどがまんできるのかを競うという企画だ。
 「ばかばかしい!」って思うでしょ。
 たしかにばかばかしいんだけど、それを一生懸命やってしまうところがいい。
 そのシチュエーションのなかで、芸人さんがアドリブで台詞を考え、一篇のドラマに仕立て上げていくのだ。
 通常の番組では、1時間それに堪える形式なようだが、映画版スペシャルでは、24時間キス我慢をする。そしてドラマをつくっていく。
 アドリブで台詞をつくっていくのが劇団ひとり、そしてヒロインのみひろさん。
 舞台では観たことの無いほどアグレッシブな岩井秀人さん。渡辺いっけい氏、斉藤工くんといったおそろしく豪華な、芝居のできるメンバーが脇を固める。
 女優陣が、みひろさん始め、紗倉まなちゃん、葵つかさちゃんという、そっち方面のマジかわいい方々だ(18歳以下の人はこの名前を検索してはいけない)。
 劇団ひとりさんの天才的なアドリブによって、物語がそのつど創られていく過程は圧巻だ。

 とはいえ、きちんとした脚本やコンテが用意され作り上げられた作品ではない。
 もう笑うしかない適当な場面はたくさんあって、それをそのまま映画ですと呈示されたなら、金返せと言う客もいるだろう。
 では、なぜ鑑賞にたえうるものとして成立しているのか。
 メタな視点が設定されているからだろう、それも重層的に。
 ドラマを演じる役者さんたちがいる。
 それをモニターで見ている人たちがいる。
 映画では、バナナマン、おぎやはぎさんが、その役だった。
 観客や視聴者は、バナナマンさんたちがモニターを観るように演じられているドラマを観、さらにモニターを観ているバナナマンさんたちを観る。
 観る視点を、さらに上から観る視点の存在。もっとも上位にある視点が、観客、視聴者の視点だ。
 われわれは上から目線で「劇団ひとり、すげえ」とか「つかさちゃん、ほんとかわいいわ、DVD注文しちゃおうかな」とか観ている。
 さらに、コメントを発するバナナマンたちに相づちをうったり、それはちがうだろと言ったりする視点ももっている。
 実に巧妙に視聴者を気持ちよくさせているのだ。
 われわれは、気持ちよく笑わせてもらえる(これほど観客席のみんなが一体感をもって笑っている映画館の記憶ってない)。
 そしてわれわれは作り手の掌の上で、笑わせられている。

 テレビはつまんなくなったとか、いまだにテレビが情報源の第一である人は頭が悪いとかいう人がいて、かなりの部分はあたっているにしても、まだまだ業界に才能はあふれているのだろう。
 NHKのドラマのように、業界の中心に位置し、それゆえあまりの冒険はしにくい分野より、深夜のバラエティ枠に、あふれるほどの、そしてとがった才能が活躍することは多い。
 その方たちのお仕事も、ゴールデン枠になるといろいろ大人の事情が生じて、だんだんとげがなくなってくるんんだろうな。
 そう考えると、「あまちゃん」スタッフがいろいろ仕込んでくる小ネタは、NHKでやっていいの? と思うのがけっこうあるから、そういうのが魅力になっているのだ。

コメント
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