水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

下北沢で

2013年09月10日 | 演奏会・映画など

 松尾スズキ作『悪霊~下女の恋』を観た。出かける前にwikiってみて、松尾スズキ氏(「あまちゃん」純喫茶アイドルのマスター役)が自分より年下だったので、ちょっとへえと思った。不思議ではないのだが。
 三宅弘城さん、広岡由里子さんという、舞台の世界ではきっと大御所に近いような方と、賀来賢人さんという若手、ファブリーズのCMでおなじみの平岩紙さんの四人によるお芝居は、コメディー要素がなければ、なかなかにえぐい人間関係を描いた作品だ。
 ほっといても仕事する役者さんばかりだろうが、特に、はじめて生で見た平岩紙さんのフィジカルの高さには感心した。(直前にテアトル新宿で観た「夏の終わり」の満島ひかりちゃんにも匹敵するかもしれない。満島さんの存在感は圧倒的だが、その能力を全開にしきった監督さんは未だご主人含めてもいないのではないだろうか。)
 お芝居自体が何を言いたいのか、わかった気がしない。いや、筋はわかったよ。
 人気のでかかったお笑いコンビ(三宅・賀来)がいる。三宅さんが婚約者の平岩さんを家に連れてきて、母の広岡さんに紹介する。相方の賀来君が平岩さんに出会うと、二人は意識し始める。三宅さんが事故で下半身の自由がきかなくなる。三宅と賀来は、実は異母兄弟だったことがわかる。母親が事故で亡くなる。その母親にうり二つの家政婦(広岡さん二役)がやってきて、賀来とラブラブになる … 。
 舞台上はずっと、この4人。男女4人で想定されうる人間関係が、結局全部でそろっちゃったなあ、人間ってたしかにこんなもんだよなあと思うしかない展開。
 客席は長年の「大人計画」ファンが多いのだろうか、平均年齢は高く、みな人生経験が十分にありそうだ。
 だとしたら、このストーリーでギャグをちりばめてくれなかったなら、身につまされて見ていられない方々も多いのではないかと、心配になった。おれには他人(ひと)事だけど。
 ちりばめられた伏線も小ネタもきれいに回収され、最後は松尾氏も顔も見せ、久しぶりに本多劇場らしい空間に身を置けて楽しかった。

コメント
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