水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

最後は勘

2013年09月17日 | 日々のあれこれ

 いろいろ考えたり悩んだりして人は様々な物事を決めるものだけど、結論を出す瞬間というのは、その瞬間の判断にすぎないわけで、それまで長々と考えてきた方向性とは正反対の結論になることもある。
 いや、取り立てて何があったというのではないけれど、人が何かを決めるときというのは、結局そういうものなんだろなあと、ふいに思ったので。
 たとえば、生徒さんが何かを言ってきたとき、何かをやらかしたとき、事件がおこったときにどう対応するかなんてのは、その瞬間に判断しないといけない。
 顔や雰囲気から瞬時に「どした?」って言うのか「こるぁあ!」というのかは、判断というよりむしろ反射か。
 センター現代文満点講座で、霜栄先生も最後は「勘」だとおっしゃっていた。
 身体が総合的にはたらき思考より先に何かを選び取って働く状態を勘というなら、日常生活の大体のことは、習慣による惰性か、勘による決定の蓄積で構成されてる。 
 学校の先生としての「勘」を養うには、もちろん最低限の知識はいるし、それを現場で活用した経験がものを言う。
 頭でっかちでもだめだし、経験則だけですべてを乗り切るのも無理だ。
 生徒も同じで、正しく勘のはたらく身体をつくることこそが究極の目標だ。
 そういう身体の完成は、その過程における金賞とか優勝とかよりも上位におくことができると思う。
 そのために勉強したり、運動したり、芸術したり、あいさつしたり、そうじしたり、身なりを整えたりするのだろう。

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9月17日

2013年09月17日 | 学年だよりなど

 学年だより「レコーディング」

 数年前、岡田斗司夫氏の書いたダイエット本『いつまでもデブと思うなよ』が、大ベストセラーになった。約1年で117㎏から67㎏に痩せるという成果をまとめたものだが、岡田氏は特別な方法をとったわけではない。「何を食べたかを記録すること」、方法論はこの1点だった。 


 ~ 会社の経営が苦しいときも、まずやるべきことは、お金の出入りの把握だ。自信満々で発売した商品の売れ行きがイマイチだったときも「発売から週何個ずつ売れたのか」「どんな店で何個ずつ売れているのか」という、売れ数の把握が第一歩だ。対策をすぐに考えたり、理由を安易に想像したりすべきではない。 … 現状を、冷静に数字で把握すること。具体的に、細かい勘定科目まで把握し、それから、合計したり、差し引きしたり、平均をだす。と、冷徹な事実が見えてくる。 … どうやって現状を乗り越えるべきか? 打開策の第一歩は? すべて、具体的な数字の把握から始めるしかない。 (岡田斗司夫『いつまでもデブと思うなよ』新潮新書) ~


 この方法論を、岡田氏は「レコーディング」と名付けた。
 現状を打開するためには、まず現状を把握するところからしかはじまらない。
 こう書くとあまりにも当たり前のことなのだが、私たちは実はこれができないまま、目先のことを何とかしようと思いがちなのだ。
 会社の経営を改善しようと思ったら、お金の出入りを把握すること。
 ダイエットしようと思ったら、サプリメントを飲む前に自分の食生活を見直すこと。
 成績状況を改善しようと思ったら、生活を見直すこと。
 成績が思うようにあがらない原因は、前にも書いたけど、物理的な勉強量不足が圧倒的第一位だ。
 じゃ、どうすればいいか? 勉強時間を増やすしかない。どうやって?
 自分が何をどれくらいやったのかを記録するところから始めるのだ。
 日付を書き、何を、何分やったかを、ひたすら書いていくのだ。
 おそらく自分がどれほど勉強していないかが客観的に明らかになるだろう。
 授業中の様子をみていると、生活そのものの改善が必要な子も多いと思われる。
 何時に寝たか、何時に起きたかも、チェックしよう。
 念のため言っておくけど、部活をやりながら大学進学を目指すのであれば、ゲームはいっさいやるべきではない。今日から、ゲームは完全に卒業しなさい。これだけは絶対条件です。
 それなりに勉強時間はとれているけど、もう一歩伸び悩んでいる場合も、やっぱり書くべきだ。
 書いてみると、時間配分がアンバランスなことに気づく場合もあるだろう。やっているつもりだったけど、思ってたほどでなかった場合もあるだろう。
 何より、書くことで自己が相対化される。これが一番の目的だ。


 ~ レコーディングはすべてに応用可能な、「奇跡を当たり前にする」技術なのである。 ~


 自分が何を問題と考えているかが意識できてはじめて、解決の光が見えてくる。

 

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