書評、その他
Future Watch 書評、その他
パズル 山田悠介
どちらかというと、読み応えのある単行本が多い読書傾向なのであるが、ここ数冊、あまり読んだことのないエンターテイメント的な小説で、しかも少し昔の話題作で文庫化されているものを続けて読んである。最近なかなか本を読む時間がとれないという事情から、次に何を読もうかなという時に、つい軽めの読み物になってしまうという事情があるのだが、こうした読み方でも、結構、新しい発見があってうれしい。この「パズル」という本も、コミックや映画にもなったということなので、大いに話題になったのだろう。作者の名前はよく聞くので、「なった」という過去形ではなく現在進行形なのかもしれない。本書は、アイデアも面白く、タイムリミットのあるハラハラドキドキの要素もあってエンターテイメントとしてかなり楽しめた。いろいろな仕掛けも張り巡らされていて、次へ次へと自然に導かれていく感じだ。そして何よりも良いのは、文章が読みやすいことだ。
しかし、大変奇抜なアイデアがあって、しかもいろいろな仕掛けが施されているにもかかわらず、何故か、犯人の動機や結末が10分の1も読まないうちにわかってしまった。何故だろうと考えていて思いついた。要するに、作者の世界が非常に狭いのである。学校という舞台を考えた時、最大の問題は、いじめと受験競争の2つというのは間違いないことかもしれない。この2つが重要であることは確かだが、小説の世界でそれだけでは何か不十分なのではないか、という思いがするし、やっぱりそんなことだったかということで、どうも読後の満足感が得られないのである。作者は、とても若い作家ながら、いろいろなスタイルを持っているということなので、もう少し読んでから、作者の描く世界がどのくらいトータルとして広いか、見極めたいという気がした(「パズル」山田悠介、角川文庫)
しかし、大変奇抜なアイデアがあって、しかもいろいろな仕掛けが施されているにもかかわらず、何故か、犯人の動機や結末が10分の1も読まないうちにわかってしまった。何故だろうと考えていて思いついた。要するに、作者の世界が非常に狭いのである。学校という舞台を考えた時、最大の問題は、いじめと受験競争の2つというのは間違いないことかもしれない。この2つが重要であることは確かだが、小説の世界でそれだけでは何か不十分なのではないか、という思いがするし、やっぱりそんなことだったかということで、どうも読後の満足感が得られないのである。作者は、とても若い作家ながら、いろいろなスタイルを持っているということなので、もう少し読んでから、作者の描く世界がどのくらいトータルとして広いか、見極めたいという気がした(「パズル」山田悠介、角川文庫)
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