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Future Watch 書評、その他
タイ・カップ

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ひたひたと 野沢尚
名古屋出身の野沢尚の最後の作品集で未完のプロットが収録されているということで読んでみた。彼の作品は、「破局のマリス」「リミット」「砦なき者」等を読んだが、最も印象的だったのは、やはり傑作の誉れの高い「深紅」で、その最初の数十ページの息の詰まるような描写には心底驚いた。私の場合、彼の作品への期待は、あの数十ページのような文章にもう一度出会いたいということに尽きる。本書でも、彼独特の重苦しいが一気に読ませるという特徴が最後まで健在であったことが確認できた。しかし、やはり短編であるということで、筆が急いでいるなと感じてしまう部分があったり、独特の世界に浸りきれずに終わってしまったような気もする。最後の未完のプロットについては150ページの長いものだが、彼の完成された作品との距離はかなり遠い。ここから1つの長編に仕上げるまでの作業が彼の真骨頂であったのだろう。長いプロットが残されていたことに感謝するよりも、この作品が彼によって完成されなかったことの悲しさの方が何倍も大きいことを実感させられた。(「ひたひたと」野沢尚、講談社文庫)
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カート・シリング

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