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真夜中の5分前 本多孝好

本書を読んで、双子というものについて大いに考えさせられた。そういう読まれ方は作者の意図するところではないかもしれないが、同じ遺伝子を持つ人が確実に存在する双子というのは、そうでない人間には、思いもしない悩みや苦労があるのかなと、そこばかりが気になってしまった。本書の登場人物のようにせっぱ詰まった状況ではないにしても、おそらく、わざと違う経験をしたり、違う環境に飛び込んだり、と言う程度のことはあるのだろう。ふと思うのだが、これが3つ子になるとどうなるのか。もっと面白い話になるのだろうか。ミステリーならば、3つ子だけれども、世間的には双子として育てられ…、という展開の話はもうありそうだが。なお、SideーA、SideーBと2分冊になっているが、しゃれているとは思うが、あまり必然性は感じられなかった。どうせ間髪を入れずに読みたくなるという肯定的な意味で、である。(真夜中の5分前」本多孝好、新潮文庫)
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