60歳の定年退職を迎えたとき、満1歳になったばかりで扱うのに苦労した思い出のある、孫三兄弟の長男君。
私たちにとっての初孫であり、そりゃぁもう可愛い可愛い孫兄ちゃん。この1月の誕生日で満18歳となり、高校を卒業することになった。
進学も決まり、卒業式を控えて島根県の高校寮から実家に帰省している。
「じいちゃん、これおみやげ」と言って、今年のインターハイで行った秋田県鹿角市の名産を手に、ぶらっと遊びにやってきた。「オー!久しぶり、大きゅうなったのー」。あいにくカミサンは留守でじいちゃんのお出迎え。
「コーヒー飲む?」「じいちゃんの淹れるコーヒー飲みたいね~」などと男同士の話が始まる。
高校生活3年間が、彼にとって非常に充実したものであった様子が、言葉の端々にうかがえる。そなるとこちらも訊きやすくなる。
質問して人にしゃべらせるのは得意中の得意。次から次へ話は弾む。
よく考えてみると、自分が高校を卒業する前後に、高校生活を振り返って本音で色んな話をした相手がいただろうか。足を悪くして寝たきりの母方のばあちゃんが一人いただけで「じいちゃん」という存在は子どもの時分からいなかった。
自分でも素晴らしいと感じて来た高校生活をちゃんと話す相手はいなかったな~。
そういう意味では、孫とジジという近しい関係ではあるが、男が男に自らの生きざまを話せるというのは、ある意味幸せなことかも。
などと思いつつ、ジジの存在を売り込み過ぎないよう気を付けて、あれこれゆっくり話した。
彼を大きく成長させたな~と思わせる要素はいくつかある。それらは本人もジジも同じ価値観で捉えているところに値打ちがあるようだ。
島根県の雪深い田舎の高校で完全寮生活。コンビニに行くのに自転車で片道30分。実家とは比較にならない不便さ。先ずそれらを、関東以西から集まった色んなふるさとを持つ仲間と友達になって乗り越えたこと。学校の制度として3年間は、周辺の農家の一軒と里親契約をして、農繁期やお祭りの手伝いで村の事業に貢献したこと。「トラクターにも乗ったし田植えもした。猪肉のご馳走を何度も頂いた」と笑う。
幼稚園から始めたスキーのお陰で、3年連続インターハイに出場。国体も高校選抜も常に県代表として、東北・北陸の有名なスキー場はほとんど行かせてもらった。「これは他の誰よりも大きな体験をさせてもらった」と喜ぶ。「ただ、戦績は東北勢にはね~」と苦笑い。
そんな充実した高校生活は、希望する大学の推薦入学という結果となり、充実の春を謳歌している。
結局はジジバカ丸出しの孫自慢になったが、それでいいのだ。
これから新たに未知の世界に踏み出そうとする若者を、気持ちよくさせて送り出す。これぞジジの役目だと信じている。
かけがえのない楽しいひとときをプレゼントしてくれた孫兄ちゃんに感謝!