久しぶりに机の中の小物整理をしていたら、見たことのある証明書が出て来た。1枚は当時の写真付き従業員証。1枚は、労働組合の組合員証である。この2枚があれば、我が全人格が保障されていると言っても過言ではないほど、昭和41年当時の夜の街でも昼の銀行窓口でも、かなり自由に泳がせて頂けるという、若者を強力にバックアップしてくれた大切な証明書である。
組合員症の方は、決して粗末に扱ったわけではないが何故か完全に破れてしまって、セロテープで補修したそのままに残っていてくれた。オー懐かしいね~、若くてちょっとうるさげな兄ちゃんの雰囲気。
この2枚の証明書を手に入れるまでのプロセスが、人それぞれで面白い。
すんなり入社試験で合格する人もあれば、艱難辛苦、というほどでもないが少し苦労する人もある。
先ず入社試験が簡単に受けられるわけではない。受験に足りる成績と人柄が適切であるか、縁故の有無など。さらにこの会社の試験当時、他の企業の受験の結果待ち期間でないことなど、複雑な要素が絡まっている。
早い話が、この2枚を手にするまでにかなり苦労した経験者の一人だから、この2枚には苦楽ないまぜの懐かしい汗と脂がしみ込んだ、青春の思い出が刻まれている。その割にはいつしか引き出しの奥にひっそりと忘れられていたな~。
若い時の苦労なんてこんな風に忘れ去られるんよねー。そして良いとこ取りの画像がイメージとして焼き付けられる部分が多い。そうしないと、苦労はつきものの人生っていうやつが面白くなくなってしまう。人の一生、そんなに良くないことが続くわけないもの。やっぱり人生って楽しいんよ。愉しむべきなんよ。