里山を覆うように咲く、見事なツツジ。 ふるさとの小川で石投げに興じる悠雅君
早くも弥生つごもり。今年もあっという間に3カ月を過ごした。
例年のこととはいえ、1月、2月、3月の逃げ足の速いこと。元々足に自信のない小生など、追いつく術を持たない。
特に今年の場合その感がより一層の気がしている。単に歳のせいばかりではないような。
明日から4月。桜の開花情報があちこちから聞こえてくる。
この時季は桜に限らず色んな花が開く。これぞまさしくわが世の春である。
それは、これまでの寒さや冷たさから解放された私たち人間の胸をも開かせてくれる思いがする。
故郷の小さな神社を祀る里山には、山一面を覆うほどの「山ツツジ」が咲き、山が赤紫色に包まれるスポットがある。
いい被写体を見つけたら、野良いぬの如く食らいつくカメラ愛好家が、密かに狙う一角でもある。
正確に言えば、かつてそれほどの見事な景色を持つ里山があった、というべきか。
その里山を中心に広がる集落は、かつて林業に慣れた多くの手があり、ひと声かければそんな小さな里山くらい2・3日で整備され除草されたものだ。ところが今や世帯数は半分以下、超高齢化の限界集落に近いほど寂びれてしまった。
里山に咲くツツジの競演も、雑草や蔦に覆われて見る影もなくなっていた。カメラを向ける人もほとんど見なくなった。
そこで、集落の支所に勤める女性が「故郷の山を守ろう」と立ち上がって、「里山保全グループ」を立ち上げた。
先ずは、当地出身者を洗い出し、「故郷の景色を取り戻そう」と呼びかけた。
整備する回数を増やすことで段々人手が集まり、数年ぶりにツツジの山が再現されたという。
こういった活動は、実効を上げるには意外に時間がかかる。それを、いろんな機会を通して呼びかけて実現した。
単にこの女性の情熱と手腕だけでは、実現は難しかったであろうが、故郷を離れた人に「故郷の現状」を訴え、「故郷を守ろう」という呼びかけが功を奏する原動力となったようだ。山も川も、故郷の大自然は必ずや人々の心を癒してくれる。
川では、孫君が平たい石を見つけては、サイドスローよろしく、水切り石投げに興じている。
この川も、川鵜の繁殖でハヤは全滅に近いほど食い尽くされたという。川鵜対策も必要となってくる。
『故郷を守る。』言うのはやさしいが実効は難しい。でも誰かがやらないと消滅してしまいそう。