「Y君よー、同級生のI君が最近店舗を閉めっぱなしだけど、何か聞いてない?」という電話が入った。
同級生T君が同じく同級生のI君のことを気にかけて、Y君の私に問い合わせの電話を掛けて来たという次第。
「確かにそうだねー、オレも気にはなっていたんだけど……」「ちょっと確認してみてくれんかねー」という。
何のことはない、同級生の消息から体調変化まで何でもかんでも、「Y君に聞けば判るかも」などと安易に頼られているようだ。
しゃーないなー、自分で聞けばいいようなものを、普段の付き合いの深さによっては、いきなり尋ねるのも気が引ける、という理屈もわかる。
頼まれるとつい「チャンスがあったら確かめてみるよ。」などと一旦電話を切るが、やはり気になるものですぐに消息を確かめにかかる。
「モシモシ」から始まって「元気にしとるの?」と尋ねるまでに約10分はかかったな~。
去年の1月に病気が見つかって、どこの病院で手術して、どこでリハビリして、しばらくしてまた新たな部位が見つかって・・・
ああしてこうして一旦はこうなったが、また改めてこうなって……。
こいつは何年も誰とも話が出来なくて、話し相手に飢えていたのか、と思うくらい堰を切ったようにしゃべるしゃべる。
「オレが訊きたいのは…… ?」「それがね・・・」またまた長談義。時計は確実に時を刻む。
やっとこさ「今はこういう状態で、来年2月頃には現役復帰しようと思ってるんよ」までたどりつくのに53分かかってしまった。
オレってそんなに話しやすいんかな~。それとも何にも知らない風な相槌に気をよくして延々としゃべるんじゃろうか。
気のいい男で悪いやつではない。「へ~そうか~、そんなこともあったのか~」とただ聞く立場を貫くアタシが悪いのか?
まあどっちにしても、同級生のことに関しては、ここが中継所・取次所みたいな存在かも。
その上、彼の思いの丈を聞いたやることで元気を取り返す役に立つなら、これも一つの人助けか・・・などとちょっと大袈裟だね~。
それにしても53分間受話器を耳に付けていたら、話が終わったころは左の肘が曲がったまま、元に戻すのが一苦労ですぞ。
1時間くらいへっちゃらよ、とのたまう長電話おかあさん、少し要注意よ。
ということで、来年2月にはゆっくりお邪魔してコーヒーを頂く約束を取り付けた。
元気に回復してくれりゃそれだけで全てが帳消しよ~ ということにしておこう。