“ この日和 女名前の 小春かな ” 川崎 展宏
春爛漫というにはまだ少し間があるが、震える寒さからはようやく逃れた・・・・。
そんな春先を思わせる今朝の暖かな陽射し。まるで絵に描いたよう小春日和。
そんな心地よさに誘われて布団を抜ける。いつまでも鼻を詰まらせて寝ているわけにも行くまい。明日からの3日間は、大事な大事な集大成。出遅れてはならぬ。
そのためにも、というばかりでもないが、咳と喉の痛みに耐えかねて、かかりつけ医に処方してもらった風邪薬5日分が、ちょうど5日目となる今夜でなくなった。
ということは、三度三度きっちり服用したということだ。これは珍しいこと。
自慢じゃないが、何日分と処方されていても、最後まで完全に飲み終えるなど考えられないことだ。途中でほったらかして「完全に治ったんかね?」とひんしゅくを買うのが常。
今回ばかりは時間に制限がある。勝手な振る舞いが許されない事情がある。
昨日などは、あの愉快な三歳児と遊ぶのも控えたくらい風邪という敵と闘った。
やりゃぁ何とかなるものだ。今朝の目覚めはすこぶる快調。
陽射しの中を歩くと、何軒か先のフェンスの外側に真っ黄色に熟れた異様なものがぶら下がっている。わざわざカメラを取りに帰ってパチリパチリ。「これは獅子ゆずというかんきつ類の一種で、中身は小さく皮がとっても厚いんです」と教えてもらった。
まっことよーく見たら、あの表面ゴツゴツのゆずをそのままデッカクしたような、見事な面構え。名は体を表すとはこのことか、はたまた体が名前になったのか。
直径15~20センチにもなるという。あの小さな木に10個もぶら下がっていたという。
香りがゆずほどではないが、お風呂に入れるにはちょうどいいと。
こんな狭い団地なのに普段は見逃している。ゆっくり歩いてみると意外な発見が。
小春日和の中で、珍しい獅子ゆずに出会った。そんな束の間の呑気な空気を最後に、霜月、11月が終わろうとしている。夜空には十七夜の月が独り、ちょっと寒そう。