ヒヨの眼下、地面でエサをついばむツグミ 仲間の一羽がエサをついばむ間、お連れが監視する
茶色く疲れたような荒れ地が隣に広がる。せっせと種を蒔いたのが勝手に芽を出して数年になる梅の若木。その数本が昨年春から本格的に花を付け始めた。それも小さな木を、華やかな白梅が覆いかくすほどに咲いている。香りがいい。花季が長く、咲き始めてから随分の日数を楽しませてくれている。
峠を越した感のある冬が、エサを求めて集まる多くの野鳥の羽も緩めているのか、気ままにエサをついばむ姿が広がる。
見るともなしに見ていたら、そこにはのんびりばかりではない、野鳥同士の激しい縄張り争いが繰り広げられる実態がある。のどかな野鳥の楽園か、と思いきや、そこは生き物の集まる場所、そんなに甘くはない。常に声も大きい、図体も大きいヒヨが主導権を握っているようだ。
ヒヨは、地面に広がる白菜やキャベツの葉っぱを好んで食べる以外は、滅多に地面には降りてこない。少し高いクロガネモチや南天の木の上で熟れた赤い実を欲しいままにしながら、地面の様子を窺っている。そこへ地面を這うようにエサを求めるツグミがやってくる。そしたら木の上から急降下しながら、けたたましい鳴き声と共にツグミを追い払う。追われるツグミも慣れた様子で飛んで逃げるが、着地するのは元の場所から少し離れたところ。ヒヨも取り敢えず追い払えばいいだけで、それ以上のバトルも血を見る争いもない。ツグミが降りた地面近くの梅の小枝でひと休みしている。
追いかけるヒヨも、追われるツグミも、後期高齢者同士なのか、飛距離に無理をする様子も見られない。見ているこちらも、またトレーニングしているな、と安心していられる。そんな様子をボーっと見ているアンタモお暇ね。という声が聞こえるが、それも朝の8時過ぎから9時そこそこの時間限定のパフォーマンス。しかも温みが差して、地面でエサをついばみやすくなったという、春の訪れの前触れである。どうせお家籠りが正解な日々。窓の外に広がる自然界の営みはそれなりに面白いですぞ~。やっぱりヒマなんよね~。今日で如月も逃げていく。時の流れが実に早い。