児童は既に講堂に集まっていた。登校班の地区ごとに別れて、寝っ転がってリラックスしている子、せわしげに宿題ノートに消しゴムを走らせる子、様々に「保護者が迎えに来るのを待つ」という共通の目的の中で自由に時間を過ごしている。
この小学校には、写真を一切撮ってはいけない生徒がいるのを知っている。
しかも、児童にはそこまでの意識はないと思うのだが親の意思というか、何かの都合で児童をカメラから断固守っている。だから、この学校では「竹細工教室」をやっても「しめ飾り教室」をやっても、作業を頑張っている児童の姿はもちろん、後ろ姿もカメラに入れてはならない。ひいては、集合写真も撮ることができない。広報担当としては実に切ない思いをさせられる。
たとえその子は撮らないとしても他の子は嬉々としてピースサインを送って来るので、地域活動の記念撮影はすることになる。一人の子のために集合写真や全員の記念撮影が許されないという事実。世の中って難しいね~。校長先生も教頭先生もそのことは十分ご承知だが、なんともならない現実を眺めているしかやりようがない。