芸術の秋には少し、いや随分早い気がしないでもないが、2022第66回岩国市民文化祭の一事業として写真展が開かれた。名づけて「近郊カメラマンたちの写祭」。
腕に覚えのある近郊の80人が、133点の力作を展示して迎えてくれる。作品に見入る一瞬は暑さも忘れている自分に驚いたりする。
同級生の仲良し君が主宰するこの写真展。早くからスケジュールを知らされていて「兎に角行ってみよう」と思わされるイベントである。
「動」の世界から一瞬の「静」を切り取る写真術。時間と根気とお金を掛けて、その一瞬のために集中する。
多少なりともカメラを扱う者として、色んな共感を覚えながら、133点の1点ずつ丁寧に見て回る。
一回重ねれば1回分の、10回重ねれば10回分の進歩というか、作品に少しずつ重みが載っかって来るのが面白い。プロにはプロの良さがある。これは当然なことかもしれないが、完全なプロではない人たちが、市の美術展などの入選を目指して、プロとは違う執念というか必死さで被写体と闘う様を感じるのは実に楽しいものである。
作品の深さに目を奪われる瞬間、作者の思いが著わされるタイトルに目が行く。この作品とタイトルがピタッと重なった作品に出会うと、思わず顔がほころぶ。面白い!!と拍手したくなる。他の鑑賞者に気付かれないようにクスリっと笑っている自分に気付く時ほど爽快な気分はない。暑さも寒さも一切を忘れて、作品の中に溶け込むような錯覚を覚える。こんな作品に滅多には出会えないが、出会えた時の喜びを素直に、主宰する同級生に報告する。
彼も嬉しそうに「ありがとう」。こちらもいい作品に出会えて「ありがとう」。いい一日であった。