趣味の一つである、と言えるのかどうか。ただ好きで勝手にやっている慰みとして、エッセイをたまに書いている。
そんな趣味が高じて、エッセイ集なるものを自費出版して、多くの方に「出費」というご迷惑をおかけしたこともある。
それ以来自粛に自粛を重ねて、この頃ではただひたすら、自らの楽しみにだけにとどめて、書き貯めることにしている。
表だって発信するのは、このたび商標登録することになった毎日新聞「はがき随筆」の252字の世界にはどっぷりはまっていると言える。
そんなはがき随筆の、昨年度の年間大賞の授賞式が、北九州市小倉で開かれた。
小生の未熟な腕では、とてもお呼びも付かない高嶺の花ではあるが、仲間の二人がノミネートされていることから、拍手要員の応援団員として参加した。
山口県と九州全域の中から選りすぐった13篇が優秀作品としてノミネートされる。
その中から「毎日はがき随筆大賞」1編、「日本郵便㈱九州支社長賞」1編、「RKB毎日放送賞」1編、など、6編がこの席で改めて表彰される仕組みとなっている。もちろん、その他の7遍も「毎日はがき随筆賞」として表彰される。一度はその13編の中に我が名を残してみたいな、とは思うのだが。
今年の選者は、福岡県中間市在住の芥川賞作家「村田喜代子」さんであった。
今は絶版となっているが、「名文を書かない文章講座」という、彼女の若き日に著わした「文章の書き方の基本」といった、いうなれば参考書みたいなものを拾い読みする関係で、なんかしら親しみを覚える作家のひとりであった。そんな先生に今回直接お会いできて、言葉も交わすことができた。
その作家経歴たるや、芥川賞から女流文学賞・平林たい子賞・川端康成賞・芸術選奨文部大臣賞などなど、想像もつかないほどの華やかな作家生活を送られたことを改めて知った。さぞかし、後光が差すようなきらびやかな70歳・・・かと思いきや。
そこにもここにもいるようなフツーのおばちゃまであることに驚いた。
ご自身が選考された今回の一席の作品を、RKB毎日放送ラジオの女性アナが朗読するのを聞くときは、メガネを外して涙を拭きながら聞き入っておられる様子に、また一段と親しみを勝手に感じさせてもらった。
ミニ講演も、訥々としたしゃべりの中に、キラッキラッと光る言葉が転がり出てくる。
小倉行の目的は、応援団拍手要員ではあったが、実は「村田喜代子」という作家の人となりに触れることでもあった。
その目的は九分九厘まで果たされた。残りの一分は?作家の言葉をどれだけ身につけられるか、何かの形で体現できるか、これが問題である。
それにしても、久しぶりに気持ちの落ち着く意義ある時間を過ごせた・・・のかな。